対談
Interview
この記事を読むことで、越境ECにおける5つの成功パターンについてがわかります。
【StockSun株式会社 執行役員 岩野 圭佑氏】
京都大学法学部卒業後、拓殖大にて安全保障の修士号取得。 在学中、政治家秘書や株式会社FiNCでのインターンシップを経験後、株式会社ユーティルを友人と共同で創業。 同社では、知識・経験ゼロの状態から立ち上げたサイト制作事業の拡大を牽引。 2018年7月より独立し、StockSun株式会社に参画。得意領域は事業統括、サイト制作ディレクションなど。
【世界へボカン株式会社 代表取締役 徳田祐希 略歴】
日本の魅力を世界へ伝えるというミッションの元、13年以上にわたり、多国籍メンバーと共に越境EC、海外BtoBマーケティングに取り組む。
越境EC企業の年商を35億→500億、14.7倍の成長を導くなど数多くの実績を残す。
Shopifyマーケティングエキスパート。
StockSun株式会社 岩野 圭佑氏(以下:岩野氏)
皆さんこんにちは!
本日はスペシャルゲストとして、海外向けマーケティングのプロ中のプロ、世界へボカン株式会社の徳田さんにお越しいただきました。
よろしくお願いします!
世界へボカン株式会社 徳田 祐希(以下:徳田)
よろしくお願いします!
岩野氏
まずは簡単に自己紹介をお願いできますか?
徳田
世界へボカン株式会社の徳田と申します。
越境ECや海外向けBtoBマーケティングを15年ほどやらせていただいております。
東アフリカに中古車を売ったり、アメリカにネジやバルブなどのパーツを売ったりと、様々な案件に携わってきました。
本日はよろしくお願いします!
岩野氏
StockSunでもたまーにそういったご依頼が来ることがありますね。
そういう案件が来た時は「徳田さんに任せたら大丈夫でしょ!」という感じで、ニッチトップのような立ち位置の方なので、今日は面白いお話が聞けるんじゃないかなと思います。
岩野氏
早速ですが、まだ越境ECをやられていない方も観ているかもしれないので、どんな相談が一番多いのか教えていただけますか?
徳田
コロナ禍で外国人が日本に来なくなってしまったことにより、それまでインバウンド向けに商品を売っていたのに売れなくなってしまったというケースが多いです。
そこで助成金などを活用して越境ECサイトを制作したけれど、売れません!という方とかですね。
「Shopifyで越境ECサイトを作れば売れるんじゃないか」と思っていた方が、全然売れなくて「どうしよう」と困っているケースが非常に多くて。
そういった方の駆け込み寺のような形でよくご相談いただきますね。
岩野氏
なるほど。確かにそういう方めちゃくちゃ多そうですね。
日本にいると中々分からないですし、じゃあ海外市場の情報収集をしようと思っても、自力では難しい構造になっていると思います。
本日は越境ECという領域において、秘訣のようなことを教えていただけたらなと思います。
徳田
はい!
越境ECの勝ちパターンを5つ、持ってきました。
徳田
「越境EC」と一口に言っても、売る商材によって勝ち方は違うんですよ。
オンラインに載せて売れるものもありますし、体験してもらうことで初めて売れるものもありますし。
顧客接点をどう持つのか?どう価値を伝えていくのか?という点がとても重要です。
こちらをご覧いただいている皆様にも、「うちの商材だったら、このパターンがいけるんじゃないかな」と自社に当てはめながら見ていただけたらと思います。
岩野氏
なるほど、分かりやすい!
徳田
まず一つ目は「海外モールの活用」です。
分かりやすい例だとアメリカ版AmazonやeBay、時計だったらChrono24というモールもあったりします。
車とか時計のように、すでに認知のある商材に関してはモールに置いた方が早いんですよ。
Googleでもモール内でも検索ニーズがあるので、売れるところに置いたほうが良いと。
独自ドメインで売ろうとするとサイトへの集客について考えなければならないので、それよりは手数料がかかったとしてもモールに置いて売ってしまった方が楽ですよね。
ただモールは料率が変わってくることがあるので、そういう時にゲームチェンジしてしまって利益が出なくなってしまうとか、競合が価格において圧倒的に優勢だったときに勝てなかったりすることもあります。
他社と比較されることを前提に考えた時、きちんと選ばれる理由や希少性を持っている場合は、モールを活用した方が良いと思います。
岩野氏
なるほど。
検索ニーズがすでにたくさんあるような物に関しては、スーパーECサイトに独自ドメインサイトで戦いを挑んでもなかなか勝てないから、モールを有効活用するということですね。
その発想の方が圧倒的にコスパがいいですよね。
徳田
だって岩野さん、海外の独自ドメインサイトで商品を買ったことありますか?
岩野氏
ないですね!
徳田
ないですよね。そんなものなんですよ。
モールは信用が担保されていたり、サードパーティーで何かあったときにサポートしてくれたりするので、“安心”や“信頼”という面でのメリットは大きいです。
なので高いものを売る時や、失敗したくない!というものを売る時は、モールの方が向いているんですよね。
徳田
2つ目の成功パターンは、「ECモールと独自ドメインサイトの併用」です。
商品名や型番ではなく、カテゴリー名が強い商材というものがあるんですよ。
「包丁」とか、広島の「熊野筆」も海外でかなり売れています。
そういう、「自分たちの商材のカテゴリーは認知があるけど、ブランド名の認知はない」場合、モールの中でそのカテゴリー内で戦うには、外部のチャネルから集客をし、教育してからモールへ送客しなければならないんですね。
最終的にモールを買う場所として使い、独自ドメインサイトは購買へ向けてユーザーを教育する場所、という形で活用していく併用パターンで売ることもありますね。
岩野氏
例えばロレックスは皆そのブランド名を知ってるからいいけど、「熊野筆の中のこの商品が……」とか言われても、そもそも知らないから分からないですもんね。
徳田
そうですそうです。
そのカテゴリーの中で自分たちはどういう特徴を持っているのか、どんな想いでやっているのかなど、“語れるストーリー”がある方が売れやすいんですよ。
岩野氏
「日本では、こういう人々によってこうして育てられた、伝統のあるものです」とかですよね。
なるほどですね!
徳田
3つ目は、「独自ドメインで販売する」、Shopifyなどで越境ECサイトを作り、そこで売るというパターンですね。
伝統工芸品の販売などでは、この手法をとることが多いです。
岩手県に南部鉄器という伝統工芸品がありますが、南部鉄器はもともとBtoBの取引(商社や卸・小売業者経由の販売)でめちゃめちゃ売れてたんですよ。
ただあるときから、海外のモールに南部鉄器の形をしたものが半額程度で売られてしまって。
中国の方たちが類似製品を工場で作って売り始めてしまったんですよ。
お客様にとっては価格が違う理由もよく分からないし、安い方を買うじゃないですか。
でもあるお客様は「本物がほしい」と言ってわざわざ日本語サイトへ問い合わせをしてきてくれたんですね。
そこで安い類似製品との違いや、どのように作っているのかということを説明しているうちに「自分たちは南部鉄器という“モノ”は輸出していたけど、その背景にある歴史や製造工程、職人の話などの“コト”を全然発信していなかった」と気づいたそうです。
徳田
「“コト”の発信が足りていないから、商品の形だけ真似されて、それが売れてしまっている」ということが分かり、独自ドメインサイトでしっかりブランディングもしながら販売していくことにしたんです。
そしたら海外からどんどんアクセスが来て、売れるようになったという事例ですね。
ブランディングが重要な商材や、メルマガなどのCRM(顧客関係管理)で継続的に情報提供をすることで買っていただく・LTVを伸ばしていくような商材は、独自ドメインがおすすめです。
岩野氏
南部鉄器の壺とかお皿とか、その物だけが欲しいわけじゃないですもんね。
その裏に隠れているストーリーがあってこその商品だから、そこを買いに行っている人たちにとっては、半額であることは価値ではない訳ですし。
徳田
そうなんですよ。
むしろ高く買いたいというか……“語れるストーリー”を買いに来ているので、そういうお客様相手に売りたいときは独自ドメインが良いと。
岩野氏
カテゴリー名で検索したら、独自ドメインであってもそれこそ1位2位が取れる世界観だから、調べている人に対してストーリーをぶつけるための受け皿が独自ドメインのECサイトになる、ということですね。
徳田
その通りです。
あとは独自でSNSを運用したりすると、海外のバイヤーさんがDMしてきてくれて売れる、というケースもあって。
自社でブランディングをしていくと、かなりメリットはあると思います。
徳田
4つ目の勝ちパターンは、「インバウンドの活用」ですね。
インバウンドのお客様を、Shopifyの独自ドメインサイトに引き上げるという取り組みです。
京都のような、海外のお客様がたくさん訪れる観光地の土産物屋さんに置いたりして、実際に商品を手に取っていただく。
直接見て触って、商品価値が伝わったところで、「実はこれオンラインでも買えるんですよ」とショップカードを渡して引き上げるとか。
あとは最近ですとOmni Hub(オムニハブ)というShopify上で使えるアプリを活用して、顧客データをオフラインとオンラインで紐づけることで一見客にしないという取り組みもあります。
そういうOMO(Online Merges with Offline)のような施策を通して売っていくというパターンもあったりします。
徳田
先ほどもお話した「顧客接点をどう持つのか?」「どう価値を伝えていくのか?」という観点でも、わざわざ海外から日本に来てくれる、つまり親日な皆さんをお客さんにしない手はないですよね。
岩野氏
オペレーションの話になってしまいますが、そうやって商品を店舗に置いてもらうような支援もされているんですか?
徳田
そうですね。
「エクスペリエンススポット」という施策で、ホテルやドミトリーのようなところに包丁を置いていただき、実際に料理をするときに使っていただけるようにしたことがあります。
そこで「この包丁使いやすいな」と感じていただけた方に、近くの包丁屋さんやオンラインショップの案内をするという流れですね。
体験することで初めて価値が実感できる商材については、エクスペリエンススポットで知っていただくことが重要です。
最近は国内でも海外でも“体験を売る”という施設が増えてきています。
日本だと丸井さんがやっていたりしますが、店舗では商品の体験だけして、購入はオンラインで行うという施策もあります。
オンラインで空中戦のみで勝負するというよりは、オフラインの地上戦と併用する取り組みが増えていますね。
徳田
5つ目は、BtoBの取引を通して現地で流通させ、UGC(ユーザー生成コンテンツ)を生んだりしてユーザーがシェアしてくれるようになってからオンラインでの購入にシフトするという取り組みです。
音響機器など試してみないと分からない商品に関しては、そうやって現地の有名なところで流通させて、著名な方のレビューや体験を通して購入してもらい、エクスペリエンススポットが遠くて行けない人などにオンラインで購入してもらうとか。
あとはBtoBで流通させた商品の交換パーツやケアアイテムなどをオンラインでクロスセルしていくとか。
どうやって顧客接点を持つか、という方法の一つですね。
岩野氏
その音響機器の例でいくと、BtoBの取引先というのは例えば電気屋さんとかでしょうか?
徳田
そうです!
現地の電気屋さんを輸入代理店さんに紹介してもらったりして、店舗に置いてもらいつつオンラインでも売る。
逆にオンラインでも「この店舗で実際に体験できますよ」と誘導するなどして、相互で補完し合うような形で取り組むと良かったりします。
岩野氏
あと気になることでいうと、言語圏によって売り方が異なるんじゃないかなと思うんですけど……一番ご相談が多いのはやはり英語圏ですかね?
徳田
はい、そうですね!
岩野氏
英語圏に対してどのように売っていくのが良いのか。
そのポイントを次回お話いただければと思います。
海外に商品を売りたいと思っている方は、徳田さんに相談すれば間違いないということで、ぜひ気になる方は問い合わせしてみてくださいね。
本日はありがとうございました!
徳田
ありがとうございました!
岩野氏×徳田の対談企画・第2弾はこちらをご覧ください:
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