対談
Interview
この記事では、1日30分だけで海外進出をスタートさせ、成功を再現する方法についてご紹介します。
【COUXU株式会社 代表取締役 大村 晶彦氏】
Alibaba.comの日本でのマーケティングを担当。
2013年に独立しCOUXU株式会社を設立。
日本企業が海外へビジネスしやすい環境を作る。
【世界へボカン株式会社 代表取締役 徳田 祐希】
日本の魅力を世界へ伝えるというミッションの元、13年以上にわたり、多国籍メンバーと共に越境EC、海外BtoBマーケティングに取り組む。
越境EC企業の年商を35億→500億、14.7倍の成長を導くなど数多くの実績を残す。
Shopifyマーケティングエキスパート。
世界へボカン株式会社 徳田祐希(以下:徳田)
こんにちは、世界へボカンの徳田です!
本日はCOUXUの大村さんに、1日30分で海外進出をはじめて成功を再現する方法についてお話を伺いたいと思います。よろしくお願いいたします!
まずは簡単に自己紹介をお願いします。
COUXU株式会社 代表取締役 大村晶彦(以下:大村氏)
はじめまして、COUXU株式会社の大村と申します。日本企業の輸出を支援する活動をしております。2013年に設立をして今9期目です。
日本の商品を海外に輸出する場合、普通は商品を持って海外に営業していくと思いますが、僕らはバイヤーさんをビジネスの起点としています。
大村氏
日本の商品を輸出するために、まず海外の企業さんを起点にビジネスを始めて、日本からの仕入れを支援するサービスを提供しています。たとえば「シンガポールの企業が日本から化粧品を仕入れたい」、「マレーシアの企業が日本から食品を仕入れたい」という依頼をいただいたとき、その調達を成功させるためのサービスになります。
海外企業向けに仕入れのためのサービスを支援しているので、さまざまな情報が様々な国・企業から集まっており、その情報を日本の企業に提供し一緒に商品を販売しています。
大村氏
今はだいたい月間で100件〜200件ぐらい依頼をいただいており、業種分布は美容・パーソナルケアや食品、アパレル、日用雑貨がメイン、地域分布はアジア、特に東南アジアがメインです。
その情報をメールやエクセル表などでお渡しすると非常に煩雑になってしまうので……それをクラウド上に掲載し、ID・パスワードを入れていただいてログインすると、「この海外企業さんはこれを仕入れたい」といった情報を見ることができます。
大村氏
「今、マレーシアの企業さんが寿司酢を探してます」とか、「このベトナム企業さんが化粧水を探してます」といったように、バイヤーさんが何を欲しがっているかという情報を見ることができ、そこにダイレクトに提案ができる環境を日本の企業さんに提供する……という事業です。
徳田
僕らは日本企業の海外進出を支援し、彼らのリードを獲得するところから始めるのですが……御社の場合はすでに海外のバイヤーさんとコネクションがあり、その情報を日本の輸出したい企業さんに提供しているんですね。おもしろいアプローチですね!
今回は、1日30分で海外進出を成功させ、それを再現する方法について、具体的にお話を伺いたいと思います。
大村氏
日本企業の海外進出については、ここ十数年、日本市場の縮小を背景に中小企業にとって課題となっていると思います。
そもそも海外進出は「どうなることが理想なのか」「成功って何なのか」といったところが抽象的で、「100万輸出できたら成功」などと言われがちです。一方で、100万売ったところでそれほど大したことない、いわゆる事業的にはあまりインパクトがない場合もあります。海外進出をしたうえで、日本の企業さんがどうなるべきなのか、うまくいった状態とは何なのかをお話できればと思います。
成功したとは何なのかというと……僕らが成功の定義だと思っているのは「実現し、再現し、継続し、拡張できる」という状態を作ることで、これが日本の企業さんのゴールかなと思っております。まず、実現したいことが体現できると「これをやりたい」と思ったことができますよね。
大村氏
2つ目ですが、一度体現したことを再現できるというのはどういうことかご説明します。
基本的に日本の企業さんが海外進出するとき、数百万ぐらいではインパクトも旨味もなく、当然のように数千万、数億という目標設定をされると思います。しかし、1案件で1億行くことはほぼありません。取引単価でいうと500万ぐらい、化粧品や食品であれば300万~400万ぐらいです。それが徐々にリピートされ、数量が上がり、その積み上がりで1億~数億行くというのが、中小企業さんの海外進出、特にコモディティ商品であれば一般的だと思います。
大村氏
その場合、実現したことを再現できないと1億~数億も行きません。リピートオーダーをもらえなくてはならないし、また、1社だけではとても無理です。ですので「別の企業にも営業できる」、「一度やったことをまた起こせる、再びできる」という状態を作らなくては意味がないんです。そして、再現したことを継続でき、維持できると、結果的に拡張もできますよね。たとえば商品開発、人材を投下する、または現地に法人を作る、などができます。「自在に拡張できる」というのはとても大事だと思います。
大村氏
日本企業の海外進出がうまくいくというのはどういうことかというと、定量的な面も当然ありますが、実現し、再現し、継続し、拡張されるという状態を作るというのが理想かと思っています。
徳田
そもそも成功の定義を定性的・定量的に決めていないというお客様が多いんですよね。御社としてそのあたりをは定義としてお伝えしているということですね。
大村氏
そうですね。売れただけではあまり意味がないということですね。
徳田
実現するということはもちろんのこと、再現・継続・拡張しないとビジネスが広がっていきませんよね。初期投資がある中、そこがちゃんと実現できず、100万円売れて終わってしまうと困りますよね。
徳田
やはり、成功しているお客様を見ていると、積み重ねがあります。実現したことが他のエリアや企業でも再現できているということはとても重要だなと思いました。
大村氏
ありがとうございます。
実際は定量的な目標は企業さんによって違うと思うので、それが1億なのか10億なのか100億なのかというのは企業様ごとに決めていくべきだと思っています。
大村氏
ですが、状態ゴールはこれであり、実際にこの状態を作るためのやり方は2つしかないと僕らは思っています。
この状態が作られたときのバイヤーさんとの関係性、海外の企業さんとの関係性は、以下の画像のようになっています。
大村氏
日本企業の「売りたい」と海外企業の「買いたい」が合意し続けている状態だと思うんです。だからこそ実現できるし、それが続けられるからこそ再現できるし、継続できるし拡張できると思っています。
日本企業の商品を求めている国で欲しいと思われている商品を買いたい値段で、日本企業が売りたいと思っていて、ずっと合意し続けていることが大事です。
この状態を作るには、方法は2つしかありません。
大村氏
1つは日本の企業さんにとってマーケットマッチしている市場を見つけるか、もう1つはマーケットマッチをするために変化順応するか、この2つしかないと思っています。
大村氏
まず、マーケットマッチしている市場を見つけるとはどういうことかと言うと、皆さんの商品を変えずともそれがマッチしている国を見つけるということです。
大村氏
日本企業がA国・B国・C国に営業したとします。A国では「欲しい商品ではない」「スペックが違う」、C国では「買いたい値段じゃないです」と言われました。一方B国では求められている商品であり、買いたい値段であり、全部合いました。
いろんな国に対して営業し、マーケットマッチしている市場を見つけるのが、1パターン目です。
大村氏
2パターン目は、マーケットマッチをするために変化に順応する方法です。
日本企業にとっての売りたい商品が海外企業の買いたい商品ではなかったので商品を改善したり、買いたい数量ではなかったので数量を改善していくといった形で、日本の企業が海外のニーズに対して変化に順応することでマーケットマッチをします。
マーケットマッチする市場を見つけるか、マーケットマッチをするために変化に順応するか……という方法でやっている企業さんは成功を実現しているのではないかと思います。
徳田
確かに、僕らのクライアントでうまくいってる企業はこの2つの要素を含んでいると思います。
製造業の会社の支援をさせていただくことが多いのですが、クオリティ・コスト・デリバリーの中でもプロダクトの品質が現地のニーズにマッチしていて特殊品を作るというパターンと、他社では大量発注しないと受けてくれないけれど日本企業は最低発注ロットが少ないためコスト面でメリットがあって依頼されるようなパターンです。
現地のニーズにマッチしている、または現地のニーズを理解したうえでアジャストしているという面はあるなと思いました。
大村氏
どちらかでしか、日本の企業さんがうまくいっていないということではありますね。
これを成立させるために展示会をやったり、WEBマーケティングをやったり、また、先ほどお話させていただいたような我々のプラットフォームを使って営業したりと、マーケットマッチする市場を見つけるか、マーケットマッチするために変化に順応するしかありません。
先ほど会社の紹介でお話させていただいた通り、私たちはバイヤーさんが欲しい情報を月間100~200件いただき、日本企業様に営業をしていただくという活動をここ6、7年やっています。だいたい2万回ぐらい営業しました。
大村氏
2万回ぐらい営業した結果、どうすれば日本の企業さんが一番低コストで、また今日のテーマでもある「1日15分」という時間で実現できるのか、ということが僕たちの中で明らかになってきました。
大村氏
それがM2-T2という方法で、複数の国で2つのテストを行います。
マーケットマッチする市場を見つける、マーケットマッチするために変化に順応するというのは、どちらか一方ではなく両方ともできるのが一番理想だと思います。
「こういうことをやろう」と思ったときに日本の企業さんは一般的に調査をし、戦略策定をし、準備をし、実行していく、ということをやってると思うんです。
大村氏
たとえば「この商品を海外に売りたい」と思ったとき、「どこの国が良いのか」という市場調査をし、戦略策定をし、準備をしてから実行していくというプロセスになりますが、なかなかうまくいかない、もしくは時間やお金がかかるため、中小企業さんにはあまり向いていません。大企業さん等のようにリソースが一定以上あればこの方法でも良いのですが、多くの中小企業さんには向いていないと僕らは思っています。
このやり方ですと、とにかくお金がかかるんです。また、日本の企業または日本人の特性として、外国人と交流を日常的にすることが少ないため、外国人の友人がいる方はほぼいません。
大村氏
そのため情報がないことが多いです。これが日本の企業さんの海外進出に対してまず大きなハードルになっています。
そのため調査をするというのが一般的なプロセスなのですが、この情報獲得費用が日本企業は高いんです。「競合調査をしたい」、「現地の消費トレンドを調査したい」ということをやっていると、平気で数百万ほどかかってしまいます。
海外といっても240の国と地域があり、アジアといっても数十か国あるので、「どこの国で調査をするのか」などと考えているうちにお金も時間もかかってしまい、ほとんど戦略策定まで行かないということで悩まれる方が多いです。
大村氏
それに対して最近多いのがテスト実施型です。「まずテストマーケティングしましょう」「まず売り場に出してみて反応を見てみます」「サーベイを取ってみます」といった、戦略策定などを最初にせずに「1回準備してテストしてみましょう」という方法です。その結果を見て戦略策定を行い実行する、というやり方が最近増えてきていると思います。
そちらの方がコストや時間がかからないので、最低限の準備だけして、まず海外の反応を見て行く……というテスト実施型のような海外進出は良い方法なのではないか思っています。
ただし、やれる国が限られているんです。たとえばシンガポールなら売れるけど、ベトナムでしかテストできなかったり、マレーシアでしかテストできなかったり、期間についても、何かのお祭りのときの催事には出せるけど、それか常設でやっているわけではなく他の国でやってることでもないので……この時期にこの国でしかできないというような状態になりやすいです。
大村氏
M2-T2のM2はMultiple Marketsの頭文字で、複数国で一斉に、戦略策定をする前にまずテストをし、その結果をもってして戦略策定をし実行していく、という形になっています。
大村氏
調査をしてからですと時間もお金もかかるからです。
また、東南アジアといっても数十か国あるので、1ヶ国だけでテストマーケティングをやっても再現度が低くなってしまいます。そのため、準備だけして複数国で一気にやり始めるやり方が良いと思います。
そして、T2はTwo Testsの頭文字なのですが、この2つのテストとは開拓テストと進出テストです。
大村氏
開拓テストは、投資をするのか判断するためのテストです。大型の広告など、いきなり大きな投資をせずに、まず本当に投資をするべきかを判断していきます。
進出テストは、対象地域でどのように拡大させるかを判断するためのテストです。反応が良く、お客様ができたら投資をしていきましょうという考え方ですね。
大村氏
開拓テスト、進出テストを行うにあたって、調査・視察・法人営業とある中でどのように進めるのかというと、僕らは法人営業をしていきましょうと推奨しています。
大村氏
先ほどのように進出テストや開拓テストを複数国で同時に始めることはできるのですが、調査をするとなるとコストはかなり高くなってしまうんです。また、視察というのは瞬間的にしか行けないので、情報正確性が低くなってしまいます。
海外企業は何でもよく知っていらっしゃいます。化粧品を売りたいメーカーさんであれば、海外の化粧品の問屋や小売店に聞けば、何がトレンドなのかはだいたいわかります。食品や日用雑貨でも同様です。ですので、「海外の企業と話しましょう」、つまり法人営業によって2つのテストをしていくことを推奨しています。
大村氏
「複数国に対して一気に営業を始めましょう」ということです。
その地域や消費者、また卸先企業さんにとっても「売りたい」と思ってもらえる価値があるか、それが事業継続ができる条件によって売買契約が成立するか、そこに向けた流通方法や流通費用が最適か。これらが合格であれば、投資をしていきます。
投資をしたら、広告や広報について検証し、そのうえで商品開発を含めて生産、人員、リスクマネジメントなどを最適にし、事業拡大していきます。
投資を決めるためにテストを行っていき、合格だったら投資をしていく、これが先ほど申し上げた進出テストのところですね。
大村氏
売上の曲線でいうと、上記の画像のようになるかと思います。
まず複数国に対して一気に営業していき、この商品はこの地域では微妙だとわかったら無理に進めることはないんです。
大村氏
良い反応があった地域で進めていきます。そこに対して投資をしていく方が、日本の企業さんにとっては調査をする手間を省くことができ、費用や時間をかける必要がなくなります。営業しながら調査をするんです。
最低限の準備だけして複数国に対して一気に営業をしていくことで、進められる国は進める、進められない国はもう進めないと判断することができ、結果的に売上の曲線は高くなっているというのが、だいたい2万回ぐらい商談した結果わかったことです。
大村氏
ですので、この1日15分の内訳が何かというと「まず、海外の企業との営業活動を日本にいながら進めましょう」ということが一番の真意になっています。
現在、約200社さんぐらいと一緒に取り組みをさせていただいているのですが、日本の企業さん1社に対して、どの程度海外に向けた法人営業をしてるのというと、だいたい1日15分ぐらいなんです。SNSでコミュニケーションをとる場合もあり、わりと短いんです。
だいたい15~20分ぐらいをかけられている方が多いので、1日30分ぐらいとして見積もっていただくと、5日間で150分ぐらいです。このくらいで充分にこのテストを検証できるのではないかと思います。
ですので、「どこの国にしようか」と考えず、複数国に対して法人営業を開始するというのが日本の企業さんにとって一番早くて、費用も大きくかからないプロセスだと思います。
徳田
この進出テストをするときの商談先は、御社がすでにコネクションを持っているところなのでしょうか?また「海外営業をやりたいけど何からやったら良いかわからない」というときは御社のサポートを受けることができるのですよね?
大村氏
そうですね。
セカイコネクトはクラウド上に2700社ぐらいのバイヤーさんが掲載されています。そこに対して営業していただくこともできますし、「どうやって営業すれば良いの?」「営業できてないよ」といった企業さんは、我々がサポートさせていただいてます。
徳田
御社のサポートを得ながらこのテストを実施して、3年ぐらいかけて売れる国を選定していったり、そのビジネスを広げていき、先ほどの図の3年目の曲線のような成長を実現していくんですね。
最初から成功する方法はわからないからいったんいろいろ試してみて、最終的に自社にマッチしたマーケットを探したり、自社が変化して順応していき、あるべき姿を見つけていくことが重要なんですね。
アプローチがうちとは少し違うのですが、これはこれで非常におもしろいと思いました!
大村氏
リソースをかけないということを中心にしています。
徳田
確かに海外営業はリソースがかなり限られているので、どういったクライアントに時間をかけるべきかというのは考えるべきポイントですよね。
また後半の記事でも、「具体的に海外営業をどうやって進めていくか」という話を伺えればと思います。
今日の資料はとても良いので僕も勉強になりました。ありがとうございました!
大村氏
ありがとうございました!
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