対談
Interview
この記事を読むことで、英語圏向けマーケティング戦略のポイントや実際の成功事例がわかります。
【StockSun株式会社 執行役員 岩野 圭佑氏】
京都大学法学部卒業後、拓殖大にて安全保障の修士号取得。 在学中、政治家秘書や株式会社FiNCでのインターンシップを経験後、株式会社ユーティルを友人と共同で創業。 同社では、知識・経験ゼロの状態から立ち上げたサイト制作事業の拡大を牽引。 2018年7月より独立し、StockSun株式会社に参画。得意領域は事業統括、サイト制作ディレクションなど。
【世界へボカン株式会社 代表取締役 徳田祐希 略歴】
日本の魅力を世界へ伝えるというミッションの元、13年以上にわたり、多国籍メンバーと共に越境EC、海外BtoBマーケティングに取り組む。
越境EC企業の年商を35億→500億、14.7倍の成長を導くなど数多くの実績を残す。
Shopifyマーケティングエキスパート。
前回の記事はこちらをご覧ください:
StockSun株式会社 岩野 圭佑氏(以下:岩野氏)
皆さん、こんにちは!
今回も引き続き、世界へボカンの徳田さんにお越しいただきました。
徳田さんは海外Webマーケティングのプロということで、今回は「英語圏のユーザーに対してどうやって物を売ったら一番効果的か」ということについてお話いただけたらなと思います。
徳田さん、よろしくお願いします!
世界へボカン株式会社 徳田 祐希(以下:徳田)
はい、よろしくお願いいたします!
徳田
一口に“英語圏”と言っても、ヨーロッパやアメリカ、オセアニア、アフリカなど様々な国と地域があります。
今回は、その中でもアメリカに販売した事例と、アフリカに販売した事例をご紹介できればと思います。
特にアフリカのビジネス事例については、なかなか聞く機会がないんじゃないかと。
岩野氏
そうですね!
徳田
まず、そもそも“越境EC”や“海外販売”と言っても、商材特性によって売り方が違うよねというポイントがあります。
僕らは「価値のマトリクス」という独自のフレームワークを使ってお話させていただくことが多いですね。
そもそもその商材に認知があるのかないのか、という縦軸と、情緒的な価値を満たす商材なのか、機能的な価値を満たす商材なのかという横軸のグラフで、商材の分類を行うというものです。
徳田
例えば車のように、認知があって機能的な価値を提供するものは「実利価値」に含まれ、これらはモールなどで売っていくケースが多いです。
前回の動画でも「どの場所で売るのかということは、商材特性によって変わってくる」というお話をさせていただきましたが、認知のある商材を独自ドメインで売っていくには、その企業から買う理由を作らなきゃいけないんですよ。
英語圏へ売っていくということは世界戦なので、サービス面を磨いたり、どんな点で優位性があるのかを明確にしないと勝てない訳ですよね。
岩野氏
なるほどなるほど。
徳田
価値のマトリクスの象限が4つありまして、先ほどの実利価値と、情緒的な価値を満たす認知のあるもの(評判価値)……例えばエルメスのバッグやロレックスの時計のようなのようなものが、同じように海外で売りやすいものになります。
つまり上の2つに分類される商材を扱う場合は「売れるものを売る」ビジネスに該当するため、その企業が選ばれる理由を作ることが重要なポイントになります。
徳田
下の象限が、情緒的な価値を満たすものの認知がまだない「共感価値」、機能的な価値を満たすものだけど認知がない「保証価値」、つまりこの2つは企業側が「売りたいものを売る」ビジネスなんですよね。
この「売りたいものを売る」ビジネスが難しいんですよ。
そもそもその商品を購入する必要性を感じてもらわなければならないし、その商材に合致する悩みや課題を持っている人がどこにいるかが分かっていないため、その人たちをリサーチして探さなければなりません。
徳田
「売れるものを売る」事例をご紹介すると、僕らのお客様で、年商34億円から600億まで売り上げを伸ばした企業様がいらっしゃいます。
中古車を販売している企業様なんですが、車ってどの会社から買っても基本的にはスペックが変わらない商材じゃないですか。
アフリカへ車を販売していく上で、最初はタンザニアのダルエスサラームという港で販売を行っていたんです。
すると、例えば内陸のザンビアなどに住んでいる方が車を買うと、約1000キロほどの道のりを運転して帰らなきゃいけなくて、めちゃめちゃ大変なんですよ。
しかも、土地の性質上、移動中に車の状態も劣化してしまうんですね。
そんな大変さや手間を感じていたお客さんたちに対して、その会社の社長さんが「だったら、お客様のもとまで車を届けるサービスを始めたらいいじゃないか」とシティデリバリーサービスというものを始めたんです。
徳田
車そのものを売ることではなく、「車をお客様の町まで届ける」ということをサービスの強みとしたんですね。
それを始めたことによって他社との差別化に成功し、大きく会社が飛躍しました。
しかも車代に加え、船賃や陸送の費用も払う訳じゃないですか。
キャッシュポイントが他社と比べて多いので、他社よりも仕入れ値を高くしても買えるようになるんです。
つまりユーザーにとってはより良い車を買えるようになるし、企業側にとっても利益が出しやすい体質になる訳です。
「あそこの会社だと、良い車がリーズナブルな価格で手に入る、しかも町まで届けてくれる」となったら、もう選ばない理由がないですよね。
これはもう勝ちパターンじゃないですか。
岩野氏
確かに!
徳田
こういう形で、「売れるものを売る」ビジネスの場合、そもそもビジネスで勝たないといけないんですよね。
戦術的な施策の前に、戦略で勝っている必要があると言いますか。
そしてその勝てる戦略をWebで見える化するという観点で、SEOで「中古車販売」のキーワードで上位表示させるとか、取れるCPAで獲得していくということをやっています。
岩野氏
アフリカの販売例は、新しいマネタイズポイントを創出しちゃったという感じで凄いですね。
ちなみにそういった「勝てる戦略」を他社に真似されてしまった場合は、どうのように対応するんでしょうか?
徳田
その中古車販売会社の社長がよく仰っていることでいうと、やっぱり「お客様のところに答えがある」そうなんですよ。
例えばシティデリバリーサービスを他社が始めてしまった場合は、またお客さんにお悩みや課題を聞くんですよね。
流通数が多い分、それだけお客様の声を聞く機会も多いので、それを反映させていくことでさらなる差別化をしていくことができます。
例えば「関税の手続きも代行しよう」とか「車が壊れてしまった際のサポートとして、パートナー企業を連携してリペアできるストアを作ろう」とか、お客さんの課題に寄り添って色々なサービスを展開するんですよ。
岩野氏
なるほど。
ファーストペンギンじゃないですけど、最初にシティデリバリーサービスを始めた分、母数が多いわけだから、PDCAを回せる回数やそのスピードでも絶対他社に負けないですもんね。
そうやってどんどんサービスをリッチ化していって、ポジションを築いていると。
徳田
そうですね。
施策を真似されてしまうことがあっても、常に顧客の解像度を高く保っておけば次の打ち手が導き出せます。
海外向けビジネスをやっていると、どうしてもPCに向かって仕事するような形になってしまいますが、その先には実際の人がいるわけですよね。
その人たちのことをしっかり考えて耳を傾けるという姿勢が、ビジネスを成功させる秘訣なのかなと思います。
徳田
続いて、アメリカ向けに販売を行っているお茶屋さんの事例をご紹介します。
海外向けに抹茶や茶器を販売している企業は非常に多いので、同業の方にとっても参考になると思います。
その会社は、丸久小山園や碧翆園のような、世界中のお茶好きから愛されている抹茶を取り扱っている小売り業者さんだったんですが、そういったブランド力のある銘柄を扱うことによってお客様と接点を持ち、自社オリジナルの抹茶を売っていったという成功事例になります。
徳田
どうしても最初は、お客さんも「失敗したくない」「有名な銘柄の商品を体験したい」という気持ちが強いため、そちらを購入しますよね。
そうしたら、その有名な銘柄のお茶を送る際に、自分たちの商品も同梱物として送るんですよ。
するとお客さんが「あれ?こっちも美味しいじゃん」と自社製品の魅力に気づいてくれるんですよね。
もしくは有名なお茶と一緒に、茶器や保存容器などをクロスセルしたりして、日本が好きな人向けに世界観をお伝えしながら同梱物の提案を色々としていったんです。
すると客単価もどんどん上がっていきます。
岩野氏
なるほどなるほど。
徳田
お茶というのはLTV商材なので、一度買ったらリピート購入していただける商材なんですよ。
そうやって様々な提案をしながらお客さんにお茶を飲み続けてもらううちに、最初は数十万円規模だった売上が数千万円にまで上がりました。
「売れるものを売る」ことで認知を獲得し、「売りたいもの」を同梱商品として提案することで買っていただくという施策ですね。
「顧客接点をどう持てば売れるようになるのか?」というポイントについてよく考えてやられていった事例ではないかと思います。
徳田
「売りたいもの」はそもそも顧客接点が持ちづらいので、ストーリーを伝えて共感していただくか、この事例のように半ば強引に接点を設けて、前回お伝えしたインバウンドやBtoB取引も活用しながら「体験してもらう」ということをやる必要があります。
それをどうやっていくか?ということが大事ですね。
「売りたいものを売る」ビジネスなのに、Shopifyで販売ページだけ作ってPPCで広告回しても、売れないんですよ。
それで「売れない」とご相談いただく企業様も非常に多いので、気を付けるべきだというお話をよくさせていただいています。
徳田
越境ECって、そういった戦略的なこともそうですが、戦術的にも細かいことを色々とやらなくちゃいけないんですよね。
僕らはよく「越境ECは総合格闘技だ」とお伝えしています。
徳田
物流も見なきゃいけないし、サイト改善もしなきゃいけないし、英語のコピーも書かなきゃいけないし……
特に気をつけなきゃいけないこととして、越境ECは「カゴ落ち」がすごく多いんですよ。
世界的なカゴ落ち率は、約69.7%と言われています。
でも日本から海外の越境ECにおいては、カゴ落ち率は約80%にまで上ります。
岩野氏
えー!そんなにですか。
徳田
なぜそんなにカゴ落ちするのかというと、送料が高いんですよ。
日本国内だと、800~900円くらいあれば配送できますよね。
それが海外だと、安くても2,000円以上になってしまいます。
例えば商品単価が1,000円、2,000円のものを買って、送料2,000円だったら、一気に4,000円くらいの買い物になっちゃうじゃないですか。
商品に対しての送料の割合が高すぎて、カゴ落ちしてしまうんですよね。
徳田
そういうことを防ぐために商品単価の中に送料を入れるとか、色々な手法を知っていないといけないんですよ。
勝つための理由づくりという観点も重要ですが、勝っていないことにも理由があるんですよね。
それを一つひとつ紐解いていき、改善していくというのが僕らのやっていることです。
岩野氏
先ほどの送料の例で、商品単価2,000円+送料2,000円というケースの対策としては、商品の価格を3,000円+送料1,000円として送料を安く見せる、ということになるのでしょうか?
徳田
その場合は、商品価格を4,000円にして「送料無料」としてしまいますね。
岩野氏
確かに、そうやって送料無料とするのは日本国内でも使われているテクニックですよね。
徳田
はい、国内ECでも活用いただけるテクニックだと思います。
「売るためのテクニック」も勿論重要なんですが、それは「欲しい」と思ってもらった後の話なんですよね。
なので、まずは「欲しい」と思ってもらうための取り組みが必要なのかなと。
岩野氏
なるほど。
テクニカルな部分に関しては、日本国内向けにやっている手法を海外向けに転用することもできる気がしますね。
「日本国内向けに販売していたけれど、これからは海外向けに展開していきたい」という企業が結構多いイメージなんですけど、実際そうなのでしょうか?
徳田
そうですね。
海外に目を向ける方はかなり増えています。
2060年には日本の人口は8,000万人になると言われているので、海外ビジネスをやるかと言われたら、もう「イエス」か「はい」しか答えはないと思いますね。
岩野氏
これから越境ECをやってみたいという方や、すでにチャレンジしているけどうまく行っていないという方もご覧になっていると思います。
そんな方は、ぜひ徳田さん、世界へボカンにお問い合わせしてみてください!
徳田さん、本日はありがとうございました!
徳田
こちらこそ、ありがとうございました!
当社がこれまで培った知識やノウハウ、海外の先進事例などを、無料メールマガジンとして配信しております。ぜひご登録ください。
世界へボカンのプライバシーポリシーについてはこちらをご確認ください。
弊社では、皆様のサービスや商品を最適な形で海外に進出するためのサービスをご用意しています。
具体的なプランは個々のご事情に合わせて策定いたしますので、まずはご相談ください。
はじめて越境EC、海外Webマーケティングに取り組む方向けに書籍を出版しました!
私たちが、
御社の海外進出を
サポートいたします!
私たちが提供するサービスや数々の支援実績、
実際に行ったマーケティング施策から導き出した
海外Webマーケティングのノウハウをまとめました。
ぜひご利用ください。