コラム
Column
ECショッピングカートとは、商品をカートに入れてから購入するまでの一連の流れを、オンライン上で実現させるためのソフトウェアサービスです。越境ECでは、海外のユーザーが対象のため、ショッピングカートも海外対応できるものを選ぶ必要があります。国内ユーザー向けのECサイトを運用している場合でも、越境ECを始める際のショッピングカート選びが必要です。
越境ECのショッピングカートの種類や選び方は、次章以降で詳しく解説します。
越境ECで利用できるショッピングカートの種類をご紹介します。
国内向けのショッピングカートのオプションを活用し、越境ECに対応させる方法があります。言語や通貨を海外向けに設定すれば良いため、比較的簡単に利用できます。国内向けECで利用していたショッピングカートを、そのまま利用できる点がメリットでしょう。国内向けECを越境対応する場合、利用できる機能が限られているため、本格的な越境ECには不向きと言えます。国内在住の外国人向けにECを運用する場合などに活用できるでしょう。
越境ECに特化したショッピングカートは、言語や決済方法の種類が豊富な点がメリットです。多言語や多種類の決済方法から設定できるため、海外向けの通販を行う際に向いています。ユーザー画面だけでなく、管理者画面の多言語化ができる点も越境EC専用カートの特徴です。越境ECの運営に海外スタッフが関わる場合、管理画面の言語設定を変更できる点は便利でしょう。
英語圏や中国圏など、特定の国向けに開発された越境ECカートがあります。言語は英語や中国語のみなど限定的です。決済方法は、言語対応しているエリアで主流な決済方法から選択できる点がメリットです。ターゲット国が絞れていて、ピンポイントで海外展開していきたい場合などに向いています。
自社で越境ECを構えるのではなく、各国のモールに出店する方法もあります。Amazonなどのショッピングモールに出店する形となるため、自社でショッピングカートを準備する必要がありません。自社サイトではないため、自由度が低い点がデメリットです。集客力が高く、低コストで始められる点がメリットです。
越境ECのショッピングカートの選び方をご紹介します。
ショッピングカートを選ぶ際は、まず販売する商品と販売国を決めます。販売国が決まれば、対応する言語や通貨、決済方法からショッピングカートが絞れるでしょう。どのように商品を販売したいのかで、ショッピングカートの機能やデザイン、カスタマイズ性などが最適なものを選びます。
越境ECのショッピングカート選びでは、販売国で実績があるものを選ぶと安心です。販売国で実績がある場合、販売国の言語、文化、法的規制に関する理解が深く、それに基づくローカライゼーションの経験が豊富と言えます。現地の市場に適応している、または適応しやすいショッピングカートを選ぶことで、越境ECの構築や運営をスムーズに行えるでしょう。
越境ECの構築や運営には費用がかかります。どのショッピングカートを利用するかで費用は異なるため、売上規模や費用感に見合うかどうかも選ぶ際のポイントです。売上規模が大きいほど、機能のカスタマイズ性のレベルが高いショッピングカートが適している場合が多いでしょう。複数プランがあるショッピングカートであれば、まずは無料プランでスモールスタートをし、売上規模が大きくなってくる段階でプラン変更する手もあります。
越境ECを始める際に、何を実現したいのかは企業によって異なるでしょう。例えば、「手軽にサイトを構築したい」「商品のブランディングに力を入れたオリジナリティの高いサイトにしたい」「定期販売をしたい」などがあげられます。ショッピングカートの種類によって、越境EC構築の手軽さや利用できる機能が異なります。越境ECで実現したいことが叶うショッピングカートかどうかも選ぶ際のポイントです。
越境ECショッピングカートの型を理解しておくことも重要です。越境ECショッピングカートの型は、ASP型、クラウド型、パッケージ型、オープンソース型の4種類に分けられます。
ASP型(Application Service Provider型)とは、インターネット経由でサービスを利用できるショッピングカートのことです。サーバーの用意をする必要がなく、手軽に導入できる点がメリットです。機能は限定されますが、無料で利用できるASP型のショッピングカートもあり、初期費用や運用コストが抑えやすいでしょう。
ASP型のショッピングカートは、カスタマイズ性が低いものもあり、サービスへの依存度が高い点がデメリットです。サービスが停止した場合に、別のショッピングカートに切り替える手間などが発生します。
クラウド型とは、ASP型と同じようにインターネット経由でサービスを利用できるショッピングカートになります。ASP型よりカスタマイズ性が高い点がメリットです。コストも抑えながら、カスタマイズ性を求めたい場合は、クラウド型が向いているでしょう。
パッケージ型とは、必要な機能がパッケージとしてすでに用意されているショッピングカートのことを指します。必要な機能が揃っているため、越境ECサイトの構築が手軽に行える点がメリットです。カスタマイズ性も高い点も魅力でしょう。一方、初期費用や運用コストが高い点や、修正に時間がかかってしまう点がデメリットとしてあげられます。資本力があり、カスタマイズ性の高い越境ECサイトを手軽に構築したい場合に向いているでしょう。
オープンソース型では、無料公開されているプログラムのソースコードを使って越境ECサイトを構築します。自由にカスタマイズできるため、他社と差別化しやすい点がメリットです。オープンソース型の場合、自社でサーバーを用意したり、セキュリティ対策を行わなければいけません。構築や運用にあたって自社で対応できるエンジニアの確保も必要です。採用や外注を行う必要があれば、金銭的コストは抑えられても、人的コストが高額になってしまうこともあります。自社にオープンソース型で構築・運用できる人材がいる場合に向いているでしょう。
越境ECのショッピングカートで代表的なものを6つご紹介します。
Shopifyは、世界170カ国以上で利用されている、世界シェアNo1のECプラットフォームです。多言語対応しているのはもちろん、さまざまな国の通貨や税率に対応しています。100種類以上の決済方法に対応している点も魅力です。カート画面や基本ページは自動翻訳されるため、初めての越境ECでも構築・運用しやすいでしょう。販売国が複数あり、機能性の高いプラットフォームを探している場合に向いています。
LaunchCart(ランチカート)はアジア圏に強いクラウド型のECプラットフォームです。越境ECで中国や台湾、香港などをターゲット国にしようと検討している方も少なくないでしょう。総合通販(さまざまな商品を取り扱う通販)や単品リピート通販、定期購入など、幅広い販売方法に対応している点も特徴です。
導入実績は、コスメ販売の「株式会社ヒズキ」や決済代行の「アリペイジャパン株式会社」があります。LaunchCartは、越境ECでアジア圏の国をターゲットにしている場合に向いています。
Live Commerce(ライブコマース)はオープンソース型のECプラットフォームです。言語は、英語や日本語、中国語に対応しており、多数の通貨や決済方法を選択できます。導入実績は累計1,000社以上あります。Live Commerceでは、Googleショッピングやfacebook広告を活用した集客を行える点も魅力です。AIによる判定でユーザーごとにおすすめ商品や関連商品を表示できる「パーソナライズ機能」も利用できます。
Magento(マジェント)は、カスタマイズ性の高いECプラットフォームです。拡張機能が充実している点がMagentoの魅力です。手間なく自由度の高いECカートにしたい場合に向いているでしょう。カスタマーサポートがなく、自分で情報収集が必要な点や英語表記が多い点がデメリットです。
CS CARTは、パッケージ型のECプラットフォームになります。導入実績は50,000以上、13年以上の歴史があるのも特徴です。27言語、多数の通貨や決済方法に対応しており、モバイル対応やSNS連携も可能です。標準機能で顧客の会員化やキャンペーン設定もできます。買い切りとサーバー利用の2つのパッケージから選べるため、目的に合わせて活用できる点もメリットです。
Multilingualcart(マルチリンガルカート)は、ASP型のECプラットフォームです。宅配の「オイシックス株式会社」や小売の「株式会社フェリシモ」などで実績があります。英語や中国語(簡体字・繁体字)、日本語に対応しており、多数の通貨や決済方法が選択できます。デザイン性の高さがメリットで、CSSやHTMLの知識があればよりこだわったデザインにすることも可能です。コストは抑えつつ、デザインにこだわりたい場合に向いているでしょう。
越境ECの構築と運用に必須なショッピングカートは、実現したいことなどによって選ぶ種類が変わります。コストを抑えたい、カスタマイズ性が高い方がいい、デザインにこだわりたい…などが選ぶポイントです。ショッピングカートの4つの型(ASP型、クラウド型、パッケージ型、オープンソース型)を理解した上で、検討するといいでしょう。越境ECを構築せず、各国のモールに出店する方法もあります。実現したいこととコスト面のバランスを考慮して、最適なショッピングカートを選びましょう。
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