コラム
Column
グローバル化が急激に進展する現在、企業が成長し続けるためには国内市場だけでなく海外市場への進出が不可欠です。特に少子化が進む日本では、今後さらにその必要性が増すでしょう。海外市場の開拓は、新たな顧客層の獲得や収益の多様化、リスク分散の観点からも極めて重要です。
しかし、海外市場に参入するためには、ターゲット市場の特性や競争環境、消費者の嗜好、法規制など、いままであまり意識していなかった未知の分野に対する知見を蓄える必要があります。また、自社のリソースを効率よく配分し、自社の商材に最適な市場を見つけなければなりません。
よくある事例として、上司や社長から直接、海外展開のプロジェクトを任され、担当者が困惑することがあります。多くの場合、まずは調査から始めることになるでしょうが、闇雲に調査会社に依頼する前に、社内で海外展開プロジェクトを俯瞰し、調査から実行までの道のりをよく検討することが必要です。
海外調査は、自社のリソースやポテンシャルを見直す良い機会となり、企業の長期的な戦略にとっても貴重な資産となるでしょう。この記事では、そのために必要な具体的な調査の準備で最低限、担当者が意識しなければならないことを解説していきます。
この章では、調査の前に押さえておきたい担当者が行う準備についてお話しします。
海外調査を成功させるためには、調査の目的を具体的に定めることが最も重要です。目的が曖昧なまま調査を進めても、得られたデータが有効活用できず、調査全体の効率が低下してしまいます。
まず、担当者が考えなくてはならないことは下記のことになります。
目的を具体的にすることで、調査方法や調査対象も明確になります。例えば、海外に拠点を構築するのか、海外への販路を構築したいのか、さらにはデジタルでの販売や認知獲得が必要なのかで、うち手が変わって来ますので、調査の内容も変わってきます。
進出先がある程度決まっていても、長期的な視点からその国が本当に最良なのか、検討することをお勧めします。日本円が80円台になった際、多くの企業が海外拠点を構築しましたが、その際、社長の個人的な伝手から進出先を決めてしまったが、後から様々な問題が出てきて、ほかの国だったり、地域に進出すべきだったという話をよく聞きました。しかし、本来は、あらゆる情報を一度テーブルに載せて、可能性を検討すべきです。まず、始められることは、以下のような情報を国ごとに調べ、マトリクステーブルを作って比較検討する事です。
海外調査は、多額の費用と時間を要するものです。予算とスケジュールを事前に立て、計画的に調査を進めることが重要です。
スケジュールはガントチャートなどで管理することが一般的です。また、予期せぬ事態が発生した場合に備えて、予備日などのバッファーを設けておくことも重要です。特に現地に調査に出る場合、フライトの遅延、天災、政治情勢の変化など、様々な要因によって調査スケジュールが遅れる可能性があります。
調査の準備期間、現地調査期間、報告書作成期間などを含めた全体スケジュールを定め、各タスクの期限ごとに、各タスクの開始日と終了日を明確にすることで、進捗状況を把握しやすくなります。
調査においては、定量調査と定性調査という分け方、そして、デスクトップリサーチ(オンラインリサーチ)と現地調査という調査方法があります。それぞれの調査方法には、特徴やメリット・デメリットがあり、調査の目的に合わせて使い分けることが重要です。
定量調査は、数値で表せるデータを収集し、客観的な分析を行う方法です。メリットとしては、大規模なサンプルから統計的に有意な結果を得ることができ、全体像を把握しやすいことがあります。デメリットとして、回答が選択肢や数値に限定されるため、深い洞察を得ることが難しい場合があります。
定性調査では、言葉や行動など、数値化できないデータを収集し、顧客の深い理解や、ひらめきを得る方法です。
メリットとしては、回答者の言葉から、具体的な行動や感情、思考パターンなどを理解したり、思いもよらなかったインサイトを得ることがあります。デメリットとしては、 調査対象数が限定されるため、結果の一般化が難しく、経営判断の基準にはならない事が挙げられます。また、目視による判断は、リサーチをする人間の主観に左右されることが多くなります。
既存のデータや情報をもとに、机上で分析を行う方法です。定量分析も定性分析も行います。現在はインターネットを通じて、様々な調査が行えます。メリットとしては、比較的短期間に低コストで実施できます。デメリットとしては、最新の情報やネットに反映されないような情報が手に入りにくいことがあります。もし、検討している海外展開が越境ECやデジタルマーケティングの分野であれば、デスクトップリサーチとインタビューのようなものを組み合わせると過不足のない調査プランが構築できます。
現地を訪れ、直接調査を行う方法です。最大のメリットは、最新の情報や、数値化できない情報も得ることができます。特に工場の視察や現地のキーマンとのインタビューは多くの示唆を得ることができますが、時間と費用が非常にかかる他、業務知識が深い人が行わないと、調査の深度が浅くなる可能性があります。
例: アンケート調査、インタビュー調査、観察調査
調査方法には、定量と定性があり、その組み合わせで有益な調査内容を形成します。例えば、市場規模を把握したい場合は定量調査、新製品のコンセプトを評価したい場合は定性調査が適しています。
また、デスクトップリサーチは比較的安価に行えるため、手軽に利用できますが、情報を取得する人の知識や経験に左右される部分があるため、気をつけなくてはなりません。
具体的な調査手法として、下記のようなものがあります。
既存の文献や資料を収集し、分析する方法です。政府や関連産業団体が出している統計資料や、海外の法人調査資料などを使って市場規模などを推定します。また、海外の記事やキーマンのインタビュー記事なども、市場の方向性等との確認に使えます。
質問項目を作成し、多くの回答者から回答を得る方法です。アンケートの設問と、標本(母集団)の選択は、コツがあるため、十分に検討の上行うようにします。ただし、商材が特殊なものであると標本の抽出がむずかしかったり、母集団がそもそも少なすぎるため有意なデータがとりにくい場合があります。
デジタル解析ツールを利用すると、特定の国からのアクセスや、チャネル、キーワードの分析などが行えます。一部では定性的な解釈が必要となるため、知識と経験が必要になります。現在、BtoC、BtoBともに、購買の能動的な起点が検索エンジンなどのデジタルなものになっていることが多いため、手軽に重要なデータを得ることができますが、検索行動と実際の購買は違うことを認識したうえで利用する必要があります。
1人または少人数の対象者に対して、直接質問を行い、詳細な情報を聞き出す方法です。これは、アイデアや見落としていたユーザーの意図の発見に利用するもので、事業の目的や判断に利用するものではないことを認識することが重要です。ですが、より深いユーザーの理解に結び付く大変重要な調査方法です。
対象の行動や状況を直接観察し、記録する方法です。店舗や工場の訪問などを考えるとわかりやすいと思います。WEBサイトやSNSの定性調査等もこのカテゴリに入るでしょう。海外のWEBサイトやSNSの分析には、海外の言語と文化に明るい人が行う必要がありますので注意が必要です。
海外調査を円滑に進めるためには、事前の準備が不可欠です。特に、現地に訪問しての調査になると、様々なリードタイムや、突発的なスケジュールの変更なども考慮に入れて計画を進める必要があります。
デスクトップリサーチでは、比較的スケジュールの変更は少ないですが、思ったよりも検索規模が小さかったり、ニッチな商材の場合、なかなかネット上で調べられず、壁に当たることがあります。そのため、先行してデスクトップリサーチで解決できるかを判断するための事前調査を行い、必要があれば他の調査方法を取ることを検討します。
海外調査を円滑に進めるためには、事前の準備が不可欠です。現地スタッフ、コンサルタントの協力は、調査の成功を大きく左右します。そのため、専門知識や経験のある通訳や調査アシスタントを選定し、事前に打ち合わせを行い、役割分担を明確にします。もし、言語の問題があれば、通訳兼ガイドのような人員の配置も必要となります。また、調査を行う国のビザ取得に必要な書類を揃え、渡航手続きを完了させる必要があります。必要に応じて、健康診断や予防接種を受けることも必要となるため、リードタイムを前もって計算する必要があります。また、調査期間中の宿泊施設を予約し、現地での移動手段を確保します。公共交通機関、レンタカー、タクシーなど、調査の目的に合った手段を選びます。現地で利用できる携帯電話やSIMカードなども必要になります。また、調査中にトラブルが発生した場合、冷静に対応できるよう、事前に想定されるトラブルとその対処法を検討しておきます。
初めて海外調査をする際、どこから始めて良いかわからないということがあります。そのようなときは、ぜひ、上記で挙げた3つのことを念頭に、計画を進めてください。
JETROや中小機構などの公的な機関に相談することから始めるのもお勧めします。ただ、これらの機関は無料で相談に乗ってくれますが、最終的には予算を立てて、自社で調査を進めることが重要となります。その際、上記のような準備に関するポイントを意識して計画を進めていただければと考えます。
また海外をデジタルマーケティングで開拓していく際は、下記の記事も参考にしてください。
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