コラム
Column
越境ECとはWEBサイトを通じて海外市場に直接、商品を販売することです。日本から米国、中国をはじめとした海外へ販売する越境ECサイトの取引額は年々増加の一途を辿っています。
越境ECサイトには大きく二つの種類が存在します。モール型（海外ECモール）と独自ドメイン型（自社ECサイト）です。モール型の例としてAmazonやEbayなどのオンライン上のショッピングモール、独自ドメイン型の例としてShopifyで構築された自社ECサイトが挙げられます。どの越境ECで販売するかに関して、「価値のマトリックス」というフレームワークが参考になります。
これは、縦軸に認知度（検索ニーズの高さ）を、横軸にその商材が提供する価値の性質（情緒的〜機能的）を配置した4象限の図を用いて、自社の商材の特性を把握するための手法です。広く認知され、情緒的な価値を提供する商材を「評判価値」、機能的な価値を提供するものを「実利価値」と分類します。一方、認知度が低く、情緒的な価値を持つものを「共感価値」、機能的な価値を持つものを「保証価値」として位置づけています。
上部の商材（評判価値・実利価値）は、「売れるものを売る」ビジネスモデルに適しているため、eBayやAmazonといった大手の海外モールでも検索需要があり、モール型の越境ECでも十分に販売が可能です。これに対して、下部の商材（共感価値・保証価値）は、「売りたいものを売る」ビジネスモデルに分類され、ユーザーの潜在的なニーズや課題と商品を結びつける必要があるため、単に海外モールに出品するだけでは購買につながりにくい傾向があります。こうした商材に対しては、Shopifyなどのカート機能を活用した独自ドメインの越境ECサイトで販売する方が、より多くの情報を提供でき、購買に結びつけやすくなります。
越境ECの成功には、効果的な集客戦略が欠かせません。ターゲット市場を正確に捉え、適切なマーケティング手法を選ぶことで、ブランドの認知度と売上を大きく向上させることができます。ここでは、海外市場での集客方法を詳しく解説します。
大前提として、越境ECを成功させるには、まずターゲットとなる海外市場を深く理解することが重要です。現地の消費者ニーズやトレンドを把握するために、データ分析や競合分析を行います。文化や言語の違いが大きな影響を与えるため、商品のローカライズも必要になるかもしれません。市場調査を徹底し、顧客像を把握することで、無駄な投資を避け、最適なマーケティング戦略を立てることができます。
海外マーケティングを行う際、まず思い浮かぶのが広告です。広告にはリスティング広告やディスプレイ広告など、様々な形態がありますが、ブランドの認知が広まっていない時点で安易に利用しても成約率はなかなか上がりません。前述した価値のマトリクスで言えば、機能性や独自性のある「保証価値」商材のほうが一般キーワードでの集客がしやすく、ファッション関連商材など、「共感価値」商材ではなかなか集客がしづらい傾向があります。
重要なことは、単純に広告だけで集客をしても成約につながりにくいという認識です。成約率を上げるためにWEBサイトの改善や、送料、配送、返品ポリシーの見直しなども必要になってきます。それらの改善とともに、他の施策を行い、ブランド認知の底上げも行う必要があります。
広告の種類としては、Google広告（リスティングとディスプレイ広告）、Meta広告などのSNS広告、Youtube広告などがあります。状況に応じて、最適な広告を選ぶことが重要です。
越境ECの集客には、現地検索エンジンに対応したSEO対策が欠かせません。まずはターゲット市場の検索トレンドを分析し、その結果を基にキーワードを選定します。ローカライズされたコンテンツを作成し、現地の検索エンジンで上位に表示されるようにすることがポイントです。継続的なSEO対策により、オーガニックな集客力を高めることが可能です。
SEOは即効性がないため、他の施策も行いつつ、長期的な展望を持ち、粛々と施策を進めていく必要があります。ですが、SEOでの効果が出てくると、集客コストを引き下げ、安定的な流入を見込めることができるようになるため、重要な施策となります。
SNSは越境ECにおいて、ブランド認知度を高めるための効果的なツールです。特に「共感価値」商材現地で人気のあるプラットフォームを選び、ターゲット層にアプローチします。文化的背景や消費者の価値観を考慮したコンテンツを投稿し、フォロワーとのエンゲージメントを深めましょう。定期的な投稿とキャンペーンで、SNSからの集客力を強化できます。
SNSを単なる集客装置として捉えるのではなく、顧客とのコミュニケーションのツールであると認識することが重要になります。単なる商品やセール告知だけでは共感は得られず、フォロワーは増えません。ユーザーにとって価値がある投稿を続けることによって初めて、共感が得られ、多くの潜在的なお客様とつながることができるのです。
越境ECの市場で効果的に集客するには、現地のインフルエンサーと提携することが有効です。影響力のあるインフルエンサーを選び、ブランドや商品を自然に紹介してもらうことで、現地消費者の信頼を獲得しやすくなります。インフルエンサー施策は、ブランドの認知度向上や売上増加に貢献する強力なマーケティング手段です。
インフルエンサー施策では、フォロワー数よりも、商品に対する情熱やこだわりなどが重要なことがあります。初期段階では、マイクロインフルエンサーで、その道の専門家（スタイリストやメイクアップアーティストなど）に依頼して、地道に口コミを広げていくことも必要です。また、商品を試用してもらうギフティング施策などと組み合わせて行っていくことも多く行われています。
越境ECでの売上拡大には、戦略的なアプローチが必要です。競合分析やデータドリブンなPDCAサイクルを活用し、継続的な改善を図ることで、安定した成長を目指せます。売上を伸ばすための具体的なポイントをご紹介します。
お客様は、何故、自社商品を買って下さるのか理解していますか？ 漠然と商品を売っているだけでは、プロモーション施策が漠然としてしまい、効果的な訴求ができません。まず、顧客豪を把握し、どのような訴求が響くのかを明らかにする必要があります。この顧客像は、３C分析のような調査や、アンケート、インタビューのような直接顧客と向き合うことによって明らかになります。Amazon.comのようなECプラットフォームでは、お客様とつながることができないため、レビューの分析や、同カテゴリユーザーを集めてインタビューを行ったりして顧客像の把握をします。
売上を伸ばすためには、競合他社の集客モデルを理解することが欠かせません。競合分析を通じて、どのチャネルや戦略が効果的かを把握し、自社に応用しましょう。競合の成功事例から学び、自社の戦略に反映させることで、より効果的な集客が可能になります。競争の激しい市場で優位に立つためには、競合をよく知ることが重要です。
PDCAサイクルを効果的に回すことで、越境ECの運営を最適化できます。売上やアクセス解析データを基に、課題を特定し、対策を講じましょう。定量的なデータを活用することで、成果を客観的に評価し、改善点を明確にします。PDCAを繰り返し行うことで、売上や集客の持続的な成長を実現できます。
越境ECを成功させるためには、しっかりとした運用体制が必要です。現地市場の特性を理解したスタッフやパートナーと協力し、スムーズな運営を目指しましょう。顧客対応、物流、カスタマーサポートなど、各分野での役割分担を明確にし、効率的な業務運営を確立することが、長期的な成功に繋がります。
越境ECで成功するには、商品やサービス、ブランドに合った集客方法を選ぶ必要があります。ここでは、弊社のお客様事例から、越境ECの成功事例を3件、ご紹介します。
株式会社ビィ・フォアード様は、東アフリカを中心とした世界127か国以上の国々に中古車や中古パーツの輸出を行なっている企業です。SEOを意識したWebサイトの構造にしたり、Google広告など活用したりすることで、約7年間で売上が30億円から500億円と約14.7倍の拡大に成功しました。
左から弊社代表徳田、Sazen Tea株式会社 丈達社長
Sazen Tea株式会社様は、高級茶葉や茶器を販売する企業です。SEOでは各ページで検索ニーズを拾えるような構成にしました。また、運用型広告の受け皿となるWevページを活用しGoogle広告を配信しています。その結果、越境ECサイトを立ち上げてから約2年で売上が20倍、リピート率が5割のWebサイトを作ることに成功しました。
伊田繊維株式会社様は、国内・海外向けに和装品を販売する越境ECサイトです。ShopifyでECサイトを構築したものの、集客方法がわからない点が課題でした。そこで顧客解像度を上げるための現地調査や戦略立案、サイト改善のコンサルティングを受け成約率アップに成功しました。顧客解像度を上げるためには、海外ではいつどのようなタイミングで作務衣を着ているかを調査しています。職人の伝統的な製法や素材や記事へのこだわり、歴史やストーリーなどをWebサイト上にアップしたことも成功の要因でした。
世界へボカンは、これから越境ECを始める場合、すでに越境ECを運用しているけれどうまく集客できない…などのケースも全力でサポートします。海外市場調査や競合調査からより最適な集客方法をご提案し、運用コンサルティングを行います。英語のネイティブスタッフが駐在しており、消費者の届く高品質なコンテンツの作成により、御社の魅力を世界に届けます。調査戦略立案、海外集客は世界へボカンにお任せください！
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はじめて越境EC、海外Webマーケティングに取り組む方向けに書籍を出版しました！
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