対談
Interview
この記事を読むことで、越境ECに挑戦する際のファーストステップや越境ECにおけるモール・独自ドメインサイトの活用方法について分かります。
【eBay Seller Circle Japan(以下:eSCJ)】
すべてのeBayセラーのためにイーベイジャパン公認コンサルタントの4名が立ち上げたサークル。eBayでの販売活動に関する情報やeBayの楽しさを発信している。
共同代表の皆様(五十音順):
・荒井 智代氏(PlusBonBuono株式会社)
・西脇 直人氏(合同会社Zakki)
・本山 賢氏(株式会社kumajoi)
・山下 泰三氏(株式会社Cross Line Japan)
【世界へボカン株式会社 代表取締役 徳田祐希】
日本の魅力を世界へ伝えるというミッションの元、13年以上にわたり、多国籍メンバーと共に越境EC、海外BtoBマーケティングに取り組む。
越境EC企業の年商を35億→500億、14.7倍の成長を導くなど数多くの実績を残す。
Shopifyマーケティングエキスパート。
eSCJ 本山 賢氏(以下:本山氏)
皆さんこんにちは!eSCJライブのお時間です。
eBay Seller Circle Japan(eSCJ)とは、イーベイジャパン公認コンサルタントの4名が立ち上げたサークルで、月に1回程度YouTubeでライブ配信を行っています。
今日は世界へボカンの徳田さんをゲストとしてお招きしています。
徳田さん、まずは自己紹介をお願いします!
世界へボカン株式会社 徳田祐希(以下:徳田)
こんばんは、世界へボカンの徳田と申します!
イギリス留学を経て、2007年から約15年ほど海外Webマーケティングをやっております。
中でも独自ドメインの活用をした海外Webマーケティングをやっていて、東アフリカに中古車を売ったり、調理器具やトラクターなど本当に色々な商材を扱ってきました。
最近ですとジェトロ(日本貿易振興機構)様のアドバイザーもやらせていただいたり、4月に「はじめての越境EC・海外Webマーケティング」という書籍を出版させていただきました。
あとはYouTubeチャンネルをやっておりまして、本山さんにも以前出演いただきましたが、ここ2年間で230本ぐらいの動画を配信し、マーケティングの有識者との対談や海外Webマーケティングのノウハウなどをお伝えしています。
当社は国際色豊かで、アメリカ人やオーストラリア人、フランス人など多国籍なメンバーでわちゃわちゃしながら海外Webマーケティングをやっています。
本日はよろしくお願いいたします!
本山氏
ボカンさんは海外Webマーケティングに関する色々なことを網羅されていて、海外進出を総合的にお手伝いいただけるんですよね?
徳田
そうですね!
eBayでやられる場合どうなのかは詳しくないのですが、独自ドメインでサイトを作った場合、モールと比べてどうしても売れるまでの時間がかかるものでして。
海外の市場調査をして、どのような売り出し方をするか戦略を立て、メールマーケティング、SNSマーケティング、コンテンツマーケティングなど色々なことをやらなくてはいけないため、必然的に時間もかかってきます。
よく「海外Webマーケティングは総合格闘技だ」と説明させていただいていますね。
ただ、サイト制作のベンダーさんから「越境ECサイトを作れば、世界70億人へ発信できるので売れますよ」と言われたりして、Shopifyでサイトを作ったらすぐ売れるだろうと思っている方も多いです。
それでなかなか成果が出ず頓挫してしまっているケースもよく見るので、今日はそういった方々へ向けて、海外Webマーケティングの秘訣についてeSCJの皆さんと一緒にお話できたらなと思います。
本山氏
まずは「越境ECで売るためのファーストステップ」について教えてください。
徳田
視聴者の方からの「eBayと自社サイトのショップ開設で一番違う点は何か」というご質問の答えにも近いと思うのですが、越境ECではそもそも誰に対して商品を届けたいのかをきちんと意識していかないと売れない、ということをが大前提となります。
eBayの場合、商品を出品して、その状態や価格などが良ければそれに対してお客さんがつくじゃないですか。
でも越境ECサイトを作った場合、商品を掲載した後に集客をしなきゃいけないんですよね。集客する際の訴求とサイトの内容とがマッチしていて、お客さんが十分な情報を摂取していないと、購買に至らない。
そこで「お客さんの購買決定要因は何なのか?」ということや「この商品を欲しい人は誰なのか?」ということを明確にして、“顧客の解像度”をあげていかないと買っていただけないという難しさがあります。
徳田
「Shopifyで越境ECを作ったら売れるかな?」というご相談もよくいただきますが、「誰が買ってくれる想定ですか?」と質問すると「アメリカ人で……」など結構粗い回答が返ってくることも多くて。
この図でいうと、一番左側のモザイクがかかっているような状態なんですよ。
そこで僕たちが顧客の解像度を上げるために、実際にその商材について投稿している人や過去に購入してくれた人にメッセージを送ってインタビューをします。
実際にどこでその商品を見かけて、なぜ買ってくれたのか、価格帯についてどう思うかなどを直接聞くようにしています。
もし自社の商材がまだ売れてなかったら、競合製品を買っている人たちにインタビューすることもありますね。
徳田
実際にあった例としては、「アメリカのAmazonでうちの商品がたくさん売れているから、独自ドメインのサイトで越境ECにチャレンジしたい」というお客さんがいらして、実際に購買者へインタビューしてみたところ、実は買っているのはチリの人たちだったというケースもありました。
あとは南アフリカの人が、購入代行をしてもらってアメリカ経由で購入していたりとか。
その会社の商材は調理器具だったんですが、例えば包丁などの調理器具ってパッと見ただけでは違いや用途が分からないものも多いじゃないですか。
そこで魚を切る場合、肉を切る場合などの用途別に商品を並べたり、使い方の説明を記載するようにしたり、包丁の選び方のコンテンツを用意したりして、ユーザーインタビューの結果をサイトの改善に役立てました。
僕らは海外顧客のことを“チャーリー”と呼んでいるんですけど、「この情報量でチャーリーは買ってくれるかな?」と議論したり、チャーリーに伝えたい情報を考えたり、チャーリーにこう遷移してほしいという導線を設計したりしてWebサイトを構築しています。
結構地道なことをやっているかもしれないですね。
eBayだと、少しやり方が違ったりしますか?
本山氏
eBayの場合も似てるとは思います。
「どんな人が買ってくれるか」ということはあらかじめみんな考えるとは思いますけど、そこを深堀りするというのも大事ですね。
実際買ってくれた人にメッセージして聞いてみるというのも良いと思います。
そうやって顧客の解像度を上げることで、「じゃあタイトルにこの検索ワードを入れてみよう」ということもできますね。
徳田
eBayだと表現する場のスペースが独自ドメインと比べて限られてるから、皆さん本当に細かい所まで最適化してブラッシュアップされていますよね。
プロだったらHUNTER×HUNTERの凝(ギョウ)みたいに「こういう工夫をしているな」と分かっても、お客さんががパッと見て分からないところまで改善されていますからね。皆さんすごいなと思います。
本山氏
次の質問です。マーケティング戦略で大切にしていることはなんですか?
徳田
僕らが普段使っている「価値のマトリクス」というフレームワークです。
フレームワークが出てくると難しい話になると思われるかもしれませんが、全然そんなことはないので楽に聞いてください(笑)。
これは認知がある・認知がないという認知の縦軸と、情緒的な価値・機能的な価値の横軸によって、自分たちが提供している商品がどこに位置するものなのか分類するフレームワークです。どこに分類されるかによって、売り方が変わってくるという訳ですね。
徳田
ブランドもののバッグや時計のように評判価値や認知があり、情緒的な価値を満たすものや、型番商品のような認知が高く機能的な価値を提供しているもの、つまり図の上側に分類されるものはモールで売れる傾向があります。eBayでも売れると思います。
これらはすでに検索ニーズがあるため、「売れるものを売る」ビジネスだと言えます。
難しいのは下側に分類される商材です。伝統工芸品などはここに分類されることが多いですね。
情緒的・機能的な価値を満たすけれど認知がないものを売っていく場合、検索ニーズがないためカテゴリーワードで引っ掛けるか、SNSなどでリーチしてそのストーリーや背景を伝えていかないといけません。
これはおそらくモールだと難しくて、特定のオーディエンスに対してどう認知を広げていくか工夫していく必要があったりします。
本山氏
確かにeBayだと、どちらかというと認知度が高いものの方が出品されている傾向がありますね。
eSCJ 荒井 智代氏(以下:荒井氏)
確かに、「日本の良いものを海外に伝えたいからeBayをやりたい」という方からご相談いただくケースもかなり多いんですけど、eBayだと知られていないものはなかなか売れないので、じゃあどうやっていくか……ということがすごく難しいなと感じています。
徳田
最近だと、eBayでうまく売ってその流れで独自ドメインでも販売したり、逆に独自ドメインで知っていただいて、eBayの自社アカウントに案内して購入してもらう導線を設けたりと、その二つを行き来しているケースもありますね。
また独自ドメインでやっていく場合、なぜモールではなく独自ドメインのサイトで買うのか、また複数ある企業の中からなぜこの会社から買うのかという理由づくりをしなければいけません。
するとプロダクトのだいたいの仕入れ値というのは決まっていますし、他社製品とスペックも同程度という場合、ソフト面やサービスで差別化していく必要性があります。
例えばアフリカに中古車を売っているクライアントさんがいらっしゃるんですが、はじめはタンザニアのダルエスサラームという港に中古車を運び、内陸のザンビアやジンバブエに住んでいるお客さんが港まで取りに来て、車を持って帰るという仕組みになっていました。
すると持って帰る途中に車が劣化してしまったり壊れてしまうこともあるし、そもそも往復1000キロくらいの移動になるので、多くの顧客が非常に苦労していたんですよ。
「じゃあアフリカの内陸まで車を運ぶサービスを提供しよう」ということになり、車+陸送のシティデリバリーサービスをはじめた結果、めちゃめちゃ売上が伸びたんです。
徳田
本来、中古車販売のような「売れるものを買いたい人に届ける」ビジネスだとモールの方が売れやすいのですが、独自ドメインだとプラスαの付加サービスを提供しやすいという利点もあります。
伝統工芸品など日本独自の製品を販売する場合は、エモい動画やインフルエンサーさんの力を活用して、「自分たちに近しい人が商品を手にしたとき、どんな情緒的・機能的な喜びを感じているか」ということを分かりやすく表現するということもやっています。
徳田
最近だと作務衣の販売を支援させていただいているんですが、作務衣はアメリカだとリラックスウェアやちょっと近所まで出かけるワンマイルウェアとして人気が出てきているんですよ。
そこでただ作務衣をサイトに並べて売るんじゃなくて、海外のお客さんが使用しているワードのカテゴリーの中に提案しにいったり、過去買ってくださった外国人の方にモデルになってもらい、自宅で奥さんと一緒に作務衣を着てリラックスしているシーンを撮影したりして、「こういう世界観があるんだよ」と情緒的な価値を伝える工夫を幅広く行っています。
荒井氏
動画コンテンツなどはインスタを活用することが多いんですか?YouTubeも使いますか?
徳田
YouTubeもやっています。
日本の文化を啓蒙しているインフルエンサーさんに紹介していただくようなコンテンツも作っていますね。
本山氏
eBayセラーの方も、こうやってSNSを活用していけると良さそうですね。
そこからeBayへ誘導して購入してもらえばいいですし。
あとはeBayでも自社サイトでも購入できる状態にしておいて、お客さんが買いやすいほうで買えるというのもすごく良いなと思いました。
お客さんの中には、モールのほうが安心するという人もきっといると思うんですよね。
我々も海外のまったく知らない独自ドメインのサイトから購入することを考えると、少しハードルを感じることもあるじゃないですか。
荒井氏
両方あると、信頼度が増すかもしれないですね。
徳田
確かにそうですね。
海外だと、時計やブランドバッグを扱うお店は本当に信頼を得ることを重視していて、買ってくれた人の写真をひたすらインスタで紹介したりするんですよ。
あとは商品を利用している一人の人に密着して、情熱大陸みたいな動画を撮ったりするケースもあります。
例えばレストランオーナーの方が「自分にとってロレックスとは……」と語る動画とか。
調理中も肌見放さずロレックスの時計をつけていて、3年ごとに自分が成功したことを証明する証として、少しずつランクの高い時計を買っているんだ、だから自分にとってロレックスは値段以上の価値がある……みたいな。
あとは逆に、メガネをかけたC3POのような人が時計について細かく解説するような、少しマニアックな動画も出したりして、自分たちのビジネスに対する本気度をPRしているんですよね。
商材が高いものになればなるほど、お客さん側も「失敗したくない」という思いが強くなるので、独自ドメインのサイトだけでは売りづらいんですよ。
なので信頼を獲得するために、実店舗があるならそちらへ誘導するとか、eBayのようなモールとうまく併用していくとか、お客さんの信頼を獲得する工夫が必要になってきますね。
本山氏
視聴者の方から質問です。「例えば日本で人気の吉田カバン(PORTER)はeBayであまり売れている印象がありません。
こういった場合は、インフルエンサーに宣伝してもらい自社サイトで動画入れて訴求するのがベストでしょうか?」
eSCJ 山下 泰三氏(以下:山下氏)
吉田カバンさん、eBayでも結構売れてるイメージがありますけどね。
なにを基準に売れている/売れてないの判断をするのかにもよりますけど。
徳田
これはすごく良い質問ですね。
越境ECで成功するために必要なことが一つあって、「成功の定義を明らかにする」ということなんですよ。
まさに今の会話のように、月100万円売れたら成功なのか、月1億円売れたら成功なのか、など人によって成功の定義は違いますよね。
そこが曖昧なまま越境ECを始めてしまうと、うまくいっているのかいないのかの判断が難しくなってしまいます。
例えば自社が取れるシェアの見込みがMAX月1億円だったとして、そのキャパの中で100万円しか売れていないのであれば、もっと頑張らないといけないと分かりますよね。
市場調査をすることで、そこの判断がつけられるようになっていくと思います。
吉田カバンさんの例だと、東南アジアなど日本の雑誌が読まれているエリアでは色々な顧客にリーチできると思うんですけど、認知が少ないところに訴求していく場合は、インフルエンサーさんを活用するというのもアリだと思います。
本山氏
先程から自社サイトのお話が出ていますが、改めて独自ドメインのサイトを作った方がいいのか、その必要性について教えてください。
徳田
そうですね。
自社のブランドが確立されてないと、結局真似されちゃうんですよね。
最近、Amazonや独自ドメインの展開に力を入れているメーカーさんも多いのですが、転売されてしまって特定の国で悪評が広まったり、並行輸出されてしまって通常の価格より安く販売されてしまう価格崩壊が起こっているというケースもあって。
自分たちの公式サイトを展開しないと、自社のブランドを守れないという観点でサイト制作を始める方も多かったりしますね。
あとは、今までBtoBのビジネスによって海外に輸出していた伝統工芸品の会社さんなどからもよくお話を伺います。例えば南部鉄器という岩手県の伝統工芸品があるんですが、結構海外でも売れているんですよ。
ただ南部鉄器はだいたい1万5,000円から2万円くらいするのに対し、現状海外のモールだと5,000円くらいで模造品のようなものが売られていて。
現地の顧客からすると見分けがつかないため、結局安い方を買ってしまうという状況になっていたんです。
徳田
ある南部鉄器メーカーさんは、卸やBtoB取引によって商品を流通していたことで、南部鉄器の背景にある歴史やストーリー、作り手の情報などを一切発信していなかったということに気付いたそうです。
「自分たちの伝統工芸を守るためには、独自ドメインで情報を発信して、モノとコトの両方で売っていかないといけない」と仰っていました。
本山氏
あとは徳田さんの書籍にも書いてありますが、3年ですよね、やっぱり。
徳田
そうですね。
当社にご相談いただくクライアントさんにも、よく「成果が出るまで、3年続ける覚悟はありますか?」ということをお伺いしています。
本山氏
eBayもすぐには売上が出ないことも多いので、長期的な目線で取り組む必要がありますね。
本山氏
次ですね。海外Webマーケティングは、やることたくさん!(笑)
山下氏
やることたくさん、本当にそうですよね。
本山氏
だからかもしれないですが、越境ECやっている人は、みんなタッグでやろうというか、連帯感が強いような気がしていますね。
徳田
そうなんですよね。
例えば株式会社ジグザクさんの「WorldShopping BIZ(ワールドショッピングビズ)」というサービスがあるんですが、自社サイトにタグを設置すると海外からのアクセスを検知し、海外ユーザー専用のルートで購入受付をしてくれます。
そしてジグザグさんがマーチャントさんと売買取引を行い、配送まで代行してくれるというサービスでして。
すると物流の不可がかなり軽減されるので、海外からの受注処理を行うのが大変という場合は、そういったサービスを利用するという方法もあります。
ですので、一口に独自ドメインと言っても色々なやり方があったりします。
本山氏
次は、Shopifyについて教えてください!
徳田
Shopifyの特徴として一番大きいのが、この絵の通り、スタートラインから一歩リードできるということなんです。
15年ほど独自ドメインサイトによる越境ECをやってきて、Magento(マジェント)やPrestaShop(プレスタショップ)、EC Orangeとか色々と見てきて……色んなカートの悪口言っていますけど……(笑)
とにかく、ビッグコマースとか、色々と使ってきたんですよ。
サービスごとに本当に様々なトラブルに見舞われてきたんですけど、その中で初めて「結構イケてるな」と思えたのがShopifyなので、どういう点が優れているのかをお話できればと思います。
まずShopifyには豊富なテンプレートと豊富なプラグインがあるため、自社ブランドサイトの構築に最適です。
例えばCDN(コンテンツデリバリーネットワーク)というネットワークを提供していて、おそらくeBayだと直面しない問題だと思うんですけど、独自ドメインのサイトはサイトスピードがとても重要なんですよ。
徳田
CDNを利用すると、クラウド上でサイトを管理できるため、どの国から閲覧しても最適なスピードでサイトを見られるんですよね。
昔、マジェントのサイトのサーバーが日本に置かれていて、フランスかルクセンブルクからサイトを開こうとした人たちが、サイトが遅すぎて購入出来ず、クレームが来たということがありました。
サーバーが日本にあると、海外からアクセスした時にどうしても遅くなってしまうんですよ。
荒井氏
大きな離脱要因になってしまいますね。
徳田
そうなんです。
サイト自体が重い場合などは別ですが、少なくともサーバーの影響でアクセススピードが遅くなるということがなくなるのがCDNの利点です。
そしてShopifyではこれがデフォルトで付いています。
あとはテクニックの話でいうと、僕らが「階段設計」と呼んでいる手法についてご紹介します。
独自ドメインのサイトに訪問していきなり購入することは、やっぱり皆さんハードルが高いと感じますよね。
買うか買わないかの二択になってしまうと、なかなかユーザーが購入に至らないまま離脱してしまうので、購入の一歩手前に会員登録というステップを設けることができます。
よく通販サイトを訪れた時に「今会員登録すると、20%OFFクーポンがもらえます」というオファーが表示されるじゃないですか。
あれができるということですね。
徳田
会員登録をしてもらうと顧客データが取得できるので、そこから自分たちが提供したい情報をメールマガジンなどで提供していくことができるようになります。
独自ドメインのサイトだと、意図した通りにユーザーが回遊してくれないこともあるので、一見さんが買ってくれなくてもそこから追いかけて徐々に自分の要素を知っていただくイメージですね。
荒井氏
なるほど、そうやって育てていくんですね。
徳田
はい。例えばGoogle広告やインスタグラム広告でWebサイトに集客→会員登録してもらったら、クーポン取得とウェルカムメールという形で自社のブランドストーリーや商品のお役立ち情報を伝えるとか。
それ以降も商品の活用事例や希少性をアピールするメルマガを組んでおくことで、ユーザーはそれらを受信している間に商品やブランドの理解を深めていけますよね。
購買決定要因となる“価値と価格のバランス”の価値を感じていただけるよう、こうして複数アタックができるというのが独自ドメインの強みではないかと思います。
山下氏
この訴求はメールで行うんでしょうか?
日本だとLINEステップを実施している企業が多いですよね。
以前、WhatsAppとかで海外向けに同じようなことができないか調べてみたことがあります。
僕の調査だと、海外向けの良い方法が分からなかったんですけど、何かお勧めの方法はありますか?
徳田
WhatsAppを使用できる国は結構たくさんあるんですけど、あのサービスは運営側があまりやる気ないんですよね……(笑)
開発が止まっていたりとか。
なので、僕らはメールでやっています。
あとはSMSを活用している所も多いですね。
日本はSMSの配信単価が高いんですが、海外だと日本より安くて。
しかもSMSって届くと、皆さん比較的気になって見るじゃないですか。
ユーザーの電話番号も取得している場合は、SMSでステップを組むことも可能だと思います。
こういった機能も、一から開発すると数百万程度かかってもおかしくないのですが、Shopifyのアプリだと仕組みさえ理解していれば月額30ドル程度で利用できます。
あとは本山さんに教えていただいたアプリがあるんですけど……本山さん紹介をお願いしていいですか?
本山氏
はい!eBayユーザーさんにおすすめのアプリについて徳田さんとお話していて出てきたものですが、「elfsight(エルフサイト)」というもので、色んなウィジェット、機能を加えることができるんです。
例えばShopifyのサイトやブログなどの画面に、eBayのストアで得たユーザー評価を表示させることができたりとか。
こうすると「eBayでこれだけの評価をもらっているんだ」と信頼性が上がるので、ぜひお勧めしたいですね。
徳田
例えばeBay内では有名なブランドでも、Shopifyだと新人という状態になってしまった時は、eBayの取引実績を見せられるととても有効ですよね。
徳田
ECサイトにおいてよくある問題点として、ユーザーが「自分の悩み・課題を解決してくれるアイテムがどれなのか分からない」ということが挙げられると思います。
ユーザーが日本人ならまだしも、海外の方からするとさらに分からないというケースも多いです。
例えば色んな化粧筆がバーッと並んでいるだけの商品一覧ページを見た時に、例えば「目のクマを隠すメイクをするときにどの筆が良いか」がパッと見では分からないじゃないですか。
そしてなんとなく雰囲気で買ってしまうと、思っていたのと違ったりしてミスマッチが起きてしまうこともあります。
徳田
それを防ぐために独自ドメインサイトでどんなことをやっているかというと、例えば「お肌の悩み別、化粧筆の選び方」のようなコンテンツを作ります。
そして一度サイトに来て、商品一覧ページなどで離脱してしまったユーザーに対して、リマーケティング広告を配信してそのページを紹介します。
このようにメルマガやリマーケティング広告を駆使して、都度サイトに訪れていただいたり、商品一覧・商品詳細ページ以外のコンテンツでユーザーに価値を理解し、自分ごと化してもらったりするための施策を日々行っています。
荒井氏
ユーザーの問題解決ができるような仕組みを作っていくんですね。
大変そう……!
徳田
大変ですね!(笑)
でも新しい世界がいっぱい広がっていくので、楽しいですよ。
徳田
今日ご説明させていただいたような内容を、先日発売した「はじめての越境EC・海外Webマーケティング」という書籍にまとめています。
海外マーケティングでの売れるためのテクニックや、「こういう考え方でやるとうまくいきます」というようなマーケティングの考え方などを説明している本です。
商標や海外企業との契約書、消費税還付や税務、関税のあたりの話についても、弁護士さんや税理士さんとともに解説していますので、越境ECを始める時の基本を押さえるための導入本だと捉えていただくのが良いかと思います!
現在Amazonでも販売していますし、たまにメルカリに出品されていてショックを受けたりもしているので(笑)、ぜひお手にとっていただけると嬉しいです。
山下氏
ぜひAmazonなどで、新品を買いましょう!(笑)
徳田
もちろん書店やAmazonで買っていただけたら喜びますが、皆さんの役に立てたら良いなと思うので、メルカリでも大丈夫です!(笑)
山下氏
この本に記載されてる弁護士さんと税理士さんに、「書籍を読んだんですけど」と直接問い合わせをしても良いのでしょうか?
徳田
全然大丈夫ですよ!むしろ喜ばれると思います。
eSCJ 西脇 直人氏
ちょっと質問があり、タイミングを伺っていたら最後になってしまったんですが……
先程、日本の作務衣が海外でワンマイルウェアとして受け入れられているというお話があったと思います。
eBayで商品を売るとき、結局のところキーワード勝負になってしまうこともあるんですが、日本に住んでいる我々が現地のキーワードを掴みに行こうとする時はどうやって調べるのが効果的なんでしょうか?
例えば作務衣を売り出す場合も、海外の方が「Japanese Traditional Wear」とか検索してくれることはそんなに無いわけじゃないですか。
そういった時にどうやってキーワードを考えるのが良いかな、と。
徳田
確かにそうですね。
ジャストアイディアではありますが、例えば西脇さんが提供している商品をがあったとして、それを海外の方が仕入れて売る場合がありますよね。
彼らがインスタをやっていた場合には、その商品に関する投稿をした時にどういったハッシュタグを付けているか確認すると参考になると思います。
荒井氏
先程も、ハッシュタグからユーザーを見つけるというお話もありましたし、ハッシュタグって活用方法が結構色々とあるんですね。
本山氏
Googleレンズで撮って、海外の類似製品を参考にするのもありですね。
徳田
それもありです。
あとはキーワードプランナーですね。
例えば「Ahrefs(エイチレフス)」というツールでは、海外の競合サイトのドメインを入力したらどんなキーワードで上位表示されているか見ることができるんですよ。
「こんなキーワードがあるんだ」とか「このキーワードで上位表示されてるページはどこだろう」とか、色々な観点で参考になります。
本山氏
ありがとうございます。
最後に、これから独自ドメインで越境ECサイトを作ろうとしている方へ向けて、応援の言葉をいただけますか?
徳田
eSCJさんの皆さんのようにeBayから始める場合や独自ドメインで始める場合など、やり方はいくつかありますが、内需が減少していくうえで、「越境ECを始めるかどうか?」と聞かれたら「YES」しか回答はないと思っています。
ただ挑戦するにあたっては、人的リソースやお金、時間をしっかりとかける覚悟が必要です。
覚悟をもって取り組めば、売上が伸びる可能性も十分にあります。
月10万程度の売上から始まったお客さんで、7年ほど支援させていただいているお茶屋さんがあるんですが、そこのお客さんは志賀にビルが建ったんですよ。
荒井氏
すごい、夢がありますね!
徳田
自分が好きな分野でコツコツと続けていくと、いずれそこの価値を感じてくれる顧客が現れます。
それまで発信し続けられるか、諦めないでやり切れるか、ということが重要だと思います。
TwitterやYouTubeでも海外Webマーケティングに関する様々な情報を発信していますので、もし分からないことがあればご連絡いただければアドバイスもさせていただきます。
頑張って、海外市場を攻めていきましょう!
本日はありがとうございました!
本山氏
ありがとうございました!
eBayも頑張っていきましょう!
当社がこれまで培った知識やノウハウ、海外の先進事例などを、無料メールマガジンとして配信しております。ぜひご登録ください。
世界へボカンのプライバシーポリシーについてはこちらをご確認ください。
弊社では、皆様のサービスや商品を最適な形で海外に進出するためのサービスをご用意しています。
具体的なプランは個々のご事情に合わせて策定いたしますので、まずはご相談ください。
はじめて越境EC、海外Webマーケティングに取り組む方向けに書籍を出版しました!
私たちが、
御社の海外進出を
サポートいたします!
私たちが提供するサービスや数々の支援実績、
実際に行ったマーケティング施策から導き出した
海外Webマーケティングのノウハウをまとめました。
ぜひご利用ください。