対談
Interview
この記事では、アパレルECのInstagramの運用、仮説検証の秘訣についてが分かります。
【株式会社TSUZUKURU Plus 事業部長 Minako氏】
大学卒業後TSUZUKURU Plusに入社し活躍する。
ECコンサルとしてShopifyを中心に活動し、ECだけではなく小売業界全体を目指す。
【世界へボカン株式会社 代表取締役 徳田 祐希】
日本の魅力を世界へ伝えるというミッションの元、13年以上にわたり、多国籍メンバーと共に越境EC、海外BtoBマーケティングに取り組む。
越境EC企業の年商を35億→500億、14.7倍の成長を導くなど数多くの実績を残す。
Shopifyマーケティングエキスパート。
世界へボカン株式会社 徳田祐希(以下:徳田)
こんにちは、世界へボカンの徳田です!
本日はTSUZUKURUのMinakoさんに、アパレルECのInstagramの運用、仮説検証の秘訣についてお話を伺いたいと思います。
よろしくお願いいたします。
簡単に自己紹介をお願いします!
TSUZUKURU Plus 事業部長 Minako氏(以下:Minako氏)
私たちは株式会社TSUZUKURUといいまして、アパレル業界を中心に売上まで一気通貫で支援するサービス提供させていただいております。
主にInstagram経由からの売上を作るのが非常に得意で、数多くのブランドさんをご支援させていただいております。
本日はECコンサルティングの事業部として、私がお話させていただきたいと思っております。
よろしくお願いします!
徳田
TSUZUKURUさんはインスタの運用にとても強い会社で、そこからアパレルのECのコンサルや改善をやられている会社です。
インスタを使って売上を上げたいとおっしゃっているアパレルの方は多いですよね。
Minakoさんは売上を上げるためのコンサルティングをやられていますが、皆さん共通の悩みを持たれているかと思います。どのような悩みがありますか?
Minako氏
これからお話させていただくことにもつながるのですが、私たちのところでも、自社のECサイトやInstagramがすでにあるものの売上につながっていなかったり、新規ブランド立ち上げ後なるべく早く売上につなげたいが打ち手がわからないというお客様が多くいらっしゃいます。
Minako氏
原因といたしまして、ターゲットに対して的確にアプローチしていないため集客できていないという悩みがあります。
Minako氏
今回は主に、認知から興味関心を獲得していくという部分にフォーカスしていきたいと思います。
Minako氏
まずInstagramの仮説検証の流れについて、3つのステップに分けてご説明させていただきます。
最初に「競合の良いところを真似る」。競合の良いところを分析し、自社の取り組みに活かすというのは非常に大事です。
次に「実施した投稿の分析をして、さらに強みの部分を強化していく」。ここが自分たちらしさを磨いていくステップになります。
最後が「ECサイトの連携」。InstagramからECサイトに訪れたときのイメージの乖離を減らすことが大事です。
私たちはこの3つのステップを大事にしております。
徳田
海外WEBマーケティングをやらせていただく際も、ゼロベースで考えるよりは売れているサイトの良いところを吸収するようにお客様にお伝えしています。海外のお客さんに選ばれている理由というのは、その競合の良いところであると思うので、そこを真似てみるというのはひとつの方法ですよね。
Minako氏
自分たちが良いと思っているクリエイティブが必ずしも皆さんに刺さるとは限らないので、まずは「同じ市場を押さえている競合を真似る」というのが非常に大事ではないかと弊社も考えています。
徳田
では、それぞれのステップを教えてもらっても良いですか?
Minako氏
ステップ1の「競合の良いところを真似る」についてご説明いたします。
弊社にて小柄な女性に向けたブランドのコンサルをさせていただきました。その事例に沿ってご紹介いたします。このとき、「COHINA」という小柄ブランドの走りとなる会社をベンチマークとしました。
まず表面的に見える数値であるいいね数を元に「どういったクリエイティブが伸びやすいのか」について3つのパターンを出しました。
そこから考えられる仮説といたしまして、
・具体的な身長が記載されているクリエイティブが伸びやすい
・スタイルが複数枚あるサムネイルの方が伸びやすい
・身長×〇〇コーデといったコーディネート遡及を促すものが良い
……という3つがありました。
徳田
女性も身長によって似合う服が違ってくるんですね。男性もそうなんですが、そのあたりが気になるんですね。
Minako氏
特にワンピースなど、ボトムスの丈感は重要になりやすいですね。
徳田
競合のクリエイティブを見て、いいねの定量的な数値を元にどれが良いクリエイティブなのかを判断し、「何が良いのか」という要素を抽出することが、Minakoさんは得意ということですね。
Minako氏
ただクリエイティブを真似るだけではなく、そこから導き出される仮説をきちんと検証しないと次のステップにつながっていかないので、要素を抽出するところまでを大事にしています。
Minako氏
次にステップ2のご説明をさせていただきます。実施した投稿を分析し、強みをさらに強化していきます。
実際に先ほどの仮説に基づく投稿をしたところ、4.6倍のリーチ数を出すことができました。しかし詳細をみると、すべてが良かったというわけではありませんでした。仮説1と2に関してはコンサル先のブランドさんと相性が良かったのですが、仮説3に関してはあまり反応が得られていませんでした。
徳田
同じような要素を抽出したクリエイティブを用意しても、クライアントによっては刺さる場合と刺さらない場合があるわけですね。
まず同じターゲットを設定している競合のクリエイティブを見て、次に要素を抽出し「こういう部分が鉄板なのでは」と考え、それから自分のクライアントで同様の施策をやってみて効果検証してみる……というステップがあるわけですね。
Minako氏
きちんと最後の結果まで見るというところが大事になりますね。
Minako氏
次に、良かったポイントである仮説1と2だけを抽出し、そこに自社で訴求したいポイントを掛け合わせる、というステップに移ります。
自社で訴求したいポイントの例としましては、ブランドコンセプト、ブランドのメッセージ、商品のこだわりなどがあります。
Minako氏
そうすることによって、市場の反応・受けが良いところと自社の強みが掛け合わさって、独自のコンテンツが生まれてきて、そのブランドらしさを作れるようになっていきます。
徳田
よくPOPとPOD、Point of ParityとPoint of Differenceといわれていますが、一般的にその市場で網羅しなければならない要素と自社の独自の強みを組み合わさることによって独自のコンテンツになるということですね。
Minako氏
おっしゃる通りです。
最後にステップ3ですが、先ほどギャップの質問がありましたがここで解説させていただきたいと思います。
Minako氏
InstagramでのイメージとECサイトでのトンマナを統一させることで、イメージの乖離を防いでいきます。せっかくECサイトに集客できてもそこから離脱してしまってはもったいないので、それをなくしていくのがここのステップになります。
まずここまでの段階で、ターゲット像がInstagramでの仮説検証を通して明確になっている状態です。その次に伝えたいコンセプトやキーワードなどがブランドとしてあると思うので、そのコンセプトやキーワードをより細かい要素に分解していきます。その要素に合わせたトンマナのECサイトにしていくことが重要になります。
Minako氏
実際にInstagramに合わせた変更をいたしますと、トップからバナー先への流入が一気に増加したり、トップページからの離脱・直帰率が減りECサイトに留まってもらいやすくなっています。
徳田
要は、インスタで投稿しているクリエイティブや服をトップページのファーストビューや新着商品のところに表示していないと、離脱してしまうんですよね。また、アイテムだけではなく世界観なども、やはり統一したほうが良いです。
Minako氏
具体的にどういったものがInstagramとECサイトのイメージが合致しているのかというのを、他の事例ですが持ってまいりました。
こちらのThe Label Fruitさんは、このカラフルな世界観と最初に見えるこの画像がかなりイメージとして合致していると思います。
Minako氏
こちらのみんなの銀行さんも、白と黒を基調として黄色がワンポイントのカラーになっているというところで、トンマナが統一されていて非常にわかりやすいサイトとなっております。
徳田
トンマナ統一されてますね、確かに。
Minako氏
ただインスタを伸ばすだけでなく、こうしてECサイトの離脱を減らすことまで考え、売上にしっかりつなげていくということを弊社で行なっております。
徳田
インスタですと、プロフィールやストーリーからのトップページへのリンクや、ショップタグからの商品詳細ページへの遷移が多いんでしょうか。
Minako氏
最近「Instagramでもショッピング機能の優先度が下がった」というニュースがあったように、Instagramショッピング内というよりはいったん公式サイトに流れ、そこから購買されるお客さんの方がやはり多い印象があります。
徳田
トップページに遷移させて自分たちが売り出したい商品を前面に出したり、スタイルコーデのコンテンツページを経由した商品詳細ページへの遷移がとても大事ですよね。いきなり商品詳細ページに遷移させたら買うか・買わないかという判断になってしまいます。
世界観や特徴を伝えるというステップがあったうえで、商品詳細に遷移させることを僕らも最近意識してるのですが……例えば先ほどの「小柄な子でもかわいいシルエットで着られますよ」というサイジングのような、特徴を伝えてから遷移させるということでしょうか。
Minako氏
そうですね。
まずブランドに共感していただいてファンを作ることによって、一時的な顧客ではなく長期的な顧客になっていくので、そこも弊社では大事にしているポイントですね。
徳田
それをインスタ上で表現したり、サイト上で表現していくわけですね。
徳田
お客さんで「タグ付けされない」と困っている方がいて、昔より自社のブランドをタグ付けしてインスタ投稿してくれる人が少なくなってる……とおっしゃっているのですが、わかりますか?
昔は「ここで好きなブランドを買ったよ」と、オリジナルのハッシュタグをつけて自社ECのアカウントのウォール上に投稿してくれていたりしたのですが……そういった投稿が少なくなっているという課題があるのですが、どうすれば良いのでしょうか?
Minako氏
弊社では1つの解決策として、タグ付けを増やすようなキャンペーンのご提案をさせていただいております。
オンライン上だけでなくオフラインの店舗がある場合、そちらを使って盛り上げているという事例もございます。
徳田
具体的にどのような施策なのでしょうか?
Minako氏
一例として、フォトコンテストキャンペーンのような形でキャンペーン自体を盛り上げたうえで、店舗で買っていただいたお客さんに対して「こういったキャンペーンをやっています」とお伝えしさらに盛り上げていったりしています。
また、ブランドさんによって判断は異なりますが、オフクーポン、割引施策などはかなり有用ではないかと思っております。
徳田
タグ付けをして投稿してくれたら「次回買えるクーポン渡すよ」といったオファーをしているんですね。そうするとタグを付けてくれる人が増えるということですね。
徳田
最初に流通が少ないときは、そうしたクーポンを配ったり、実店舗を使ってタグ付けしてくれる方を増やして「どんなふうに着用しているのか」というイメージを増やしていくのは、施策として良いかもしれませんね。
徳田
既存のサイトがあって、インスタアカウントがあるものの、うまくSNSを活用できていなくて……「集客や接客ができていないんだけどどうしたら良いですか?」というふうにMinakoさんに相談したら、「ここに関してはこういうふうにやった方が良いですよ」というのをアドバイスしてくれてECの運用をやってくれるというイメージでしょうか?
Minako氏
そのような流れで進めさせていただいています。
徳田
ちなみに、SNSのフォロワーを獲得するアカウントと世界観を伝えるアカウントは必ずしも一致ませんよね。フォロワーが増えやすいアカウントの運用と、世界観を伝えるアカウントってちょっと違いますよね。
その場合、D2Cのそれほど有名ではないブランドさんでしたら、世界観を伝えるアカウントだけに振ってしまうこともあるのでしょうか?
Minako氏
弊社でもそのような事例がありまして、かなりニッチなターゲットにはなっていたんですけれどもとにかく世界観を伝え続けることによって顧客を獲得した事例もあります。
ただ世界観を重視して進めていくと、市場に浮きやすい投稿だけをした場合と比べてリードタイムがかなり長くなる傾向がありますね……
徳田
SNSアカウントをそもそも知っていただくきっかけを作らなくてはなりませんし、そこは集客の起点にならないわけですからね。マネタイズするまで時間がかかるということですね。
逆に集客したいのになかなかアカウントのフォロワーが増えなかったり、リーチが増えない場合も御社がコンサルしてくれる感じなんですね。
Minako氏
そこから見させていただきます!
徳田
なるほど、わかりました。
では、アパレルでインスタもやってるものの、なかなか集客の起点としてうまく活用できていない方はMinakoさんとTSUZUKURUさんにお問い合わせいただければと思います。
本日は貴重なお話いただきありがとうございました!
Minako氏
ありがとうございました!
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