コラム
Column
With コロナ時代では、海外展示会や海外出張が中止となり、
海外販路開拓が難しい状況下で、越境ECが注目されています。
また、失ったインバウンド需要の補完という意味でも、越境ECへの期待があるようです。
今回は、弊社代表の徳田が越境ECの戦略の考え方について解説しております。
本日は、越境ECの戦略の考え方についてお話をしていきたいと思います。
この動画は、越境ECをこれから始めようと考えられている方、独自ドメインで越境ECを展開しているものの、売り上げが伸び悩んでいる方向けの動画です。
越境ECは内需の減少に伴い、これからやろうと思っている方や、注目される方は多いと思いますが、なかなか越境ECは簡単ではないという事があります。
越境ECでは、「すべての商品が売れるわけではない」という事をしっかり理解した上で取り組まなくてはなりません。
Google広告を配信したり、越境ECサイトを英語で作れば売れるという訳ではないので、戦略の考え方や顧客の解像度の上げ方を今回、ご説明させて頂いて、越境ECに取り組まれている方の参考になればと思っております。
まず我々が普段使っている製品の価値を分類するマトリクス、”価値のマトリクス”というフレームワークをお話し致します。
「実績あり←→実績なし」の縦軸と、「情緒的な価値←→機能的な価値」の横軸で、価値を『評判価値』、『実利価値』、『共感価値』、『保証価値』という4つに分類して、提供している価値によってどういった戦略が考えられるかという風に、我々は考えるようにしています。
まず、一つ目の『評判価値』というのは、ブランド品のバッグや時計等の様に、既に実績や認知があって、欲しい人が沢山いる様な商品が持っている価値です。
購入することで、機能的な価値より、「これを持ってるぞ!」という様に、どちらかと言うと情緒的な価値で満たされるものを『評判価値』と指します。
『実利価値』というのは、実績もあり、多くの人がその商品を知っている上に、機能的な価値、機能的な要件が満たされているという様なものが持つ価値です。
車で言えば、人を安全に運びたいとか燃費が良いとかという事で、トヨタのハイエースやホンダのカブが挙げられます。
そういった世の中で知られているものを『実利価値』と指します。
『共感価値』というのは、D2Cブランドの製品だったり、ストーリーや創業者の思いを通して、「この人の商品を購入することで、情緒的な価値が満たされるな」というものですね。
後は、まだ世の中にあまり知られてなかったり、実績が無いものを『共感価値』という風に指しております。
『保証価値』というのは、普段は機能を発揮しませんが、いざというときに安全や安心を提供するようなものが持つ価値です。
具体的にはエアバッグや保険等を指すのですが、越境ECではあまり取り上げないので、今回は、『評判価値』と『共感価値』を中心にお話をさせて頂きたいと思います。
評判価値商材は、エルメスのバッグやロレックスの時計といった、持っているだけで情緒的な価値が満たされ、世の中の認知度が高いものを指します。
今回、その評判価値商材を独自ドメインを使用した越境ECで販売する時の注意点について、お話しさせて頂きたいと思います。
評判価値商材は、商品自体の認知がある為、それを探している人は既に存在しています。
この種類の商材を販売する際、独自ドメインサイトやモール、自分の国にあるショッピングモール等、数ある選択肢がある中で、購入者が「何故、わざわざ海外へ越境してまで貴社のサイトから購入しなければいけないのか」という動機付け(理由)が非常に重要になります。
例えば、ある希少なロレックスの時計があり、仕入れルートは自社しか持ってないので、この型番は自社ECショップでしか手に入らないという事だったり、あるいは同様に、レアなヴィトンやエルメスのバッグが自社でしか買えないといった理由が考えられます。
また、中古品の場合、日本人が使っていたブランド品や時計等は、海外の方の一般的なユーザーが使っていたものよりも状態が良いと言われていて、人気があります。
その為、『状態が良い日本からの中古品』の様に、何かしら購入者にとってメリットがある事を訴求しないと購買のトリガーは引かれません。
そうした数ある購買のきっかけの中で、非常に重要なポイントになるのが、『信頼と信用』です。
海外のブランドバックや高級時計を購入する際、10個サイトがあったら、8個は偽物を取り扱ってたり、詐欺のサイトがあったりと言われる状況で、30万円とか50万円もするような高額商材を購入する人は、本当にここで買って大丈夫なのか?、偽物が送られてこないだろうか?という不安が大きいものです。
「ここで買って間違いない」、「ここだったら問題ない」とすぐに信用してもらうには、自社が設置した独自ドメインサイトは世界的に有名なモールと比べ、コンバージョンレート(成約率)が基本的に低いのです。
大手モールに出品されており、満足度を示す星が何個も付いているから安心出来たり、モール自体が保証する仕組みを提供していて安心出来るというパターンと比べて、自社の独自ドメインサイトで購入者は、クレジットカードを使って本当に商品届くのか、50万円をドブに捨てることにならないかという様に不安に思う方が多くいるという事です。
その不安を打ち消すために必要な『信頼と信用』が必要で、そのためにはコンテンツが重要となります。
例えば、下記の様なコンテンツです。
「自分達がここで買って間違いない」と思ってもらえる様な証拠を一つ一つ積み上げ、信頼の精度を高めていくことが重要になってきます。
次に共感価値です。
D2Cブランドやマザーハウスのようなストーリーに共感したり、その製品を見て欲しいと思って購入する商品の戦略の考え方です。
共感価値の商材に関しては、基本的に「ユーザーにファンになってもらうこと」が重要で、InstagramやTwitter、Pinterest等のSNS、ブログ等を活用した情報発信を通して下記の様な共感を得て購入へ導く必要があります。
ですので、海外に対して、それを売ろうとするなら英語で上記の様な情報を発信していく必要があります。
Instagramで言えばハッシュタグを英語で選び、英語で投稿し、美しい写真を投稿して、潜在的に自社製品のファンになってくれるような顧客にリーチすることがまず重要になってきます。
同様に海外の方との接点が既にあるのであれば、海外実店舗にその商品を置いてもらい、QRコードを印刷したショップカードを配布して、そこからサイトに来て頂いたり、展示会をしたりして、お客さんに実際に手に取って貰えると、売りやすくなったりします。
単純にオンラインで待ち構えていれば商品が売れるというよりは、積極的な情報発信であったり、ファンを作るとか、展示会に出展したり、卸先を見つけたりといった、『こちらから能動的に顧客接点を持つ』ということが、共感価値の重要なポイントになってきます。
今回は具体的な事例で共感価値に分類されるD2Cブランドの「Pampshade」のお話をさせて頂きたいと思います。
Pampshadeは創業者の森田さんが元々パン屋で働いていた時、パンを廃棄するのがかわいそうで、どうにか利用出来るものはないかと考えていたそうです。
光に照らしてみた時にパンがライトに見えたということがきっかけで、パンにLEDライトを差し込んで温かい光が出てくるランプシェードを作って、Pampshadeを開発したというお話を伺いました。
実際に手に取ってみると温かい光が出てきて、心が情緒的な要素ですごく満たされます。
こういった商品を実際に発明してInstagramで発信すると、海外から、アメリカやヨーロッパから、「あ、これ滅茶苦茶良いですね!」という風に引き合いが来たそうです。
そこで、これは海外でも売れるのではないかということで、Shopifyで越境ECサイトを作り、展開したという経緯があります。
森田さんは単純に越境ECサイトを展開して、それで終わり、ということではなく、ヨーロッパやアメリカの展示会に参加して、実際にお客さんの声を拾ったり、InstagramやTwitterで発信して常にお客さんと接点を持つことを大事にしています。
その甲斐もあって、アメリカやヨーロッパ各国でPampshadeを取り扱ってくれる代理店や卸先が見つかり、お客さんに実際に手に取ってもらい、その商品の良さを感じて頂けるようになりました。
Instagram等に投稿された記事を見て、自分の近くの店舗で売っていることを知り買ってくださるお客様がでてきたり、友達にプレゼントする為にオンラインで購入してくださったりという形で、オンラインとオフライン、両方で買って頂けるD2Cブランドになりました。
D2Cだからといって、必ずしも自社サイトだけで売る必要はないので、お客さんがどこにいるか、どうやってファンになって頂けるのかを考え、オフラインで卸先等を見つけたり、サンプリング会をやってインフルエンサーさんに広めて頂いたりして、想いを発信していくという事が大事になります。
次に顧客の解像度を上げて、企画や打ち手を考えるという点についてお話し出来ればと思います。
『顧客の解像度を上げる』というのは、BtoCでもBtoBの現場でも我々は良くお伝えしている事で、誰に対して価値を提供しているのか、誰の手元に届いて欲しいのかという事がクリアになればなる程、自分達が何を訴求すべきなのか、何を伝えるべきなのかということが明確になります。
顧客の解像度が上がれば上がるほど、打ち手の精度が上がる事をお伝えしてますが、では具体的にどのようなプロセスで顧客の解像度を上げていくかをご説明します。
お客様の方で、こういう方達に届いて欲しいなという様なイメージやペルソナは最初から湧いていることが多いです。
そのイメージしている人を実際に海外から集めたり、海外でサンプリング会を行ったりしたりして、自分達が意図したメッセージが伝わっているかを商品を手に取って貰って、どの様な感想を頂けるか、インタビューを行う事をよくしています。
前回は、イタリアで京都の和柄のアクセサリー(ピアスとかネックレスとかブレスレット)のサンプリング会をやらせて頂きました。
その時にKOTOさんというマーチャントさんの想いは、洋服に対して和のアクセサリーをミックスさせることによって、和を感じてもらいたい、京都を感じてもらいたいという事でした。
その想いでヨーロッパ等の地域に卸したり、販売したりしているのですが、実際にサンプリング会をしてみたら、「和柄のピアスやネックレスって、洋風のファッションに対して凄く合うわね」と参加者に言って頂き、自分達の想いがちゃんと伝わっている事、価値を感じて頂けている事が確認が出来ました。
逆にお客さんの不満や不安についてもヒアリング出来ました。
風呂敷のバッグがあったのですが、「これは結構かわいいけど、(結び方が)お店ではやって貰えるのだけれど、(自分では)どうやれば良いかわからない」、「ブレスレットが外れて落としちゃうのは怖い」といった、こちらが自覚していなかった問題点が分りました。
そこで、「実はブレスレットはこうやってロックしたら落ちないんですよ」という事を説明させて頂いたり、インタビューしているシーンで身に着けてる動画をサイトに盛り込んだりして、対応策を講じました。
顧客の解像度が上がって、実際に彼らが知りたいこととか、感じていることを具体的にヒアリングすることでその後の”打ち手”(対応策)というものが見えてきました。
KOTOさんの事例でも、普段、どういった情報収集源(SNSとか雑誌等)をもとに購入する商品を選んでいるかという事についてもヒアリングさせて頂いたので、その後にチャネル別でGoogle、Facebook等、SNS広告を実施する際に、どこに顧客がいるのか分かった上で広告配信が出来る様になります。
今回の様にインタビューやサンプリング会を行い、分かったことを元にサイトを改善したり、戦略に盛り込んだりすると”打ち手”の精度を上げていく事が出来ると思います。
越境ECサイトを作って、GoogleやFacebook広告を回せば売れると思いがちな方が多いのですが、先ほどの評判価値の商品なのに、信頼が十分に無くてお客さんが購入を踏み留まってしまったりとか、共感価値の商品で、そもそも手に取っていないから、その商品の良さが伝わっていないという問題があったりします。
しっかりお客さんが誰なのかという事と、自分達はどのような価値を提供しているのかという事を整理して、どのような”打ち手”を取るべきで、どういった市場で、どういったポジションを築いていくべきか、戦略をしっかり考えていくと良いのではないかと思います。
もちろん自分達でサンプリング会をいきなり企画するのは難しいですし、戦略については、本当にこの考え方で良いのかなという不安だったり、心配な方がいらっしゃると思うので、そういった方達は是非、ご相談頂ければと思います。
本日は、ご視聴頂き、ありがとうございました。
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