対談
Interview
この記事を読むことで、D2CブランドHushTugについてがわかります。
【HushTug代表 戸田 貴久】
地元銀行からWEBマーケティング関連で起業。
事業売却後、モンゴルでHush Tugを創業し、2019年にECを開始。2年でモンゴル最大級の工房に成長。
HushTugは高品質なレザーブランドとして現在も人気上昇中。
【世界へボカン株式会社 代表取締役 徳田 祐希】
日本の魅力を世界へ伝えるというミッションの元、13年以上にわたり、多国籍メンバーと共に越境EC、海外BtoBマーケティングに取り組む。
越境EC企業の年商を35億→500億、14.7倍の成長を導くなど数多くの実績を残す。
Shopifyマーケティングエキスパート。
前回(①事業立ち上げ編)の記事はこちら:
D2Cブランド「HushTug」の裏側に迫る!【①事業立ち上げ編】HushTug戸田氏 × 海外Webマーケター徳田
世界へボカン株式会社 徳田 祐希(以下:徳田)
こんにちは、世界へボカンの徳田です!
D2Cブランド「HushTug(ハッシュタグ)」の戸田さんをお招きし、創業や事業成長のストーリーを伺う今回の対談企画。
前回の第1回では、HushTugというブランド名の由来や設立の経緯について伺いました。
レザー調達や職人探しに苦戦されたのち、構想1年半でようやくブランドが立ち上がったとのことでしたが、ではここから製品どうやって売っていくのか?
D2Cブランドを立ち上げたものの売上が立っていない、全然伸び悩んでいる……という方もたくさんいらっしゃると思いますので、この0→1のフェーズについて今回は伺わせてください。
HushTug代表 戸田 貴久氏(以下:戸田氏)
よろしくお願いします。
徳田
まずECサイトについては、Shopifyでやられているんですよね。
noteに書かれていた記事では、「入金サイクル」や「使いやすさ」という点でShopifyを選ばれたと拝見しました。
プロモーションについてはどんなことをやられたんでしょうか?
戸田氏
一番最初は、まず何からやって良いのか分からなかったため、実際にブランド運営をされている方に相談したんです。
すると「HushTugはストーリー性が強いから、今だったらクラウドファンディングが良いのでは」という意見をいただいて。
「そうか、クラファンか!じゃあやってみよう!」というところからスタートしましたね。
徳田
クラウドファンディングを始めて、ストーリーとともに商品を手に取っていただく機会を作りましたと。
その次のアクションは何だったのでしょうか?
戸田氏
実はクラファンは、3回やったんです。
先ほどShopifyでサイトを作ったというお話がありましたが、実はその前に一度、なぜかとち狂ってしまい(笑)「フルスクラッチでサイトを作ろう!」という意思決定をしてしまいまして。
そしてモンゴルのエンジニアさんと、本当にゼロベースで開発を始めて……それが半年ほどかかると言われたので、その間にクラファンをやったという背景がありました。
戸田氏
よく考えればShopifyやBASEでサイトを作れば良い訳だったので、数百万ぐらいお金を無駄にしていまいましたし、さらにエンジニアさんと連絡がつかなくりまして……(苦笑)
残り3日くらいでなんとかサイトを作らなければならないという時に、初めてShopifyを知って、Shopifyでサイトを急いで立ち上げました。
その時点でクラファンを3回やっていて、ある程度売上があったので「サイトをローンチすれば売れるんじゃないか」と思っていたんですけど……
1ヶ月目の売上は、6万4,800円だったんです。
徳田
単価を考えると、6万4,800円ということは数個しか売れなかったということですね。
D2Cブランドというのは、立ち上げてすぐには売れないんですよね。
僕らは主に越境ECの支援を行っていますが、よくクライアント企業の方にも「サイトを立ち上げたからってすぐに売れる訳ではない」とよくお伝えしています。
コンセプトを立てるのはもちろん、流入を取らなきゃいけない、成約率も考えなきゃいけない。
トップページ、商品一覧、商品詳細ページだけを作っても、購買にまでは繋がらないんですよね。
戸田氏
そうですよね。
もう砂漠の中にお店を出すのと一緒というか……サイトを出しただけでは誰にも認知されないですからね。
一応、Facebookのフレンド数が結構いたので、そこで発信などもしていたんですよ。
それでも6万4,800円だったので……本当に何もないところから始めたら、売上を立てるのは相当厳しいのかなと思います。
徳田
クラウドファンディングのサイトにはたくさん人がいて、ストーリーに共感して買ってくれたと。
独自ドメインのサイトは、それだけ難しいってことですね。
そんな中からどうやって、0→1のフェーズを頑張っていかれたんですか?
戸田氏
もともと僕らはWEBマーケティングをずっとやっていたので、「どういう手順で売っていけば良いのか」をきちんと言語化していました。
いきなりSNS広告を出しても売れないと思ったので、まずはやっぱり検索で来てくれる、すでにニーズが顕在化している人に売ろうというところで、Googleの検索まわりを徹底的にやったという形ですね。
徳田
御社のことを知っている明確層は少ないから、その下のニーズはあるもののどのブランドが決まっていない、顕在層を取りにいったということですね。
戸田氏
そうですね。
「トートバック、メンズ」「トートバック、おすすめ」などの売れそうなキーワードを検索して、上位表示されるサイトにひたすらアフィリエイトの営業をしていって掲載してもらいました。
徳田
なるほど!
そこで自分たちのオウンドを作って上位表示させるんじゃなく、すでに上位表示されている枠に「紹介してください」とお願いしたんですね。
確かに、こだわりのある高品質な製品だし、ストーリー性もあるから紹介しやすいですよね!
とはいえ、上位表示されているサイトの人たちがすぐに「いいよ、載せてあげるよ」ってやってくれるものなんでしょうか?
戸田氏
相手からしてみたら、僕らは無名ブランドすぎるので本当に売れるかどうかわからないじゃないですか。
なので"わらしべ長者戦略"を取ろうと思いまして……(笑)
まずは個人ブロガーで、アフィリエイト報酬もあまり立っていなさそうな方に当たっていきました。
僕らは以前アフィリエイトも結構ガッツリやっていたので、「このブログはどれくらい収益が立っているか」ということがだいたい分かるんですよ。
なので「掲載してくれた暁には、あなたのサイトならこれくらいの売上が立ちますよ」ということを全部言語化して営業していったんです。
ブロガー側にとっても、直でメーカーから依頼が来るなんてほとんど経験がないとも思ったので。
徳田
確かに。
普通はASP系ですもんね。
戸田氏
そうなんです。
僕らは自社でASPを持っていたので、自分たちで営業してファン化というか説得をして、ちょこっと掲載してもらって。
売上が出たら、次は少し大きめのメディアにその実績をもって「おたくのメディアだったらこれくらいの売上が出ますよ」と営業して……というのをひたすら繰り返していったという感じですね。
徳田
なるほど!
最初から大きいメディアを攻めるのではなく、規模の小さいところから当たって実績を作り「あそこのメディアさんでこれくらい売れたから、御社だったらこれくらい売れますよ」とアピールしていかれたんですね。
noteで拝見しましたが、インフルエンサーさんにもギフティングをされたり、戸田さんの人となりが見えるような文章のやり取りをされたりしていて、凄く良いなと思いました。
そういった地道な営業やコミュニケーションを積み重ねて、徐々に徐々に売上を上げていかれたと。
戸田さんのようにマーケティングの経験もあって、こだわりを持った良いものづくりをしている方でも、0→1のフェーズはかなり大変ということなんですね。
戸田氏
はい、とても大変でしたね……。
徳田
海外向け販売となると、そこに物流コストの問題なども加わってくるので、また違った難しさがあります。
HushTugさんのように、1年半かけてこだわったものづくりを行って、マーケティングも営業もゴリゴリ自分たちでやってやるぜ!みたいなスタンスじゃないと、なかなか上手くいきません。
クラウドファンディングをやったりアフィリエイトやったりして、きちんとマネタイズできるようにするまで結構時間かかりますよね?
戸田氏
そうですね。
そこはだいぶしんどかったです。
徳田
インフルエンサー施策などもやったりして……すると次はアド(広告)ですかね。
アドだと何を使ってたんですか?
戸田氏
アドはFacebookとインスタグラムを中心に出していったんですけども、これも同時並行でして。
Googleの検索ワード、リスティングとかも出せるので、そこはしっかりやりながら購入者を貯めていき、貯まったデータを今度はFacebookやインスタグラムに学習させて購入者類似のリストを作って配信するという流れですね。
徳田
そもそも先ほどの御社のこと知ってる明確層、その下の顕在層(「トートバック メンズ」「レザー トートバック」などで検索している人たち)のキーワード広告から徐々に取り始めたってことですね。
顧客のリストが溜まって、メールリストというのをGoogleやFacebookでハッシュ化して、正解データとして学んでいただいてその類似オーディエンスを広げていった……と。
Facebookとインスタってそんなに取れるんですね!
戸田氏
商材にもよると思いますが……
僕らの商材って同業と比較すれば安い方だと思うんですけど、それでも一回のお買い物で2~4万円の世界になってくるので、広告で見かけてそのまま初見で買うかと言われたら、特に若年層はなかなか買わない価格なんですよね。
ただFacebookは今わりとユーザーの年齢層が上がってきていて、40代から50代の方が多いんですよね。
しかも男性ユーザが多いので、結構刺さりました。
徳田
媒体の特性と商材の特性がマッチしていたということですね!
オーディエンスターゲティングも結構細かく設定されてますもんね。
そもそもハッシュ化してデータを食わせているというのもそうですし、結構ピクセルのところで正解データを細かく刻んで見ているんですね。
そういう工夫の甲斐あって、上手くいったということですね。
戸田氏
そうですね。
そういったやり方がハマったこともあり、最初の月の売上から……発売8ヶ月で約840万円までひたすら伸ばすことができました。
徳田
凄いなあ……普通はそこまでいくのにめちゃめちゃ時間かかりますよ!
徳田
noteなども見させていただいてすごく良いなと思ったのは、HushTugさんは短期的な売上のためではない、良いものづくりをされているし、お客様と誠実な関係構築をするためにも"煽る"ような訴求はしないんですよ。
しっかりとポリシーは大切にしながらアドを回して獲得していくという姿勢を見ても、やっぱりその背景にはブランド設立のストーリーや戸田さんの思いがあるんだなぁと思いますし、それらがちゃんと伝わったお客様に買っていただいてるんだなと感じました。
徳田
僕らはエルメスとかロレックスのようなハイブランドの製品を「評判価値商材」と呼んでいて、その下のまだ世の中には認知されてないけどストーリーとかに共感してもらえる商材を「共感価値商材」って呼んでいるんですけど。
「共感価値商材」でこれだけ順調に売れている会社は本当に凄いと思います。
僕も日々マーケティング支援を行っている立場ですが、今回の対談では学ぶことのほうが多かったです。
戸田氏
ありがとうございます。
でも本当に、広告は難しいですね(笑)!
徳田
そうですよね。
ここからまたiOS14のアップデートなどもあって、いろいろリタゲが効きづらくなってくるとか、色んな変化もあると思うので。
次の1→10のフェーズについては、また第三弾の対談で伺いたいと思います。
本日はありがとうございました!
戸田氏
ありがとうございました!
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