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「儲かりそうなもの!売りやすそうなもの!という考えは一度捨てて。自分が好きで、 熱量を持って本当に外国の方にオススメしたい物を販売しようと思いました。」|Dagashi Boxのユウジさん

儲かりそうなもの!売りやすそうなもの!という考えは一度捨てて。
自分が好きで、 熱量を持って本当に外国の方にオススメしたい物を販売しようと思いました。

越境ECに取り組む企業のインタビュー企画の第一弾では、日本の駄菓子の詰め合わせを定期便(サブスクリプションモデル)で海外へ販売する越境ECサイト『Dagashi Box』を運営されているユウジさんにお話を伺いました。
インタビューアー徳田:徳
ユウジさん:ユ

越境ECサイトをはじめようと思ったきっかけはなんだったのでしょうか?


ユウジさんが運営されている越境ECサイトDagashiBoxはホントインパクトありますよね!
サイトのデザイン自体もご自身でされたと伺いましたが、どういった経緯で越境ECサイトを始めようと思われたのでしょうか?


高校を卒業し、美術の専門学校に4年間通い、デザインの基礎や実践を学びました。その後、日本のデザイン会社やデザインプロダクションを経て、中国にいき、フリーペーパー関連の会社や、広告会社等、様々な会社で働きました。
中国で5年ほど働き、日本に帰国した際に、どこかで海外と繋がりを持てる仕事はしたいなと漠然と考えていました。その時にたまたまネットの記事を読み、気になって買った本があります。
【なぜあなたのECサイトは価格で勝負するのか? 海外事例に学ぶ、「唯一化」で顧客を獲得する秘訣】
この本を読んで世界中に向けてECサイトで販売をしている面白い事例を見て、自分も海外で過ごした事を活かして、何か日本の物を海外に売れないか?と考えるようになりました。


なるほど。私もその本読みました!海外の面白いECの事例がたくさん載っていますよね。私もあの本がきっかけで価格ではなく価値で勝負する事の重要性に気づきました。

どういった経緯で取り扱う商品を駄菓子にしようと決断されたんですか?


最初はどんなものが海外向けビジネスで儲かるのかを中心に考えていました。
しかし、最終的に儲かりそうなもの!売りやすそうなもの!という考えは一度捨てて。自分が好きで、熱量を持って本当に外国の方にオススメしたい物を販売しようと思ったんです。

そこで決めたのが『駄菓子』の販売でした。まずは自分が小さい頃に慣れ親しんだもので、日本の文化を象徴するものでもあります。そして何よりも無骨だけど、子供達の為に営業している駄菓子屋の思い入れや、駄菓子メーカーさんはなるべく値段を変えないで売っていこうという、日本らしさにとても惹かれました。
また、駄菓子や駄菓子屋は日本人じゃないと、なかなか分からないジャンルなので、これなら日本人である自分が海外に紹介する意味があるなと感じました。


なるほど。駄菓子なら子供の頃に慣れ親しんだ日本人だからこそ海外のお客様に魅力を伝えられますね。自分が熱量を持って取り組んでいるビジネスの方が越境ECでは成功している企業が多いので素晴らしいと思います。

越境ECサイトをはじめようと思ったきっかけはなんだったのでしょうか?

苦労した部分は、実際に海外向けにECサイトを立ち上げるとなると、どういうプラットフォームを使うのが良いのか悩みました。日本国内であれば知っていますし、選択肢もたくさんあるのですが、海外への売り方は全くわかりませんでした。
まずは英語ベースで世界へ販売しているECサイトを見て、どこのプラットフォームを使っているのか見てみました。英語がもっと得意であれば検索ですんなり分かると思うのですが、当時は泥臭く観察しながら調べてたのを思い出します。
最初は海外に売るカートシステムを調べる為に、色々な海外ECサイトを見ました。するとある特有のカートの決済画面がよく使われている事がわかり、これはどこのだろう?とひたすら調べて『Shopify』にたどり着きました。


他のカートと比較検討されましたか?


そうですね。Cratejoyという定期便専門のカートシステムは一度試してはみました。
しかし、導入の際に実例があまりにも少なかったのでやめました。


なるほど。たしかにどのプラットフォームにするかは悩みますよね。Shopifyにした決め手は何だったのでしょうか?


Shopifyはアメリカなどで一番使用されているプラットフォームであること。管理画面で発送までの処理を行えて、セキュリティについても安心です。

あとはサーバー強化されていて、全世界からアクセスがしやすい環境なのが良いですね。日本のサーバーだと、どうしても海外からのアクセスの表示速度が遅かったりするので。他には、値段も手頃ですし、英語ベースになりますがサポートも充実している点ですね。


なるほど。確かにShopifyのセキュリティや世界中どこから見ても閲覧スピードが速いCDNサーバー※は魅力的ですね。


紆余曲折ありShopifyにたどり着いたは良いものの、その当時はメニュー画面などが日本語化されていませんでした。まだ日本では実例が少なそうだったので、どこに依頼すればいいかは悩みましたね。
Shopifyエキスパートにコンタクトしたり、知り合いの制作会社にコンタクトしたり、時には海外のShopifyパートナーにもコンタクトして、サポート内容と費用を見て判断しました。
2017年の8月より『Dagashi Box』の準備を少しずつ初めて、2018年の2月に『Dagashi Box』を正式にオープンさせました。現在はフリーランスでデザインをやりつつ『Dagashi Box』を運営しています。


なるほどー!制作をお願いする会社も色々見られたんですね。確かにShopifyパートナー、エキスパートの中でも様々な会社がありますもんね。

今、Shopifyではどんなアプリを使用されているのでしょうか?


使用してるアプリは下記の4つのアプリを使用しています。
・ReCharge(定期便購入)
・MailChimp(メール配信)
・Instashow(Instagram表示フィード)
・Sitemapper(SEO)


Mailchimpは弊社でも使用しています。定期購入にはReChargeを使用されたんですね!

お客様獲得、継続の為にどんな工夫をされているのでしょうか?


ある程度売上を継続したかったので、定期便(サブスクリプション)のみで販売をしています。いつでも解約はできるのですが、平均して3ヶ月程度は継続して注文を受けています。毎回中身を変えているのも、定期便にしているためです。


駄菓子37ドル分となるとだいぶ盛りだくさんですね。


そうなんですよ。ただ送料も容器代、原価を考えるとそこまで利幅が高くないというのが正直なところです。その為、様々な形で継続、シェアして貰えるような工夫をしています。
一つは毎月オリジナルノベルティを同梱していまして、4種類のノベルティを順番でプレゼントしています。(缶バッジ、クリアファイル、キーホルダー、ドリンクコースター)次回の注文を頼みたくなるようにと始めました。
おまけの販促物などに関しては、ステッカーや鶴の折り紙やメンコなど、日本の駄菓子屋を感じられるような物を同梱しています。


同梱されている双六や缶バッチ、折り鶴等、一つひとつのディテールが細かく、心がこもってますよね。これはなかなか真似できませんね。


はい。DagashiBoxを通して、海外に日本に滞在している方や外国人の方に日本には戦後の時代から『駄菓子』『駄菓子屋』という日本独自の文化があって、実はその時の文化は今も末長く続いています!ということを伝えたいです。
国は違えど、海外に住まれている皆さんも、小さい頃に小銭を握りしめてお菓子を買いに行った経験はあるはずなので。


そうですね。私も小銭を握りしめて駄菓子屋へ行ったのを覚えています。あの空間に入るとワクワクしますよね。Dagashi Boxにはあの頃のワクワクが詰まっているのを感じます。


あと単純な話なのですが、同梱物にシェア用のハッシュタグを付けてからユーザーの反応率が変わってきました。そこから、アンボックス(開封)した直後の感動をすぐにシェアして貰えるような工夫が必要だと気付きましたね。

もっと外国人の視点を取り入れてお客様対応やサポートをしていきたい


他に、更に改善出来ることと言えば、外国人視点を取り入れたコンテンツ作りや、運営の強化ですかね。
現在は一人で運営をしていますが、これから人が増えた場合、外国人メンバーを増やしていきたいと考えています。
ターゲットが外国人なので、客観的に見る目があるとありがたいです。自分は生まれも育ちも日本なので、どうしても外国人目線にはなれず、気づけないポイントが多いなと感じています。


確かに!彼らの視点を含めてコンテンツを作ったり、お客様への対応ができたりすると心強いですね。


そうなんです。受注に関しては問題ないのですが、細かい質問やサポートなどは外国人メンバーが居てくれると心強いなとは思います。簡単な質問などは自分でやり取りをしているのですが、やはりネイティブの方が対応するに越したことはないので。


そうですね。運営についてはちょっとだけ良い方法があります。とても単純なのですが、お客様から頂く質問というのはだいたいいくつかのパターンに整理できます。
その為…
➀お客様から頂く質問やその回答のデータを蓄積し、これをネイティブが文章を整理して定期的にFAQに載せる
➁問い合わせフォーム手前にFAQへの導線を設置する
我々が2万件の問い合わせメールのやりとりを整理して、半年かけてまとめたのですが、これだけで月に1000件お問合せが来る不要なお問い合わせ数を3割軽減し、本当に接客が必要なお客様に運営スタッフの時間を使えるようになった。という事はあります。
海外配送はどうされているんですか?


発送に関しては国際eパケットライトをメインで使用していて、国際eパケットライトで送れない国はSAL便で送っています。全部で80カ国配送は可能です。
今まで大きい問題はなかったのですが、最近2件ほど、履歴では届いているのに実際に届いていないという連絡をもらった事がありました。
予算的にできないのですが、確実なのはEMSや国際eパケットなどの受け取りサインが必要なものが確実だなと感じています。日本とは違い、不在の場合は家の前にそのまま置いていってしまう事もあるようなので。


なるほど。サインを貰えないと本当に受け取ったのか、持っていかれてしまったのか確認できませんよね。EMSが確実なんですが、おっしゃる通り、配送料が高くなってしまいますよね。

越境ECをやっていて、どんな時にやりがいを感じますか?

実店舗を持っていないので、お客様の顔は見えないのですが、facebook経由などで感想をもらった時はとても嬉しいです。

今まで、Youtuberの方にレビューをしてもらっているのですが、箱を開けた時のリアクションや食べた時の反応が新鮮で、実際に動画で反応を見た時はやりがいを感じましたね。
(YouTubeの動画を掲載)

VINTAGE JAPANESE SNACKS// Dagashi Subscription Box

AMERICAN TRIES HUGE BOX OF VINTAGE JAPANESE CANDY!

Compra dulces Japoneses en Dagashi+Japaneses candy

童年回憶再現!!!!🇯🇵日本懷舊零食Dagashi Box開箱


なるほど!ユーザーからの声を貰えるとホントやってて嬉しいなって思えますよね。
感想をもらえたり、Youtuberの方にレビューをして貰えたりビジネスがスケールしている感じなんですね!


はい。ホントに越境ECで売上が上がり始めるのには時間を要しますね。身内ではなく、弊社サイトの事を全く知らない方が購入してくれるまでサイトを公開してから一ヶ月かかりました。次に買ってくれた人はそれから2週間後できちんとプロモーションしないと厳しいなと肌で感じました。
ただおかげさまで少しずつ認知度も上がってきていてご紹介も頂けるようになってきています。
最終的には『Dagashi Box』がきっかけで、日本の駄菓子を知ってもらい、日本に旅行する際に駄菓子屋や駄菓子の卸し問屋さんなどに買いに行ってもらえたらとても嬉しいです。
これからの展望をお聞かせください
まずはもっと海外の方へ『Dagashi Box』を知ってもらいたいと思います。
今はオンラインだけですが、海外のJAPAN EXPOなどにも出店してみたいです。
あとは、駄菓子は儲けが少ないと言われていますが、そこをうまく解決できる方法を実店舗販売やオンライン販売で考えていきたいです。しょうがない事だと思うのですが、このままだと確実に駄菓子業界は今後も衰退してしまうのでは?と感じていますね。
ここからは展望というか、こうなったら理想だなというお話です。
うまい棒で有名な駄菓子メーカーの『株式会社やおきん』さんなどにスポンサーをしてもらえたら嬉しいです。うまい棒は外国人の方にも知名度があるので、任天堂さんが『ピカチュウ』を全面的に押し出しているように、やおきんさんの『うまえもん』のイラストなどを使用して駄菓子をもっと海外へアピールできたらなと思います。


たしかに!駄菓子大使としてユウジさんのスポンサーをしたら駄菓子業界の世界進出も夢じゃないですよね。これはやって頂けたら嬉しいですね。ご興味のある駄菓子メーカー様!是非ご一報くださいませ!ユウジさんインタビューありがとうございましたー^^

【越境EC成功の秘訣】

・儲かりそうなもの!売りやすそうなもの!という考えは一度捨てて、自分が好きで、熱量を持って本当に外国の方にオススメしたい物を販売する
・ユーザーに常にワクワク感を提供し、サブスクリプションを継続して頂く為にも、オリジナルノベルティや季節に応じた商品の入れ替え等、細かなサプライズを提供する
・感動の瞬間にシェアして貰えるようハッシュタグを伝える同梱物を入れる
・外国人の視点を取り入れてきめ細やかなお客様対応、サポートをする・よくある質問は定期的に整理し、問い合わせフォームの手前に導線を設置する

Dagashi box
– Web –
www.dagashi-box.com
– FB –
www.facebook.com/dagashibox/
– Instagram –
www.instagram.com/dagashibox/
– Twitter –
www.twitter.com/dagashibox_
※CDNとは「Content Delivery Network」の略称
同一のコンテンツを、 多くの配布先、例えば多くのユーザーの端末に効率的に配布するために使われる仕組み

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投稿者: 徳田 祐希 / Tokuda Yuki
世界へボカン株式会社 代表取締役
イギリス留学を経て、海外WEBマーケティングを行う企業に入社。
外国人マーケターと共に海外WEBマーケティングチームを牽引する。
特に英語サイトのSEOに精通し、東京だけでなく、新潟、京都、大阪、名古屋、福岡等、日本全国を飛び回り、クライアントと膝を突き合わせ、WEBコンサルティングを行うスタイルを得意とする。
海外WEBコンサルティングで、アフリカ向け中古車輸出企業の売上を30億円から500億円に導く等、中古車輸出、製造業、不動産関連のプロジェクトで数多くの実績を残す。
2014年8月に世界へボカン株式会社を設立。
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