対談
Interview
今回のnoteインタビューでは、「売れる仕組みをつくるマーケットリサーチ大全」の著者である菅原さんにアクセス解析、デスクリサーチ等の調査についてお話を伺います。
【菅原大介氏】
リサーチャー|【マーケットをつくるリサーチ】をライフテーマに活動中
上智大学新聞学科→学研→マクロミル→大手総合ECサイト
著書『売れるしくみをつくる マーケットリサーチ大全』(明日香出版社)|マーケティング/アンケート調査/ブランド/小売・サービス/雑誌研究/広報PR
徳田
こんにちは!世界ボカンの徳田です。
本日は、書籍「売れるしくみをつくる マーケットリサーチ大全」の著者でもあり、弊社のマーケットリサーチの監修も行っている菅原大介さんに市場調査の方法についてお話を伺います。
今回は、前編に引き続いてマーケットリサーチの「アクセス解析、デスクリサーチ編」について、聞きたいと思います。
徳田
まず、アクセス(行動ログ)解析ツールについて、伺いたいです。
我々も競合調査ツール「SimilarWeb」で細かく競合サイトのチャネル別データで流入キーワードを見たり、SEOの被リンク分析ツール「Ahrefs」を使って競合サイトのバックリンクからどういう参照元からリンクされているか、メディアに掲載されているかなどをチェックしています。
また、Google Analytics(グーグルアナリティクス)やサーチコンソールとかを見て、定量的なデータを見たりしています。
菅原さんは、アクセス(行動ログ)解析として、どんなことをされていますか ?
菅原
アクセス(行動ログ)解析ツールついて、私はマーケティングリサーチでの関わりという形になるので、デジタルマーケティングを行う方に比べて、そんなたくさんのツールは使ってないです。
ただ、キーワードを調べるということを中心にして、アクセス(行動ログ)解析ツールを使うようにしています。
徳田
なるほど。
リサーチを行う上でのキーワードや複合検索のヒントとして、アクセス(行動ログ)解析ツールを使われているのですね。
菅原
そうですね。
徳田
では、アクセス(行動ログ)解析ツールの長所・短所を教えてください。
菅原
はい。
まず、長所について説明します。
菅原
1つ目は、ロングテールのユーザニーズを把握できることです。
キーワードをベースにして分析することで本当にユーザー自身の言葉で、入力したワードというものがわかります。
また、同時に何のキーワードが検索対象になっているのか、複合検索だったり、いっしょに上がってくるキーワードなどもわかります。
このように分析できるのは、キーワード解析機能を持ったアクセス(行動ログ)解析ツールの専売特許であり、なかなか他のリサーチ手法ではできないことだと思っています。
菅原
2つ目は、ベンチマークサイトを通じた効率的な調査・スタディーが可能だということです。
アンケートやインタビューなどの調査は、準備・実施に時間がかかります。
しかし、ウェブの解析ツールであれば、競合調査をやる時に自分の稼働だけで、しかも短時間のうちに競合状況というのを調べることができます。
ベンチマークとする競合サイトや目標とするサイトなどを調べていくときにすごく使えると思っています。
徳田
なるほど。
競合が流入を獲得してるキーワードなのに自社が獲得してないキーワードがあった場合は、何かコンテンツに差異があるのではないかなど見えてきたりしますね。
その上でどういったコンテンツが上位表示させるのに必要なのかが見えてきたり、キーワードのデータからのいろんな示唆が得られますよね。
徳田
逆にアクセス(行動ログ)解析ツールの短所を教えてください
菅原
アクセス(行動ログ)解析ツールの短所について、1つ目は調査対象の検索ボリュームが不足していることが多いということがあります。
このツールに期待することは、全件ベースでいろんなものが検索できるっていうことだと思います。
ただ、アクセス(行動ログ)解析ツールを使ってみると検索ボリュームが足りないということがよくあります。
そのために、あまりデータが出てこないところは難点だと思っています。
徳田
確かにそれはありますね。
特にBtoBだとそもそものアクセスやオーガニック流入も少なくて、自社のアクセスログはサーチコンソールで見えるけど、競合データはほとんど見えないなども結構あったりします。
菅原
2つ目の難しい点として、データを分析していく中で、解釈がしづらいその他的なデータアイテムが多いというのはあります。
徳田
たしかに。
ノイズみたいなデータが多いですね。
菅原
そうですね。
その最たるものとしては、”ノーリファラー=参照元がありません”みたいなものです。
その”ノーリファラー=参照元がありません”をどう解釈するかにアクセス(行動ログ)解析ツールの運用歴や習熟度みたいなものが必要だったりします。
この点もアクセス(行動ログ)解析ツールを使う上で難しい点だと思っています。
徳田
次にデスクリサーチについて、教えてください。
菅原さんのイベントでデスクリサーチの重要性を伺ってから、我々も結構やるようになりました。
顧客の購買決定要因になるようなポイント、その基本となる比較表を作って並べることで見えてくることがあるというのを感じています。
また、お客さんに比較表を見せることで、自分たちが得られない示唆を得られることもあります。
BtoBだと”競合の最小ロットはこんなもんなんだね”、”最低発注はこれぐらいなんだね”や、”ここは自社の強みだと思っていたけど、本当はここが強みなんだね”、など気づきが得られるツールだととても活用させて頂いています。
菅原
はい。
デスクリサーチで企業(ブランド)サイトを調べるときの代表的なポイントだけお伝えをします。
・メタタグ
タグはタイトルとかディスクリプションやキーワードですね。
このあたりは、デジタルマーケターじゃなくてもマーケティングリサーチでもよく見ておくべき点かなと思っています。
・ナビゲーションメニュー
ECサイトとかをやっていると、グローバルメニューとかグローバルナビみたいなものをトップに置くケースが多いと思います。
そこで表示されているカテゴリー展開や商品点数、どういった展開をしているのか、またその展開のやりこみ具合などから、その企業の姿が見えてきたりします。
・紙の資料
紙の資料ですが、決算説明資料を見ていると企業独自のKPIが出てきていることがあります。
例えば、売り上げや利益、コンバージョンなどの多くの会社が重視しているものでだけでなく、SDGSについての取り組みなどその企業独自の取り組みが決算説明資料などに上がってたりしています。
このような部分をその会社の方針として見逃さないようにしています。
徳田
なるほど。
グローバルナビゲーションは、ユーザの知りたい情報順に並んでいると言われてたりしていて、配置によって売れ筋がわかるなどいろいろ気づきがあります。
このようなことで市場のトレンドだったりとか、その企業が差別化するためのポイントを捉えることができるかもしれないですね。
菅原
では、デスクリサーチで企業(ブランド)サイトを調べるときのメリット(長所)を説明します。
1つは、本音ベースでそのブランドの状況というのを理解できることだと思っています。
先ほどからトピックにあがっているナビゲーションメニューなどを見ていく時に、どういうカテゴリ展開や方針でやっているのかなどについて、メタタグとかナビゲーションメニューを見るとよくわかります。
それは、実際に世の中に公開していて、且つ検索ロボット向けにもその情報を出しているので、嘘がつけない部分です。
例えば、コンテンツページや会社概要ページっは、美辞麗句で書かれていることが多かったりすので、それが本当のこともあるし、怪しい時もあったりします。
そのため、企業の本音をファクトベース、実態ベースで追いかけていくときにメタタグやナビゲーションメニュー、独自KPIを頼りにして、ブランドサイトを見ていくことがすごく大事だなと思っています。
徳田
デスクリサーチのデメリット(短所)はあるんですか?
菅原
そうですね。
デメリット(短所)というか難点の部分ですが、サイトの中に記載されているタグの内容やサイトの中に表示されているタグの記述が浅い時があります。
浅い、もしくは択一的、やっつけの部分で終わってるっていうことがたまにあって、それは参考にできないですね。
サービスサイドの人のウェブの方への関与が浅い時にプログラマーやデザイナーの人が仮案で提案したものがそのまま入っちゃったんだろうと思うことがあります。
そのブランドがタグもこだわってサイトを作っていたら良いのですが、社内の連携体制が上手くいっていないと、それがサイトの裏側にも現れていて参考にしにくい事はあります。
徳田
そうなんですね。
ブランドサイトを見ても、この企業はウェブに対してのリテラシーが高くないんだなっていうぐらいしかわからないてことですよね。
菅原
そうですね。
徳田
インタビューやアンケート、デスクリサーチなどマーケットリサーチについては、色々あると思いますが、それをどう解釈するかが大事になります。
マーケットリサーチは、修練度がかなり求められてくるなと思うんですね。
我々もリサーチを回数を重ねて行い、そのリサーチからどういう戦略を考えるかを行う中で、やっぱり菅原さんみたいな経験の豊富な方に監修して壁打ちさせて頂くのは本当に大切だと感じています。
こういうお願いを菅原さんにできたりするんですか?
菅原
はい。
自分自身も本を書くなどして、リサーチの技術について広く残していきたいと思っています。
そこである会社さんからお声がけ頂いて、調査の監修や企画、それから分析についてご相談頂くこともあったりします。
マーケットリサーチについて、何かやりたいことがあればぜひ一緒にやらせて頂ければと思います。
徳田
SEOやリスティング、メールマーケティングなど、色々な戦術や施策は色々と情報が発信されていると思います。
しかし、調査とか戦略立案の重要性を伝えることはプレイヤーとして修練度が高くないとできないのでなかなか情報って発信されてないと感じています。
僕らは、新しい市場である海外市場をやっているので、そこを攻めていくときの調査戦略立案は、本当に大事なんですよね。
国内市場でも同じように競争が過激化していく中で、調査や戦略立案のフローの大事さっていうの感じて欲しいと思っていました。
今日は、貴重なお話を頂きありがとうございました。
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文・編集:白似田洋介、加納宏徳
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