対談
Interview
この記事を読むことでブラジルの基本情報や現地のマーケティング、消費者の行動についてがわかります。
【林 千江美氏 略歴】
サンパウロでPOSシステム、アプリ会社を経営。
現地の声でブラジル進出したい企業を応援する。
日本とブラジルをつなぐ架け橋を目指す。
【世界へボカン株式会社 代表取締役 徳田祐希 略歴】
日本の魅力を世界へ伝えるというミッションの元、13年以上にわたり、多国籍メンバーと共に越境EC、海外BtoBマーケティングに取り組む。
越境EC企業の年商を35億→500億、14.7倍の成長を導くなど数多くの実績を残す。
Shopifyマーケティングエキスパート。
世界へボカン 徳田(以下 徳田)
こんにちは!世界へボカンの徳田です。
本日はブラジルのサンパウロからちえみさんにブラジルについてお話を伺いたいと思います。
よろしくお願いします。
ブラジルちえみ氏(以下 ちえみ氏)
ブラジルのサンパウロに在住の林千江美と申します。
2009年にブラジルの方に移住し、2011年からハヤシインフォルマチカという POS システムの会社をしています。
店舗、スーパー、文具店、レストランなどの売り上げ管理システムやその周辺のアプリの開発をしています。
よろしくお願いします。
ちえみ氏
ブラジルの基本情報ですが、国土は面積が851万で日本の22.5倍、世界で第5位になります。
首都はブラジリアで人口はブラジル全土で約2億1千万人います。
その中でも人口が集中しているのがSudesteと言われる南東部で、ここに8800万人が在住しています。
サンパウロ、リオデジャネイロはに加えてミナスジェライス州、エスピリトサント州ですね。
その中でもサンパウロ州が4600万人で人口の70%ぐらいでと最も多く、日本で言う東京のような経済の中心地です。
そのサンパウロ州の中でもサンパウロ市が半分ぐらいで約2200万人います。
気候は日本と真逆で7月に入ったので今冬です。
赤道の方に近い北部の方が暑くて南部になると寒く、今年も南部の方で雪が降ったぐらいです。
ブラジルと言っても気候などが違うため、北部の方はあったかいため褐色系・黒人の方が、南部の方は移民してきた白人の方が多くドイツ人とかが多いですね。
サンパウロはミックスという感じで色んな所からの国の人が混ざっています。
なのでアメリカみたいな感じです。
おそらく日本で考えるブラジル人っていうのとはちょっと違うかもしれません。
日本には行っていらっしゃるのは日系の方なのでイメージが偏ってしまうかもしれませんが、人種はバラバラです。
サンパウロとの時差は12時間で真逆です。
ちえみ氏
あとこちらの写真がサンパウロ市の中心部です。
土地がないので家、マンション、アパートもみんな高層ビルになります。
東洋人街:Liberdadeと言う場所があり、日本人が凄い多いです。
ブラジルには200万人以上の日系人がいて、日本以外で世界で最も日本人が住んでいる国ともいわれています。
そのため日本の商品もいろいろなところで売られてます。
しかし日本からの輸入品は日本の2~3倍ぐらいの価格で販売されています。
徳田
価格が結構高いんですね。
ちえみ氏
ちょっと高いです。
ブラジルは日本人よりも給料が少ないですが、日本の2~3倍の価格で売られています。
私もたまに日本のお菓子を買うんですが、やっぱり高いイメージです。
これもサンパウロなんですが、北から職を求めて来た不法移住者の建てた小屋:ファベーラというスラム街のようなところです。
住む地域によっても国が違うぐらい変わります。
ちえみ氏
これは年齢別の人口ですが、日本だと一番多い人口中位年齢がおそらく48歳ぐらいでしょうか?
ブラジルの場合だともう少し若くて36.7歳です。
若者がまだまだ多いですね。
ちえみ氏
現地の日系企業は大きいところだとトヨタ、ホンダの車ですね。
スーパーでは日清、味の素はどこのスーパーでも入っています。
あと最近はデパートとかショッピングセンターの中にダイソーが大きくお店を出していますね。
それと機械工具のマキタさんも入っています。
結構な会社が入ってきています。
ちえみ氏
平均世帯収入ですが、サンパウロの平均世帯収入が大体3443レアルぐらいですね。
21円で計算すると7万円ちょっとぐらいです。
事務の子の給与と比べると1/5以下となります。
レアルと円の外貨の関係で時期によってもだいぶ変わってはきます。
徳田
今レアルは買いですね。
そうですね、これからじわじわ上がってくると思います。
あとはブラジル人は親日で、日本人のことを好きだと思います。
グッズも漢字が書いてあるグッズやインテリア、あとタトゥーを入れてる方も結構いらっしゃいます。
イメージ的には日本人は勤勉で頭が良くてお金持ち。
日本の商品は質が高く、食べ物にしても健康的といったイメージを皆さん持っています。
ちえみ氏
ブラジルには1970万の企業があり、そのうち9万はスーパーマーケットで、レストランが100万軒あります。
徳田
ブラジルでネットでの売買やECは盛んですか?
ちえみ氏
ブラジル最大の EC サイトがメルカードリブリというサイトです。
日本の楽天のようなサイトでメルカードリブリで売ってないものはないぐらい何でもあります。
1000万の出店者と3400万人のアクティブのユーザーがおり、1秒あたり6000回の検索と9回の購入を記録するくらいとにかく売れてます。
検索してもメルカードリブリが出てくることが結構多いです。
インターネットの検索で5番目にアクセス数の多いウェブサイトとなっていて、月間ユニークビジターが5200万人なんです。
徳田
Amazonや楽天みたいな感じですね。
ちえみ氏
そうですね。
商品がメルカードリブリの倉庫にあるものは昼に頼んだら3時ぐらいに着くので便利ですね。
あと個人的にブラジルで売れそうなものの一番はアニメグッズです。
他の国でもそうだと思いますが、ブラジルでもすごく人気です。
アニメグッズは Netflixや他のサイトでナルトやデスノート、ワンピースなどが見れるので人気が高く、売れると思います。
徳田
ブラジルの100万人チャンネル登録数がいるユーチューバーの方とこの前コラボしたんですが、ブラジルではなかなか本物のアニメグッズが手に入りにくいとお話されていました。
その方も日本の物は売れるんじゃないかって話をしてましたね。
ちえみ氏
そうですね、アニメはすごく熱狂的なファンがいるため売れると思います。
私が個人的に思ったのはサーキュレーターです。
扇風機もあるんですけど、日本のサーキュレーターはちっちゃくて持ち運び便利じゃないですか?
ブラジル人は長期休暇でしょっちゅう海に行ったりします。
ホテルじゃなくAirbnbみたいな所で家を借り、大人数で過ごしたりする
ので、扇風機が足りないって時にサーキュレーターがいいのではと思います。
実際自分も日本で買ってきて旅行に持って行くのにすごく便利でした。
カラーコンタクトはブラジル人の目立ちたい性格に合ってると思います。
カラコン自体はあるんですけど、まだまだ高かったり日本のように普及していないです。
あと日本のカラコンって縁が緑になったりたくさんの種類がありますよね。
日本人だと若い方がつけるというイメージだと思いますが、ブラジルの方は人種が色々なので若い層に限らなくても受け入れられそうだなと思いました。
あとはせんべいが売れそうかなと思います。
ブラジルの有名な製菓が薄焼きに似た商品を最近出しました。
塩辛いものだしビールの時に合いそうで売れるんじゃないかなと思いますね。
あとはカニカマ。
すでにカニカマは認知されているんですが、全部冷凍で片栗粉こねたようであまり美味しくないです。
そのため、日本のおいしいカニカマは売れるんじゃないかと思います。
徳田
なるほど。
これを見てるカニカマ屋さんはぜひブラジルに参入してもらいたいと思いますね。
ちえみ氏
文化的には全部分割で買う文化です。
日本人は結構高くても一括で買うことが多いと思いますが、消費を促す行動のひとつとしてブラジルでは全てのものが分割で買えるんですね。
ECサイトもそうですしお店でも割と分割できるので、その時にお金がなくても買えます。
クレジット使用者の76%は商品やサービスを分割決済するというデータもあります。
先ほど言った最大大手のメルカードリブリの EC サイトだと142レアルのスニーカーを12分割できたりするんですよ。
そうすると10レアル:200円くらいを毎月払っていく形です。
徳田
2800円のものを12回分割して買うということですか?
ちえみ氏
そうです。
なので売れるんですね。
例えばスーパーや薬局、衣料品店でも100レアルぐらいを超えると「分割されますか?」と聞かれます。
徳田
そうするとブラジルに進出したい日本企業はメルカードリブリに出店する。
または独自ドメインサイトを作って展開するにしても分割払いに対応してないとそもそも売れないということですね。
ちえみ氏
多分無理だと思います。
分割払いがキーポイントですね。
しかもその分割払いがsem juros:セン ジュロスという利子がつかない分割払いだと、高くても欲しいものは皆さん分割して買います。
徳田
ではアニメグッズをポルトガル語で販売し、分割払いができるとかなり勝機があるかもしれないですね。
ちえみ氏
ブラジルの保険制度ですが、国がやっている病院は手術、入院、高血圧の薬や胃の薬などが全部無料です。
日本人だとやはり将来のことが心配でお金を持っていても使えないといったことがありますよね?
ブラジルでは、万が一の病気の場合でもお金の心配が要りません。
徳田
医療制度が充実してるんですね。
ちえみ氏
もちろんプライベートな病院に行きたい方は保険料を払い別の病院に行くこともできますが、そういう保険に何も入ってなくても全部無料です。
ちえみ氏
2021年にブラジルで最も使用されたSNSというトピックをお話します。
まずSNSの平均使用時間が1日3時間30分と結構長い時間使っています。
WhatsAppは日本のLINのようなで、ソーシャルメディアのメインが Facebookと Instagramです。
Facebookは世界で4番目にアクティブユーザーが多く、1億5千万人がアクティブユーザーとなっています。
またInstagramも世界で3番目にアクティブユーザーが多く、9900万人のブラジル人がInstagramを使用しています。
Facebookだと日本人よりも投稿をシェアしてる気がします。
徳田
Twitterの方がシェアという感じがしますが、Facebook は本当に仲がいい人や関係者でないとシェアはしないですね。
ちえみ氏
例えば Facebook で見つけたものをコミュニティツールのWhatsAppで送ってきたりなど、いいものはシェアするようなメッセージをよく見ます。
先ほどもあがりましたがコミュニケーションツール、日本のLINEのような位置付けはWhatsAppで、ブラジル人の80%が1時間に1回 WhatsApp を使用しているということで連絡手段は全部 WhatsApp です。
例えば会社の連絡先、問い合わせ先も、今はコンタクトフォームよりも WhatsApp 経由で問い合わせや見積もりが来ます。
徳田
WhatsAppで見積書とかを添付できるということですか?
ちえみ氏
そうですね、弊社の場合だとどういった業種のお店をやっているのかなどをWhatsAppで聞き、その後 E メールで送るという流れです。
徳田
初回のコンタクトは WhatsAppで、ということですね。
そうするとWhatsApp を持ってないとブラジルでビジネスできないですね。
FacebookやInstagramで顧客接点を持つことと、WhatsAppを用意しておきコミュニケーションできるようにしていた方がブラジルの方とはやり取りがしやすいということですね。
この前ドイツの話を聞いたんですが、ドイツもWhatsAppを使われていて このアプリを使われてる方は結構世界中に多いという印象です。
ちえみ氏
今ブラジルではデリバリーがとてもすごいです。
iFood、Uber Eats、Rappiの3つが3大デリバリー会社ですね。
その中でもiFoodが一番大きいです。
ロックダウン前はそうでもなかったんですが、ロックダウンでレストランやバーが閉鎖されたため、今までデリバリーを注文しなかった層が普通に使うようになっています。
徳田
このコロナを通して文化は結構変わりましたよね。
変わったと思います。
会社の事務の女の子も朝ごはんを食べてこなかったからとiFoodでパンとジュースを頼んでました。
ちえみ氏
国民性として、ブラジル人はバーベキューがとにかく好きです。
シュラスコという家のバルコニーでバーベキューができる場所があるぐらい好きですね。
あとはビールが好きで、消費量はアメリカ・中国につぎ世界3位となっています。
あとは長期休暇には絶対に海に行くくらい海が好きな人が多いです。
セカンドハウスとして海にアパートやマンションを持っている方も多く、長期休暇は海で過ごすといった感じです。
女性の特徴としてはロングヘアーでとにかくタイトな服が好きなので、ボーイッシュな格好はあまり好まれないですね。
あとはネイルのお手入れが好きで、70歳の私の義母ですらネイルサロンに行くぐらいです。
日本の物というそれだけで少し差別化できるので、こういった国民性に合わせた商品があれば売れるかもしれないですね。
徳田
そういった文化的な特徴や国民性にフィットした商品があれば、ブラジル参入の余地はあるかもしれないですね。
課題としてはポルトガル語と物流ですよね。
ちえみ氏
そうですね、物理的に遠いので物流の関係からか日本からはブラジルでも法人を作る日本の企業でないと来てないイメージですね。
徳田
なるほど。
そんなブラジルに10年ほど暮らしているちえみさんは現地でもマーケティングやPOSに関する仕事もやれているんですよね。
もしブラジルに興味がある方やブラジルに対してマーケティングして商品を売っていきたい方は、是非コンタクトしていただければなと思います。
今日はブラジルのことがすごく分かりました。
オブリガード!
ありがとうございました。
ちえみ氏
ありがとうございました。
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