対談
Interview
この記事を読むことで、海外営業でよくある失敗についてがわかります。
【株式会社CEREBRIX 執行役員 カンパニーCMO 今井晶也氏 略歴】
役者志望の道から、未経験で営業職へキャリアチェンジ。当時最年少でのプロジェクトマネージャー昇格を経験した後、営業企画本部長を経験し、現在ではセレブリックスの執行役員 カンパニーCMOに。最新著書「お客様が教えてくれた『されたい』営業」は7/22発売。
【世界へボカン株式会社 代表取締役 徳田祐希 略歴】
日本の魅力を世界へ伝えるというミッションの元、13年以上にわたり、多国籍メンバーと共に越境EC、海外BtoBマーケティングに取り組む。
越境EC企業の年商を35億→500億、14.7倍の成長を導くなど数多くの実績を残す。
Shopifyマーケティングエキスパート。
前回(第2夜)の記事は以下からご覧ください。
株式会社CEREBRIX 今井晶也氏(以下:今井氏)
さあ、「10 minutes」スタートです!
この企画は、専門知識をもったエキスパートの方々に、「今知りたい」各テーマを10分で突撃取材するというものです。
海外営業編、前回の第2夜に引き続き、世界へボカンの徳田さんをお招きして、色々教えていただきたいと思います。
よろしくお願いします!
徳田
よろしくお願いします!
今井氏
徳田さんは「はじめての越境EC・海外Webマーケティング」という書籍を出版されていますので、興味があったらぜひ書店で探してみてください!
今井氏
これまでは海外営業の基本、海外営業における成功のポイントを伺ってきました。
第3夜は、「とはいえ、そう簡単にうまくいかないでしょ!」ということで……
海外営業で陥りやすい罠や失敗のポイントを教えていただきたいと思います。
よくある失敗というと、どのようなケースがあるのでしょうか。
徳田
よくある失敗は、大きく分けて3つあります。
1つ目は、海外のBtoBモール……アリババやバーチャルEXPOのようなものですね。
そういう所に出店して情報を提供し、リード(見込み客)を獲得するという取り組みがあるのですが、そこで問い合わせはたくさん獲得しているのに、なかなか成約に至らないというケースがあります。
今井氏
BtoBモールへの出店というのは、いわゆる日本の展示会に出展していることや、海外の展示会に出展していることと、ほとんどイコールなのでしょうか?
徳田
オンライン展示会のようなイメージですね。
オンラインだとあまり本気度が高くない人が問い合わせをしてきて、それに対して商品の値段・スペック・写真などを載せた資料を送り、相手が値段を見て「無いな」と判断して商談が終わってしまうケースが多いんですよ。
良質なリードを獲得できず、年間300件もの問い合わせがあるのに、成約は0件という例も少なくありません。
そこで「どうしたらいいですか?」と当社へご相談いただくので、前回のお話にもあった「買わない理由をなくすんですよ!」とお伝えしています。
徳田
買わない理由をなくすために何をやっているかというと、まず海外向けのBtoBを構築して、Instagramのアカウントを運用し、自分たちの世界観や商品のこだわり、ユーザーの感想などをしっかりと発信します。
するとBtoBモールで興味を持った方がWebサイトも見て、もう少し本気度の高い状態で問い合わせをしてきてくれるようになります。すると成約にも繋がりやすくなるという訳です。
モールだけに頼ってしまうと、なかなかうまくいかないですね。
今井氏
モールで集まってくる方の購買意欲はあまりに個々の差があるため、そこに平等な時間の使い方をしてしまうと効率が悪くなってしまったり、本当にホットなお客様のためにベストなコミュニケーションが取れなくなったりしてしまうと。
これをなくすために、今の時点で本当に購買意欲が高いお客様をまず見極める。
そのために、問い合わせ前にもうワンアクション、Webサイトに訪れさせるという工程を作りましょう、ということですね。
その工程を通って来ていただいた方々は、世界観や事業内容を理解し、本当に興味があってお問い合わせをしてくださっているので、手厚い営業フォローをしていくべきだということでしょうか。
徳田
はい、あえてワンステップ作るということです。
そもそも海外営業って、担当者の人数が少ないので、こなせる業務量も限られてくるんですよね。
今井さんが仰ったように、「良質なリードを見極めなければならない」ということが重要なポイントになります。
今井氏
僕は海外営業のことを全く知らないので、むしろ逆のイメージを持っていました。
海外で自分たちの商品を売り出したいと思ったら、まず知ってもらうところが一番難しいのかなと考えていたので……。
そこはモールなどを活用すれば、リードを獲得すること自体は難しくないのでしょうか?
徳田
そうですね。
商品のジャンルなどにもよって変わってきますが、リード獲得自体が難しい訳ではないです。
むしろリードが来すぎて、営業担当が疲弊してしまうケースのほうが多いかもしれません。
今井氏
それでは、よくある失敗の2つ目をお願いします。
徳田
2つ目のよくある失敗例は、日本語のサイトをそのまま翻訳しただけの海外向けサイトを作ってしまっているケースです。
例えば、国内だとかなり広く認知されている企業の日本語サイトのファーストビューに「未来へ」とか「明日を創る」と書いてあるとします。
これを英訳した「Create the future」という一文が、海外向けサイトのトップに置くとどうでしょうか。
現地の仕入れ担当やバイヤーの方がサイトを訪問した時に、「Create the future」と書いてあったら、そっとページを閉じる可能性が高いです。
今井氏
ほう……!
徳田
ユーザーの課題を解決してくれる商品を探している時に、「Create the future」という一文だけがあっても、そもそも響かないんですよね。
今井氏
日本の大手企業がよくやるような、まずはパーパスやビジョンに共感してもらうというコミュニケーションが、問題解決・課題解決ファーストで検索している人に刺さらないんですね。
LPの考え方に似てるんですね。
徳田
そうですね。
彼らは課題解決をしに来ているし、QCD(Quality, Cost, Delivery)を求めて来ているので、「Create the future」は別に求めていないんですよ。
「こんな品質・技術があって、こういう風に課題解決をしてきましたよ」と示せる事例だったりとか、もっとピンポイントな情報を欲している訳です。
訪問者のニーズを理解して、それに応える内容を用意しておくということが重要ですね。
今井氏
なるほど。
これは逆もありますよね。
例えば外資系企業が日本に参入して、イケてる・最先端と言われているプロダクトがあっても、サイトの日本語が訳わからなかったり、「私達は解決します。あなたのその悩み。」みたいな謎の倒置法が入っていたりとかして……(笑)
あの感覚と同じなんでしょうね。
つまり、海外へ向けてセールスやマーケティングをしていくのであれば、Webサイトから専用のものに作り変えていく必要があるということでしょうか?
徳田
そうですね、ゼロから作り変えていく必要があります。
以前のお話で「顧客の解像度」についてお話したと思いますが、顧客の解像度が一番高いのはセールスの人なんですよ。
セールスの人が分かっていることやノウハウをきちんとマーケの人に伝える、そしてマーケの担当がそれをWebに反映させるというプロセスがあって、そこをしっかりやらないと、セールスの持っている情報とWebが連動しないんですよね。
当社もその点は注意してやらせていただいています。
今井氏
日本の人が海外営業をやる場合も、伝えるメッセージや伝え方、順序をよく意識しないと、間違ったコミュニケーションを取ってしまう可能性があるわけですね。
それをWebに載せるのか、人が伝えるのかという違いだけですもんね。
徳田
はい。
ビジネスのプロセスの中で、Webがどのように使われるのか次第でそのあたりは変わってきます。
初回接点のためのWebサイトなのか、営業担当が直接接点を持ったうえで、説明のためにWebを使うのかでも大きく異なりますしね。
当社でもそこは事前にヒアリングした上で支援させていただいています。
今井氏
それでは、3つ目の失敗ケースは何でしょうか?
徳田
3つ目は、取引する商社を間違えてしまうというケースです。
このケースも結構多いんですけど……
まず現地の商社と契約しました。でも蓋を開けてみたら、全然動いてくれていないという話もよく聞きます。
契約期間中何もしれくれなくて、催促すると「この商品は売れるか分からないから、そんなにリソースを割けない」と言われてしまったりとか。
大手のメーカーさんでも、こういった経験をされている方は結構います。
現地の会社ということであまり細かく選ばずに採用してしまって、数カ月間棒に振ってしまうということも少なくないですね。
今井氏
これは日本でも全然あることだと思いますが、まだ日本企業相手であれば、意思疎通は取りやすいですしオフィスに行けばそこにいるわけですから、解消する余地がありますよね。
海外だとそれも難しいと思いますが、どうやって問題解決されるんですか?
徳田
それはですね、お金で解決するんですよ。
今井氏
マネー……(笑)
徳田
ようするに、「この商品を扱えば儲かる」と思えばやるんですよ。
例えばインドに、なかなか動いてくれない現地商社があったとしたら、「お隣の国ではこうやって売って、これだけの収益が上がっていますよ?まだやらないんですか?」と言えるような事例を持っていくとか。
あとは「こういうプロセスで動いてくれたらインセンティブを出すよ」という条件を付けるとか。
儲かるとか、自分たちが失敗をしないというイメージを相手にさせることが重要です。
今井氏
これは、日本でも同じですよね。
日本だとお金先行なスタンスを見せると少し下品な捉え方をされてしまいがちですが、根本的には事業ですから、儲かるところに投資をするし、活動もすると思うんですよね。
まずは「なぜあなたたちがこの商品を売ると儲かるのか」ということに対する納得感、そこから「今ここに注力することで、儲けのポイントになる」というインセンティブを可視化していくことが大事な訳ですね。
徳田
そうですね。
そういう点を説明することで、対策すれば動いてくれる商社さんなのか、そもそもその商社さんがイケてないのかという判断もできると思います。
そのためにも、こちらがやるべきことはすべて果たすようにしたいですね。
今井氏
メーカーと商社の関係性として、メーカー側が強くなるケース、商社側が強くなるケースというのがあると思います。
海外営業の場合だと、商社の方が強くなるケースが多そうなイメージがあるのですが、実際はどんな感じですか?
徳田
基本的にはモノ(商品)を持っているほうが強いので、メーカーの方が強いですかね。
どこの商社に依頼するか選べる訳ですし。
もちろん商社側もどこと組むかということは選べますが、プロダクトが強ければ、メーカーの方が強くなるという認識です。
今井氏
ありがとうございます。
第3夜は、海外営業の失敗例について教えていただきました。
海外営業のことをなんとなく分かってきたと思うのですが、このままだとなんとなく分かって終わってしまう気がしていて……(笑)
なので第4夜は、「セレブリックスが海外に進出するとしたら、どんなことから始めて、どんな観点を持っておくことが大事か」ということを一つのケーススタディとして勉強させていただきたいなと思います!
引き続きよろしくお願いします。
徳田
はい、次回もよろしくお願いします!
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