コラム
Column
弊社ではMagentoを使った越境ECのマーケティングプロジェクトも多く携わらせて頂いているのですが、Magentoのプロは日本にはあまりおらず、こちらで分析して、依頼したサイトの改善に時間を要してしまっていたり、機能を十分に発揮できていない企業が多い状態でした。
こういったプロジェクトをより円滑に進める為、Magentoに特化した制作会社であるDigital Free社と戦略パートナーとして提携させて頂きました。戦略提携の第一弾としてDigital Free社 代表の柴田氏にMagentoのと特徴や機能についてご紹介頂きました。
越境ECプラットフォームで拡張性を重要視されている方や大規模サイトの構築を検討されている方はご一読頂けますと幸いです。
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2018年の5月にAdobeが買収したMagento(マジェント)は、Adobe買収前からも世界シェアトップを誇っていたEコマース用のプラットフォームです。
日本国内ではMagentoと同じく海外発のプラットフォームとしてShopifyが脚光を浴びていますが、改めてMagentoを知ってもらいたいと思い本記事を執筆致します。
当時、OsCommerceやZenCartが主流であった中、2008年3月にeBayの出資のもとMagento社の製品として登場したECマース用のプラットフォームです。
オープンソースとして開発コミュニティにより開発されるスタイルはOsCommerceやZenCartの流れを継承しているともいえ、巨大なコミュニティに支えられる中で、次第に世界シェアNo.1のポジションに就きます。
日本の特に中小企業が会社のホームページを作る際にまずはWordPressを選択するようなことと同じ感覚で、欧米圏やオセアニア地域では、Eコマースのサイトを運営する場合はまずはMagentoを選択するといったようなくらい、欧米圏では非常に有名なソフトウェアです。
現在はAdobeのExperience Cloudのラインナップに位置づけられており、有償版はAdobeが提供することになります。(費用についてはヒアリングシートに様々な項目を埋めた後の見積となります。)
無償版についてはMagentoの公式ページ(https://magento.com/)にアカウントを作成するとダウンロードすることができます。
有償版にも大きく2種類あり、サーバーインストール型でライセンスの提供が主体になるMagento Commerceと、クラウド型で動作環境が提供されるMagento Commerce Cloudがあります。
あえていいますが、多言語・多通貨の対応は国際的なプラットフォームでは当たり前の機能になるため挙げておりません。ただその実装も大変きめ細やかで完成度が高く、お手本と言えるくらい完璧なものになっています。
他のプラットフォームでは類のない強烈な機能、「複数ウェブサイト」の機能がまず挙げられると思います。
1つのMagento環境で、全く異なるECサイトを何個でも立ち上げられるということです。
しかしウェブサイトは別れていても、ウェブサイト間で共通の商品データにアクセス可能であり、在庫情報も共有できるという点がよく重宝されます。
日本国内でも日本全国に散らばるチェーン店ごとに存在している250にも登るウェブサイトを1つのMagento環境上に集約した、という事例もあるほどです。
どんなことでも1位であることはすごいことではありますが、それ自体をここで述べたい訳では有りません。
世界No.1だとどのようなことが起こるのか、ということを理解してもらいたいと思います。
まずサードパーティベンダーやサービスが、Eコマース向けに製品を作りたいと考えた場合、当然一番最初にするターゲットはNo.1シェアを持つMagentoになります。
システム連携を速やかに行えるサービスであるZapireもそうですし、SalesforceやHubSpot、MailChimpなど連携のための開発が不要です。
海外の決済サービスなども大半Magentoから対応していきますので、例えば台湾の現地法人が現地の決済サービスを契約した際、Magento用の連携モジュールが提供されていた為簡単に決済環境を実現できた、と言った具合です。
Magentoの機能を拡張するプログラムはエクステンションと呼ばれますが、無償有償合わせ数千種、画面デザインを簡単に被せることが出来るテーマも1,000種類以上といったサードパーティに囲まれています。
ユーザー数もそれだけ多いため英語中心ではありますが、システム的に直面したトラブルなどはStackExchange上で同じ問題に直面した別のユーザが投稿していたりすることが多く、無償版のオープンソースを選択する場合には、大変助けになります。
Magentoには6種類の商品形態をサポートする機能があるため紹介します。
・Simple Product
一番一般的な商品形態です。
実体のある単品商品を取り扱うことができます。
・Virtual Product
サービス・役務など実体のない商品を取り扱うことができます。
・Grouped Product
例えばカメラ本体の商品画面で同時にレンズやケースなどのオプション品を販売するときに使用する商品形態です。
・Configurable Product
色や形、大きさなど様々な選択項目を選んだ後にカートに商品を入れることが出来る商品形態です。
選択した結果の商品のほうで在庫管理されることは、アパレル系ECサイトなどで特に非常に重宝されています。
・Bundle Product
AppleやDellのオンラインストアで、ベースの商品を元にカスタマイズしてカートに入れるといった機能がありますが、これを実現することが可能な商品形態です。
ここまで高機能な商品形態が実現されているパッケージはMagentoしかないと思います。
ベッドシーツと枕カバー、掛け布団カバーのセットをサイズを選んで購入できるフローを実現したいという事例において活躍したこともあります。
・Downloadable Product
電子コンテンツをダウンロード販売する商品形態です。
このほかにもエクステンションを使うことで、映画館やホールのチケット販売(座席指定付き)、ホテルや交通機関の予約販売なども簡単に実現できてしまいます。
ほかにも画面上で名刺やTシャツをデザインして印刷を行うオンデマンド印刷サービスを実現したり、電子コンテンツをダウンロード販売するのではなく、購入したコンテンツをそのままリーダーやプレイヤーで利用出来るようなサービスを実現するものも有り、無限の可能性があります。
CDNの大手であるCloudflareもMagentoをサポートしており、同じくCDNでも新進気鋭で勢いが止まらないFastlyもMagento Commerce Cloudで正式採用されているなど、機能面だけでない越境に対する強い味方がいることも忘れてはいけません。
割引セールや在庫管理、注文処理など顕著ですが、とにかく高機能です。
アメリカ式のBOGOセールを組み込むのもそうですが、いろんな複雑な条件に従う形で、またいろんな複雑な割引やクーポンを使用したプロモーションが可能になっています。(ただし後述のとおり使いこなすのは高機能であるがゆえに習得は難しいということを忘れてはいけません。)
まずMagentoはセキュリティ認証に当たるPCI-DSSを取得しています。
また世界No.1であるということはセキュリティ攻撃から防御するためのコミュニティ規模も世界No.1であり、随時アップデートによってセキュリティが担保されています。
数百万点の商品点数があってもびくともしません。
(国産プラットフォームは数百から速度劣化しますよね、、、)
また大量の注文処理が来るような高負荷の環境下においても、注文だけを処理する機能を別の環境で動かすような分散処理も可能です。
オンプレミス版ではVarnishやRedis、ElasticCacheなど負荷対策の様々なコンポーネントを設定値の変更だけで利用することも可能になっています。
なんと言ってもソースコードもデータベース構造も公開されていますから、制限が何も有りません。
ASPやソースコードが公開されていないパッケージでは絶対に無理である点をMagentoでは自由にカスタマイズさせてくれます。
とはいってもCoreと呼ばれるMagento本体の機能の修正はご法度となり、これを修正してしまうと、そもそも正しく動作しなくなることもありますし、またセキュリティパッチやアップデートもできないシステムになりかねません。
ただ、Coreで実装している処理を迂回したり、別の動作を行えるように上書きできる拡張が可能なようにはじめから作られていますので、実質的な制限がないのです。
あえてこのMagentoの何がすごいのか?という項目のトリに書かせていただきますが、Magentoに変えるだけで売上は伸びます。もうEコマースでビジネスをやる以上これに尽きると思います。
その理由の1つに内部SEO対策を行うための機能が徹底的に拘って実装されている点にあると言えます。
Magentoは毎年行われるEコマースプラットフォームのSEO対応度合いの評価で常に1位、2位を争っています。(2018年では1位)
さらにMagentoでも対応していない内部SEO対策を行うためのエクステンションが有り、これも併用するとさらにSEOが強くなり結果アクセスが増え売上が伸びます。
それだけでなく、コンバージョン率を上げるためにも洗練された画面デザインや画面表示速度を備えており(画面表示速度が遅い場合は作りが悪いです。きちんとしたノウハウのあるベンダーに調査を依頼すれば早くなります。)、結果、やはり売上が伸びます。
機能面だけでなく、ちゃんとECサイトの販売能力を見据えた設計が惜しむことなく生かされているのです。
まずアメリカに本社のあったMagento(現Adobe)は、日本に支店を持っていません。
GoogleやApple、Yahooなども日本に法人を作るところから自社プロダクトのシェアを獲得しています。
日本に支店を作るくらい日本の市場に本気であったならば公式の日本語情報も用意していたはずですが、全て英語です。(ただし英語情報についてはめちゃくちゃ充実していますしわかりやすいです。https://devdocs.magento.com/#/individual-contributors)
そしてかつてガラパゴス携帯や楽天が主流であったように、国産のEC-CubeやMakeShopのようなソフトウェアやASPが主流であるため、Magentoが支店を構えて日本に進出をしていれば、他事例と同様に情勢はひっくり返っていたことは明白ですが、進出しませんでした。
このため国産のEC産業は今でもまだまだシェアを取っている状況です。
ただしすでに日本に進出しPhotoshopを始めとした製品で日本国内での知名度も高いAdobeが買収したことで、結果的に日本進出を果たしていますので、Adobeジャパンが本格的にMagentoを販売していく事となった場合には、有償版のMagentoに関しては、エンタープライズ領域のECサイトを支えるプラットフォームのシェアをひっくり返していくと予想されます。
日本国内でも有志によって開催されるコミュニティであったり、Adobe買収のニュースなどによってある程度Magentoの知名度は上がってきており、使ってみたいと思うことも多いと思います。
しかし正直、MagentoはECサイトを初めて運営したいと思うユーザー向けではなく、ECサイト運営経験のある中・上級者向けであろうと考えられるほど機能が豊富で、取り扱うことが大変難しいソフトウェアになっています。
その点WixやBase、もちろんAmazonもですが、簡単にオンライン販売を始めることが出来るプラットフォームも有り、専門知識なくても運営が可能という位置づけとして考えて良いと思いますが、Magentoは専門知識が絶対条件になります。
国内ベンダーもMagentoの知識経験度合いには大きく差が開いていることが現状ですが、その中でもオンライン販売のビジネスの成功を見据えてサポートしてくれる経験深いベンダーとのパートナーシップが成功の鍵を握ると覚えておいてください。
以上のように他のプラットフォームとの比較といったアプローチではないのですが、Magentoとはどのような存在であるかを大まかにご理解いただけたのではないかと思います。
また機会があれば、もう少し踏み込んだ内容についてのご紹介や、採用事例などにも触れたいと思います。
最後に、アメリカEmpiro Technologies社のEコマーコミュニティーマネージャー、Shetul Majithiya 氏のMagentoに関するコメントをご紹介致します。
E−Commerceプラットフォームはほぼ全て使ったことがあるけれど、どれも運営段階のどこかで残念な点がみつかって、より強力なプラットフォームに移行しなくてはいけなくなる。
Magentoからスタートしたクライアントは他のプラットフォームから始めた企業と比較して成長している。
Magentoは可能性が無限だからね。なんでもできるし、スケールの限界もない。
Magentoのコミュニティーは需要者側、供給者側の双方共にすごく強力なんだ。
大企業にとっては安定したプラットフォームであるということが最も重要なこと。
Magentoをすごく好きな理由は、革新的で常に絶えずアップデートすることだね。
もしMagentoからスタートしたら制限をとっぱらっていろんな可能性を考えることができるんだ。
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