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トランプ関税とは?トランプ米大統領による「相互関税」が越境ECに及ぼす影響とは?
- 2025.04.09
- 越境EC

トランプ関税とは?
トランプ米大統領による「相互関税」とは?
アメリカのドナルド・トランプ大統領は4月2日、同国が輸入する製品すべてを対象に関税を引き上げるという「相互関税」について大統領令を発表しました。
ほぼ全ての国に対して一律10%の関税が4月5日に発動されており、その後、4月9日午前0時1分(日本時間同日午後1時1分)に24%の相互関税が発動しています。
関税率については、非関税障壁も含めた独自の計算によって米国製品に46%の関税が課されている状態とみなし、その半分程度である24%として設定されています。
相互関税が発動した4月9日同日、トランプ米大統領は相互関税の一部の適用を90日間にわたって停止すると発表しました。
最低税率の10%は継続となりますが、日本の場合24%となっていた税率は当面の間10%の税率となります。
トランプ関税の背景
「相互関税」導入の背景
相互関税が導入された背景には、米国の巨額な貿易赤字や産業空洞化への危機感がありました。
トランプ氏は就任前から「米国第一主義(アメリカ・ファースト)」を掲げ、他国との貿易が「不公平で一方的だ」として不満を表明していました。
具体的には、長年続く対中貿易赤字や製造業の衰退、同盟国を含む各国の関税・貿易障壁の存在などを問題視しています。
トランプ関税により何が起こるのか
「相互関税」により何が起こるのか
様々な推測がされていますが、関税が高くなることにより商品トータルの価格が引きあがるため、下記のようなことが起こると推測されています。
高い関税による買い控え
関税を含んだ価格設定の場合、商品トータルの販売価格を上げざるを得なくなるため、購入されにくくなります。
高い関税による受け取り拒否
関税を含まず販売している場合、商品受け取り時に高い関税が課され、商品の受け取りを拒否するケースが増える可能性があります。
800ドル以下の商品の購入に留まる
「デミニミス免税ルール」と呼ばれる800ドル(約12万円)未満の小包には関税がかからないというルールは今のところ継続のため、800ドル以下の場合は関税が免除されます。
そのため、800ドル以下の商品購入に抑えようとする人が増える可能性があります。
(※中国、香港のみ5/2にデミニミス免税ルールが撤廃されることが決定しています。)
トランプ関税に対する見解
「相互関税」に対する見解
800ドル以下の商品はひとまずは関税がかからず影響少
800ドル以下であれば、デミニミス免税ルールにより基本的には無課税となるため、影響は少ないと考えられます。
ただし、今回の関税措置は世界中を揺るがすトップニュースとなっており、ネガティブな影響が強いものでもあるため、買い控えの影響が少なからず発生すると言えるでしょう。
また、800ドル以下でも関税かかるケースも例外的にあるので要注意となります。(逆もしかり)
800ドル以下で日本製の商品(包丁、お茶、着物、Made in Japanアパレルなど)はチャンスか?
デミニミスルールが中国、香港のみ5/2~撤廃されることが決定し、SHIENやTemuなど低価格帯で急成長を遂げていた中国発越境ECは価格高騰や米国市場撤退などが進むと予想されています。
それにより、類似の低価格商材などが減ってくることが考えられるため、日本製商品のプレゼンスが上がる可能性があります。
ただし、低価格商品を購入する層のリーチが拡がるだけとも捉えられるため、商材によってはターゲット顧客とずれていて、あまり影響がない可能性も考えられます。(例えばニッチでコアなファン層を持つようなアパレルブランドであれば、そもそもSHIENなどで洋服を購入するような層はターゲットにならないなど。)
800ドル以上の商品でも付加価値の高い商品であれば影響の範囲は小さい
B2B商材は800ドル以上の取引が多いため関税の対象になってきますが、独自性や独自技術があるような商材であれば影響は少ないと考えられます。
また、嗜好品などで「そのブランドでなければならない」というものについても同様に影響はあまりないでしょう。
一方、米国内でも手に入るような商材である場合、独自の価値を明確に打ち出さないといけなくなってくるため、少し値段が高くても日本からわざわざ購入するための理由をしっかりと伝える必要があります。
トランプ関税に対する対策
アメリカの販売低下に対する対策
ではアメリカの販売が低下してきてしまった場合にどういった対策が取るべきでしょうか?
例えば下記のような対策が考えられます。
- 他国の販路拡大(米国依存から抜ける)
- 独自性、希少性を訴求できる商材に注力する
- 利益を削って価格高騰を抑える(あまり得策ではない)
- 仕入、生産効率を見直して価格高騰を抑える(これも現実的には難しそう)
利益や仕入れ値のコントロールによる価格調整というのはかなり難しそうではあるため、やはり米国以外の国で販売を伸ばす施策や、付加価値を強調し価格だけで判断されないような情報を充実することが求められると考えます。
トランプ関税でお困りの際は…
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