対談
Interview
Shopify 日本公式エバンジェリスト河野貴伸氏と海外WEBマーケティング歴13年 徳田祐希の対談動画第一弾。
徳田
本日はD2Cブランドのブランディングについて、弊社のブランディングのアドバイスもしてくださっている
フラクタの河野さんとお話しさせて頂きます。
よろしくお願いいたします。
河野氏
株式会社フラクタの河野と申します。
「デジタルネイティブ ブランディングエージェンシー」
を掲げて、ブランドの構築をお手伝いさせて頂いております。
また、Shopifyと言われるECのSaaSのサービスのエバンジェリストもやらせていただいております。
本日はよろしくお願い致します
徳田
このコラムは、以下の方向けです。
・D2Cブランドをお持ちの方
・D2Cブランドをこれから立ち上げるかた
・D2Cブランドの今後が気になる方
何か一つでも気づきや学びがありましたら幸いです。
D2Cブランドという言葉を最近よく聞きますが、D2Cブランドとは一体どういった定義のものなんでしょうか?
河野氏
D2Cブランドについてよくご質問を頂くことが多いのですが、
恐らく皆さんもネットの記事や様々な書籍でD2Cについて学ばれているかと思います。
そういった前提はありつつ、今日は改めて整理した視点でお伝えしたいと思います。
河野氏
まず"D2C"とは、
「Direct to Consumer」
「Direct to Customer」などの略です。
"ダイレクト"で誤解されがちなのは、"直販"という解釈だけで捉えられることです。
その話だけしてしまうと
「すでに日本には、EC直販のブランドっていっぱいあるよね」
「別にD2Cって新しくないのでは?」
という考え方も出てきます。
河野氏
一方で、eコマース(EC)はずっと伸びてきていています。
では「一体何がダイレクトなのか」というと、
"お客様と直接つながりを持つこと"です。
Amazonや楽天で売ってることは"ダイレクト"ではない。
つまりD2Cではないという見解です。
お客様と共感などの"心のつながり"がダイレクトにできるということが一つの定義だと思ってますね。
徳田
1WAYじゃないんですね。
河野氏
そうですね、双方向です。
なぜ双方向ができるようになったのかというのはまさしくテクノロジーの発展によってできたことだと思ってます。
元々商品が単一の流通だけだった頃というのはやっぱり商品というものは一方的に流れてくるもので、それを顧客が選ぶか選ばないかだけだったと思います。
ただ今というのはお客様がこういった商品を求めているという事はその商品のメーカー側も理解ができますし、今までは一方向だったものが販売員が1つのHUBになったりとか、販売員がお客様の気持ちを最も理解して商品開発に活かしたりとか様々な双方向の流れができたと。
結果的にお客様の考えていることをそして商品の作り手、メーカー、ブランドがダイレクトに情報をやり取りできるようになった事によって少しずつ生まれてきた概念がここ最近になって、非常に体系化されてきた様に思いますね。
直販というので中間が無くて安くなるかではなく、もっとフィードバックをダイレクトに受けれるだったり商品の開発に活かせるだったりとか。
徳田
そういうところがD2Cの醍醐味ですね。
河野氏
そうですね!
なぜD2Cが伸びてきたのかという議題でよく言われるのは
アメリカでたくさん立ち上がっているD2Cブランドは中間コストを省いて
「良いものを安く提供している」ということは触れ込みです。
一方、皆さんがかなり疑問に思われるのは、ひいき目に見ても
「日本製の商品の方が良いのでは?」という状況がよくあります。
徳田
確かにそうですね!
河野氏
例えば、アメリカの(D2C)だと、
Casperというベッドのブランドだったり
Warby Parkerというメガネのブランドがありますが、
彼らはすごく丁寧で且つスタイリッシュなモノづくりをしてると思いますし、僕は好きなんですけれど、
一方で日本のメーカーが商品力で負けているかというとそんなことはありません。
ここで忘れてはいけない事は、
彼らは「顧客とダイレクトにやり取りをする」ということを前提に置いて設計されてるということですね。
徳田
宅配で届いたメガネを試着し、ハッシュタグ#warbyhometryonと共にInstagramに自撮り写真を投稿すると、Warby Parker公式からコメントがつくのですが、こういったインタラクティブな感じ凄く良いですよね。
河野氏
そうですね。
「顧客との双方向のやりとり」は実は日本では歴史をさかのぼると
(D2C的な)ブランドやお店ってたくさんあったんですよ。
なので日本でEC支援をされてる方やアパレルブランドを展開されてる方は、
D2Cを見た時に「なぜD2Cがそんなに新しいって言われるのか?」という風に思われるんですね。
(これまで自分たちが)当たり前の様にできていた事だと思われるんです。
では何故ここにきてD2Cの在り方や考え方が世の中で注目されるようになって
日本にも入ってきたのかというと、
シンプルな顧客との直接のやりとりを
できている人はできていたけれど、
できてない人はできていなかったからです。
しかしながら、どちらが正しいのか、
どちらが良いのかという定義が存在しなかったんですよ。
でも、D2Cブランドが出てきて何が良くなったかというと、
「そういう事(顧客との直接のやりとり)を皆考えようね」
「そういう事(顧客との直接のやりとり)って大事だよね」
という概念ができあがってきたという事だと思うんですよね。
テクニックではなく、ブランドとしての自分達の在り方を考えよう、
つまり「"スタイル"が大事だ」ということが、一部の人だけではなく、
全てのブランドが考えるべきことになってきたんじゃないか、
ということが凄く良い事だと思っています。
徳田
物が売れなくなってきた時代では情緒的な価値だったりとか、
やり方やスタイルみたいなところが共感を生んで商品を購入するきっかけになりますね。
河野氏
そうですね。
奇しくもコロナということがあり、世の中の経済が停滞してる中で、
僕が感銘を受けたのは、 例えばうなぎパイの春華堂さん。
高速道路などのパーキングエリアでお土産として売っていたものが(コロナで)売れなくなった。
そうして、春華堂が生産中止を発表すると、
「生産を中止して欲しくない」「これからも作って欲しい」「買い支えたい」
と言う声がたくさん届いたらしいんです。
河野氏
これこそが双方向じゃないですか。
お客様側からそういったメッセージを発信して
企業が頑張れるっていうのもそうですし。
一方、ヨーロッパではラグジュアリーブランド達が自分達の商売を差し置いて、社会に貢献する行動を起こしました。
社会を良くするために助成金を断わったり、自分たちの工場を使って消毒液やマスクを作っています。
これはまさしく"スタイル"なんですよ。
河野氏
つまりビジネスとか目先の利益とかではなくて、
「自分たちの存在は何なのか」
「世界に何を求められているのか」
「なぜ存在してるのか」
これらを語れるからこそやれる事だと思います。
これこそ双方向じゃないですか。
お客様側からメッセージを発信して企業が頑張れるということもあります。
徳田
今こそブランドの"在り方"が試されるタイミングですね。
河野氏
そうですね。
そういったもの(在り方が試される場面が増える)が急速に進んでいってると思うんですね。
僕はD2Cと言うブランドの在り方は、今までのものよりもいいとか
今までのものを上回って周囲を淘汰していく、
つまりDisruptしていく(崩していく)という話ではないと思っています。
D2Cは自分たちがお客様と直接やり取りをしてお客様から支持される、
信頼されるブランドにならなければいけない。
そのようなムーブメントのきっかけだという風に僕は捉えています。
ただ今のD2Cのやり方は、まだ発展途上なんですよ。
アメリカなどでは(D2C企業が)多額の資金を集めて上場を目指し、
実際に上場したけれど結果的に広告費の比重が多すぎたり。
様々なネガティブな側面も見えてきています。
これで
「D2Cはダメだよね」とか
「D2Cって流行り言葉だよね」
と捉えるのではなく、
まだ発展途上にある思想の一部と捉えて次に活かしていく。
恐らくD2Cという言葉は中間にある言葉であると僕は思ってますね!
ブランドのあり方における中間点、まだまだ発展途上の状態と言うのが、
D2Cという言葉なのではないか、というのが今の僕の中での定義です。
①D2Cブランドとは?
✔️Direct to Cosumer (Customer)の略称。
✔️テクノロジーの発展により、ブランドと顧客の関係性が 単方向⇨双方向になった事で生まれてきた概念。
➁なぜD2Cが注目されているのか
✔️ブランドと顧客間の「双方向のやりとり」が重要であるから。
✔️ブランドの「スタイルの確立」が重要であるから。
➂これからのD2Cブランドの在り方
D2Cは「発展途上にある思想の一部」として捉え、
”ブランドの在り方における中間点”として未来に活かすべき。
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河野 貴伸氏
株式会社フラクタ 代表取締役
Shopify 日本公式エバンジェリスト
「日本のブランド価値の総量を増やす」をミッションに、ブランドビジネス全体への支援活動及びコマース業界全体の発展とShopifyの普及をメインに全国でセミナー及び執筆活動中。
株式会社フラクタ様
ブランディング事業を柱に、ブランド戦略策定からマーケティングコミュニケーション設計、ECサイト制作などをデジタルネイティブに一貫して実行。プロフェッショナルたちの専門力と、カテゴリと媒体の垣根を超えた実行力により、ブランドにとっての象徴的な体験「シンボリック・エクスペリエンス」を実現するとともに、ブランドの新しい可能性を広げる。
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