対談
Interview
この記事を読むことでフランス進出の秘訣がわかります。
【エトワールサービス 代表 小仲律子氏 略歴】
京都出身で25歳で留学し一時帰国後、パリへ。
翻訳、商標、法規、税金、ECプランニングなど日本企業の越境進出をあらゆる面でサポートする。
【世界へボカン株式会社 代表取締役 徳田祐希 略歴】
日本の魅力を世界へ伝えるというミッションの元、13年以上にわたり、多国籍メンバーと共に越境EC、海外BtoBマーケティングに取り組む。
越境EC企業の年商を35億→500億、14.7倍の成長を導くなど数多くの実績を残す。
Shopifyマーケティングエキスパート。
世界へボカン株式会社 代表取締役 徳田祐希(以下 徳田)
ボンジュールアジュマペール!
世界へボカンの徳田です。
本日はフランス在住のエドワールサービスの小仲さんにお話を伺いたいと思います、よろしくお願い致します。
簡単に自己紹介をお願いできますか?
エトワールサービス 代表 小仲律子氏(以下 小仲氏)
よろしくお願い致します。
フランスには18年おり、エトワールサービス有限会社をパリで4年前に立ち上げました。
海外販路をお探しの日系企業のサポートおよび継続的な営業のサポートなどをしております。
徳田
我々のクライアントでもフランスに進出したい、オンライン越境ECだけじゃなくてオフラインもやりたいという方もおり、小仲さんに相談させて頂いています。
徳田
具体的になんで選ばれているんですか?
小仲氏
日系企業がパリやフランスに進出する姿を色々と見てきましたけど、意外と現地でのきめ細かなサポートがまだ足りていないんですよね。
越境ECで1番大事なのは、テストマーケティングしてその市場の反応を見て商品やローカリゼーションをしていくことです。
また、調査やインタビューを入念にしてから展開をする方が最終的にはコストが掛からないのではないかと考えています。
一旦こちら(フランス)に入れて例えばイベントとかをやっても1回きりだと次の継続的な営業に繋がらないことがあり、非常にダメだなと思ってます。
そのため、きめ細かやかな継続的なサービスをしております。
徳田
そうですね。
日本のメンバーがフランスに行ってイベント出展したりリサーチするとなると莫大なコスト掛かってしまうと思うんです。
それと引き換え実際にフランスに住んでいてローカル(現地)がわかっていて、調査とか戦略立案を一緒にやってくれる、伴走してくれる方が必要なのかなと僕も思います。
徳田
フランスの人口や可処分所得などの基本情報を伺ってもいいですか?
小仲氏
はい、フランスの人口が6510万人で約日本の半分、平均世帯年収447万円
と日本とそんなに変わりません。
またインターネット普及率が68%です。
このような部分はは日本と変わりません。ヨーロッパの中ではGNP(国民総生産)が3番目に大きいです。
日本の商品を消費するという意味ではトップと言われています。
イギリス、ドイツ、フランスが三大国なのですが、文化的にも日本の商品を1番愛しているのがフランスなんですね。
フランスに商品サービスを紹介するとフランス国外のフランス語圏(スイス、ベルギー、北アフリカ)の方からも結構問い合わせがくることがございます。
小仲氏
欧州でなぜフランスを選ぶかというと、フランスはこれからECが伸びる大きな可能性を秘めているからです。
各家庭ほとんどは新幹線のチケットはほぼ100%ネットで買いますし、普通の生活がインフラが整っています。
人の生活においてネットが抵抗がない、DXがすごく進んでいるというのは非常に強いと思います。
ちなみにロゴの説明をすると1番右がCarrefour。
日本でもご存知だと思うんですけどもイオンと提携していた大きな流通のスーパー会社です。
そしてDoctolibがコロナの時に大活躍したワクチンや個人のお医者さんたちの予約サイト。
そしてdailymotionがYouTubeと似ている動画サイトです。
NUMWORKSというのはほとんどまだ知られていないとは思うんですけどもフランスオリジナルの計算機の会社なんですね。
フランス独自でこのようなデジタル、DXに非常に力を入れているシンボル的なブランドです。
徳田
なるほど、これからもECの市場が伸びていくというところと親日というところが強いですよね。
小仲氏
そうですね。
文化に理解があるというところで、日本人しかうけないんじゃないかとみられている商品でも意外とフランス人にも受けいれられる商品は多いと思います。
小仲氏
これが2024年までに予想されるECの伸びしろ率なんですが
・イギリス:29%
・ドイツ:48%
・フランス:40%
・スペイン:55%
・イタリア:53%
となっています。
先ほど申しましたように
イギリス、ドイツ、フランスの3つがヨーロッパ市場進出する際に考慮される国なんです。
フランスはアフリカや中近東にも非常に強い影響力がございます。
そしてフランス語圏というのと文化も特異性に含まれております。
小仲氏
ロックダウンが2020年、2021年と2回あり、本当に酷い経験をしたのでECも非常に傾向が出てきました。
ECで非常に特徴的なことはやはり食品が増えたことです。
あとフランス人の74%がレビューサイトを利用して買い物すること、そして67%が悪いサイトに引っかからないように注意深く行動しているというフランス人の消費行動が出ております。
小仲氏
ECでどういう傾向があるのかというと、フランスの消費者の47%、半分くらいが500g以内のお買い物しているという傾向があります。
また越境ECについては送料無料を選んでいたり返品率は4~5%と非常に低いです。
国外から買う越境ECについては軽いものとかが好きなんですけれども、サステナブル意識の強いものが好まれます。
サステナブル意識とはどういうものかというと、サイトに「健康にいいです」や「地球について考えていますよ」などのアピールのある会社ですね。
そういう商品を買う意識・傾向があります。
よくフランス人は英語がわかっていても、英語で話しかけても絶対に英語で答えないという噂があったと思いますが、70%は正しいです。
フランス語の表記のサイトから買うという情報がありますので翻訳の重要性がみられることがわかります。
徳田
本当にフランスに進出したいというのであればフランス語のサイトを展開する必要もあるってことですね。
小仲氏
そうです、誤ったフランス語ではなくちゃんとしたフランス語で書くと信頼できると思ってもらえるので、ここの重要性は示されております。
徳田
昔ドイツに物流拠点を置いて日本酒を販売する越境ECサイトで日本酒を販売したことがありました。
当初、元々単価の高いお酒の価格に高額な配送料が上乗せされ、販売の合計金額が高くなってしまいました。
その後ドイツに物流倉庫をおいて周辺国に売っていこうとなった時、親日国のフランスの方はみんな買ってくださってたんですね。
もしかしたらフランス語に展開していたらもっと売れたのかなって思いましたし、ドイツだからフランスやルクセンブルク、スイスの方に買ってもらえていて、日本酒の需要ってあるんだなと肌で感じたことがありますね。
小仲氏
本当にそう思います。
ルクセンブルクやスイス、モロッコのあたりでも日本酒がヨーロッパの星付きレストランとかで出ていたりするので、越境ECも非常に可能性が出てきています。
流通の仕組みがまだまだなんですけれどもフランス語圏というだけでヨーロッパ中、下手すれば西アフリカの辺までいけます。
フランス語の重要性というのはこのあたりでも数字に出ている気が致します。
徳田
もともとイギリスに住んでいてフランスでシャンゼリゼ通りとかいったり
してたんですけどそのぐらいしかフランスのことわからないので、フランスの消費者についてもうちょっと伺いたいです。
小仲氏
はい。
フランスの消費者の特徴としてはストーリー性が重要です。
ストーリーを喋れば喋るほどほぅほうと必ず聞いてくれますのでストーリーがあればあるほど興味を引いてくれます。
そして海外商品は積極的に購入しているという統計も出ています。
他のヨーロッパ諸国と比べて、海外から買うんだからちょっと高めのでもいいかなという意識があり、調査結果では単価が80ドルと高めになってます。
そしてフランス人は疑い深いです。
同じものだったら入念に商品価格を比較します。
自分たちがバカな消費者とは思われたくないという意識を持ってるらしくて前調べをよくします。
そして先ほども申し上げたように日常生活にECが浸透しているためコロナ前からこの人達はEC好きだなという感じを受けてました。
それとよくフランスの郵便事情が悪いんじゃないの?と言われます。
今はそういうことはなくて、10年ぐらい前までは宅急便とかがなく郵便局しかなかったんですよ。
それがこの5年10年で自宅以外の商店とかタバコ屋さんで商品を受け取ることができる宅配的なサービスが非常に充実してきましたので、流通の面でも今は本当ほぼ問題がございません。
こういうソフトのところでも充実してきたということですね。
フランスの消費者の今の大きな特徴としてはやはり専門性のあるサイトでの購入を非常に好むというのもあります。
日本酒だったらワインとか他のものを売ってるサイトとかよりもちゃんと日本酒のサイトで買うという傾向もございます。
徳田
なるほど、東南アジアや中国の類似品と比べ、色んな商材において日本製のものって高いじゃないですか?
なのでちゃんストーリーや価値をきちんと伝えて、やっぱり本物欲しいなって思って頂いて買っていただく流れが必要かなと思っています。
ただ日本人って結構マーケティングや価値の言語化に苦手意識があったりして、自分たちの商品が良いものを作っていれば売れるんだと思いがちです。
そこの思い込みを解消していってしっかり価値やストーリーを正しい言葉、フランス語、英語で伝えるというところをやっていけると十分可能性が見えてくるのかなと思います。
小仲氏
例えば「100年続いたお店でやってます」という100年のところだけを見ておぉってビックリするので、自分たちが当たり前だと思っていることをやはり言語化するということですね。
こんなの見たらわかる、ではなく、フランス人は何もわかっていないので商品にまつわるすべてのストーリーを聞きたがります。
それを言語化して大げさでもいいので説明をすることによってかなり商品の魅力の伝わり方がが違ってきます。
ストーリーがないものにはストーリーはつけられないんですけども、私たちが当たり前だと思っているストーリーでも伝えてください。
徳田
そんなフランスの市場がある中でどこで買うんですか?
小仲氏
フランス人がどこで買うかって言うと、資料が出ておりますようにやはりamazonがダントツです。
2番目のCdiscountで3番目がfnac。
これは昔、電気製品とCDを売っていたお店です。
4番目のVintedというのがほぼメルカリで中古の売買サイト。
そして5番目がCarrefourというスーパーチェーンでこのスーパーが全ての物を売っているので5番に入ってきました。
そして11番に楽天が入ってるんですけども、日本のとは全然違う感じの楽天で、お店が楽天に出して物を売ってるという仕込みは一緒なんですけどすっきりした見た目になっています。
楽天は日本の会社なので日本企業に対する特別なカテゴリあるんですか?と聞かれますが全くそれはないです。
フランス企業もしくはEUに拠点を置く企業でないとお店を出せないことになっております。
徳田
なるほど、そういうことなんですね。
となるとフランスに進出しようとしてモールを使おうとするとamazonがいいってことですね。
小仲氏
そうですね、amazon以外の選択肢ないと思うくらいです。
徳田
ちなみに独自ドメインのShopifyサイトみたいなところから人は買ったりするんですか?
小仲氏
はい、それももちろんあります。
iOSS制度っていう消費税を先にEUの国に登録して販売するっていうシステムが義務化をされてややこしくなった分数は減ったんですけど、だんだん自社サイトからの購入は多くなっています。
徳田
Shopifyみたいな独自ドメインのサイトは売れるものの越境だと関税とVATが掛かってお客様の負担額がかなり増えてしまいます。
価値が伝わるものじゃないとヨーロッパ、特にフランスっての進出は難しいなって認識なんですがそれで間違いないですか?
小仲氏
そうですね、やはりこちらは消費税とか関税とか全部(こちらで見る限りは)内税で立ててるので内税の金額が非常に高いですよね。
だからすごく高めにうつるんですけど、ヨーロッパにない商品はいっぱいありますので可能性があると思います。
徳田
VATや関税などの内税の額が日本だと10%だと思うんですけど、フランスだともっと上なんですね。
小仲氏
VATがだいたい普通の商品で20%、食品だったら5.5%なんですね。
ただそれを全部内税表示しなければいけないです。
なので高く見えちゃうんですよね。
だからその分例えば職人さんが作ったものであるとかここに1点しかないものとか、このサイトにしかないというユニークなもの、そして価値のあるものだといくら内税が高かろうとも全然、可能性はあると思います。
徳田
価値を伝えるというところでしっかり勝負していかないと見える価格自体が高くなってしまうので売れない可能性が高まってしまいますね。
市場のニーズがあるかだったり、そもそもこの商品は売れるのかといった話を小仲さんがリサーチをしてくださるということですね。
小仲氏
はい、そういったリサーチを最初にすることによってわからずに進出してダメだったといったことがなくなります。
色々な商品を持っている方でも、この商品とこの商品だったら絶対今の市場では人に受けますとか、EUは結構サスティナブルとかSDGsで規制が厳しくなっているのでそういう法律に関しての情報も共有させて頂きます。
小仲氏
外せない食品商品のポイントについてお話します。
大事なことは5つあります。
①健康であること
コロナを経て全員が健康おたくになってしまったので健康になる食品であること。
②オンラインで見つけられること
オンラインですぐに調べられることは大事です。
例えば抹茶でも抹茶と煎茶の違いってなんだろう?と思った時にパっと違いの説明が書いてあるサイト。
③機能性食品であること
機能性食品というとビタミンやプロテインと思われることが多いですが、チアシードなども含まれます。
機能性も健康であるということとリンクしているので大事です。
④SDGsであること
これもめちゃくちゃ大事で、日本でSDGsというと若い人がやっている意識高い系と思われがちです。
こちらではほとんど企業が新しいものを提案する時にSDGsであることが義務みたいになってますね。
SDGsとは具体的にエコロジーかつエコノミーでもあること、地球全体を考えていること、デュラブル、サステナブルであることなどがあります。
⑤新しい体験であること
日本産だと売れるんじゃないか、そんな時代は過ぎました。
日本産であることはエクサティックではありますけども、それ以外に上記のポイントを2つ、3つ持たないと難しいように感じます。
しかし、こちらではワインとかではスルフィットという酸化防止剤を必ず入れるんですが、お酒は何も入ってないですよね。
日本では何も保存剤を入れないのが当たり前なのでそれをほとんど日本酒メーカーさんは書いてないんですよ。
その当たり前の商品を当たり前の感覚でヨーロッパで売るのではなく、ヨーロッパの商品と比べると日本の商品って保存料が入っていないんだということを認識する。
そして必ず箱とかラベルとかに保存料(スルフィット)は入っていませんと書いたりするといいと思います。
色んな商品に色んな毛足がついていると思うんですが、それを全部書きだして5つに当てはめてみて、どれが自分の商品や食品に当てはまるのかを見つけてアピールをし、フランスで展開して頂きたいなと思っております。
徳田
フランスの当たり前は日本の当たり前でないし、日本で当たり前はフランスではないです。
そのためまずでテストマーケティングしてサイト構築、関税、法規制を踏まえたうえで継続的な販売のためのアプローチができると思うんですけど、展示会などのサポートもできたりするんですよね?
小仲氏
それが私たちの強みです。
例えば下の写真のように試飲会を1番最初にして反応をみてみます。
日本のカツ丼を作ったお料理教室の時に、このような日本酒どうですか?日本酒って飲んだことありますか?からはじめて、純米や大吟醸の違いを説明しました。
日本酒を始めて飲む方が7~8割で、純米、大吟醸とかよりも日本酒ということが1番びっくりされました。
小瓶の商品で選びやすいし値段も良いとの反応でした。
うちのサービスとしては日系の商品を売っているところのリサーチですね。
例えば写真右は有機のお店です。
今のところ日本商品というのは有機のお店に売られていることが多く、有機なお店を定期的に写真を撮ります。
1番下がお醤油なんですが、普通のお醤油はタマリという名前で売られているです。
たまり醤油でなくてもタマリとして売っている、お醤油はこの大きさでおいくらですよなどの情報はプレマーケティングの時にお知らせしたりしています。
小仲氏
日本酒の試飲会も酒蔵さんがフランスに来られない時に出展代理をしたりもしております。
徳田
なるほど、そういった市場ニーズの把握やどういう風な取り組み方をすれば良いかというところからも相談できるっていうことですね。
越境ECはオンラインの方でやることばかり考えがちだと思うんですが、僕らのクライアントであっても越境ECを上手くいってる会社さんってBtoBも上手くいっているんですね。
現地で流通させてユーザーのSNSの投稿が広がっていって越境ECでも売れるといったところのシナジーがあるのでオフラインの取り組みとかBtoBマーケティングというのは欠かせないのかなという風には思います。
本日は貴重なお話を頂きありがとうございました。
小仲氏
ありがとうございました。
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