対談
Interview
この記事では、海外向けのインフルエンサーマーケティングで失敗しない方法についてが分かります。
【世界へボカン株式会社 サイト改善担当 五十嵐 勇人】
海運会社、セネガルで事業立ち上げを経て入社。
伝統工芸品の越境EC売上8倍、成約率3.5倍を達成。
複数のプロジェクトで活躍中。
【世界へボカン株式会社 代表取締役 徳田 祐希】
日本の魅力を世界へ伝えるというミッションの元、13年以上にわたり、多国籍メンバーと共に越境EC、海外BtoBマーケティングに取り組む。
越境EC企業の年商を35億→500億、14.7倍の成長を導くなど数多くの実績を残す。
Shopifyマーケティングエキスパート。
世界へボカン株式会社 徳田祐希(以下:徳田)
こんにちは、世界へボカンの徳田です!
本日は海外向けのインフルエンサーマーケティングで失敗しない方法について、弊社のコンサルタントの五十嵐君とともにお話をしていきたいと思います。よろしくお願いします!
簡単に自己紹介をお願いします。
世界へボカン株式会社 五十嵐勇人(以下:五十嵐)
世界へボカンの五十嵐と申します!
コンテンツマーケティングやサイト改善施策に取り組んでおります。よろしくお願いします。
徳田
アフリカ帰りの五十嵐君からインフルエンサーマーケティングのお話を伺いたいと思うのですが、今、海外向けのインフルエンサーマーケティングの需要がとても高まっていますよね。
世の中に知られていなかったり、機能や効能がよくわかっていない商品を実際に海外のインフルエンサーさんに試してもらって、商品の魅力を伝えてもらうとき、僕らは「価値のマトリクス」というフレームワークを使っています。
インフルエンサーさんを使えばうまくいくというわけではないので、そのあたりの注意点など色々とお話してもらおうかと思うのですが、まず、どんな方をターゲットとしているのでしょうか?
五十嵐
実際に越境ECを立ち上げたものの売上が伸び悩んでいる方であったり、広告を配信したもののなかなか売上が伸びない方、そしてインフルエンサー施策に取り組みたいけれど、どういう視点で取り組んでいったら良いかわからないという方が対象になります。
徳田
海外向けにShopifyでサイトを立ち上げたけどなかなが売れなかったり、Google広告やFacebook広告を回したもののすぐには売れなかったり、送料の問題、商品の認知など、思ったより売れずに困っている方が多いですよね。
海外向けにインフルエンサー施策をすることで、なぜ売れやすくなるのでしょうか?
五十嵐
インフルエンサー施策によって、すでに買いたい気持ちを抱いた状態でWEBサイトに来てくれるので、WEBサイト上でのコンバージョン率がすごく高まるんです。
通常は、SEOや広告によってWEBサイトに集客し、レビューの掲載で不安払拭をしたり、メルマガに登録してもらって定期的に情報発信をしたりと、WEBサイト上で接客して徐々に買いたい気持ちを作ってきますが、インフルエンサー施策をすると買いたい気持ちがすでにあるので、すぐに商品を購入してもらいやすくなるというメリットがあります。
徳田
僕らが海外マーケティングを行うとき、「売れる仕組みづくり」と「買いたい気持ちづくり」の2つをマーケティングの定義としています。サイトに訪れる前の情報と訪れた後の情報を統合して、最終的にユーザーさんが欲しいと思うかどうかが重要であるという話をさせていただいています。
徳田
自分が普段見てるインフルエンサーさんが商品を紹介していたり、とても良いとおすすめしていると、サイトに訪れる前に買いたい気持ちになっていて、購買に近いユーザーが訪れるようになるというイメージですよね。
そんなインフルエンサー施策ですが、うまくいく場合とうまくいかない場合があり、僕らも両方を体験してきていますが、今回はどのようなポイントをお話いただけるのでしょうか。
五十嵐
今回は5つのポイントについてご説明させていただきます。
五十嵐
まず1つ目は、根本的なところですが、商品とインフルエンサーの視聴者の、関連性がどれだけあるか(マッチしているか)を確認することが必要です。
過去に投稿しているコンテンツなどを確認して、そのインフルエンサーがどのようなジャンルの動画を上げているのか、そして視聴者がどのような投稿に興味があるのかを調査する必要があります。
徳田
単純にチャンネル登録者数とか再生数が多ければ良いわけではなく、視聴している層とインフルエンサーとターゲットの商品が、ちゃんと連動しているかどうかを見る必要があるということですね。
僕、先日、どっこい翔平さんの動画を見ていて、案件の化粧水を売っていたのですが、ちょうど肌のケアしなくてはいけない状態だったので……とても興味を持ちました。この場合は国内のインフルエンサーさんですが、そういうのは大事ですよね。
五十嵐
またどんなにインフルエンサーと売り出す商品のマッチ度が高くても、そもそも動画を見てもらわないと意味がないんですね。そこで重要なポイントはエンゲージメント率を把握することです。案件ばかりやってるチャンネルは、コメント欄が荒れていることがあるんです。
徳田
顧客の解像度という言葉を僕らはよくお伝えしているのですが、どういった視聴者さんにお届けしたいのか、どういった顧客に対してお届けしたいのか……というところから逆算してインフルエンサーさんを見つけるにあたって、顧客の解像度が低いと、選定するインフルエンサーさんの解像度も低くなってしまいます。ここが重要になってくるということですよね。
良いインフルエンサーさんが見つかったとき、こういったポイントを見れば良いのでしょうか?
五十嵐
はい、エンゲージメント率を把握することが重要なポイントになります。
どんなにインフルエンサーと売り出す商品のマッチ度が高くても、動画の再生回数が回らないとあまり意味がありません。ですので、エンゲージメント率については、チャンネルの登録者数に対して3割くらいの再生がされているかということと、ポジティブなコメントがついているかどうかを確認する必要があります。
徳田
ボカンチャンネルは若干怪しいですが、BtoBなので、100再生でも200再生でも、意思決定者が見ていれば充分買ってくれます。
しかし消費財やtoC向けの商材だと、ある程度はチャンネル登録と再生数がないと、なかなかサイトにたどり着きませんからね。このあたりの指標を見てみると、インフルエンサーさんのエンゲージメントがどれくらい高いのかがわかります。
五十嵐
このチャンネルと登録者数を調べるには意外と時間がかかるんです。そういうときのためのtipsとして、YouTubeサブスクライバーというツールがあり、チャンネルと登録者数を一覧で見ることができます。ぜひ良かったら使ってみてください!
徳田
YouTubeサブスクライバーで検索すると、どういうチャンネルが存在するのか、また、チャンネル登録数はどれくらいなのかが出てくるんですよね。これは確かに良いですよね。
五十嵐
また、そのようにして調べた後、インフルエンサーに対して、いくら投資してどのくらい返ってくるのかという点が気になると思います。
五十嵐
こちらは単純な費用対効果の出し方で、基準となるURLのクリック率と、WEBサイト上での購入率を使用します。たとえば商品単価2万円の商品を、10万回再生されるYouTuberに依頼した場合です。URLのクリック率5%とWEBサイト上での購入率3%を掛け合わせて、だいたい300万円の売上が見込めると判断します。
徳田
なるほど。動画単体の費用対効果というのも考えるポイントではありますが、どのくらい売れるのかを考えるとき、商品単価とクリック率を見て、欲しい気持ちになった状態でWEBサイトを訪れたときのコンバージョンレートが3%であるという仮説を立て、掛け合わせると、いくら売り上げられるかを試算できるわけですね。
この場合は300万円以下のインフルエンサーさんであれば、売上ではペイできるわけですね!
五十嵐
また、売り出したい商品の輸出国が限られていたり、すでに特定の国に売り出すことが決まっているのであれば、インフルエンサーがどの国をベースとして動画配信をしているのかも見ておきたいポイントです。
徳田
お酒などはアメリカで売れなかったりしますからね。
オーストラリア、シンガポール、ヨーロッパなど、実際に輸出できる国に対して情報発信をしているインフルエンサーさんでなければ、いざサイトに来たら買えない……という状態になってしまいます。そこまで細かく見なくてはいけませんね。
五十嵐
そうですね。ターゲットに応じてエリアをチェックするという視点も持っておきたいポイントです。
徳田
まずは、どんなインフルエンサーさんを選定するかが1つ目のポイントですね。
五十嵐
2つ目は、インフルエンサーとコミュニケーションが取りやすいかどうかです。私のこれまでの実績でも、インフルエンサーの方からなかなか返信が返ってこないことがありました。
たとえば初回のメールの返信に対しては経験上8割くらい返信いただけるんのですが、金額の交渉になるにつれて返信が返ってこなくなり、最終的に動画の構成などを話し合えるのは6割くらいのインフルエンサーになってきます。
ですので、インフルエンサーをピックアップする時点で多めに調べておくことが必要です。
徳田
せっかく国や再生数やマッチ度を考えてピックアップしても、最終的に返信が来なくてプロジェクト自体がなくなってしまうこともあるわけですね。実際に10人欲しかったら、20~30人に声をかけるというように、必要な人数から逆算して、コンタクトをしていった方が良いですね。
あとは彼らが興味を持ってもらえるような伝え方も大事ですよね……。僕らはネイティブがちゃんと動いてくれてるので任せてもらえればと思いますが、このあたりも気をつけなくてはいけませんね。
五十嵐
インフルエンサーをピックアップするとき、できればポートフォリオを組んで選定した方が良いです。
同じような紹介の仕方だとどうしても商品の一面しか伝わらないんです。視聴者に商品を深く理解してもらうためには、多様なインフルエンサーを起用してより多面的な商品の説明をすることが必要になってきます。
徳田
「おいしいですよ」という話なのか、歴史を話すのか、パッケージの魅力を伝えるのか、インフルエンサーさんによってピックアップするポイントが違うので、多面的に商品の魅力を伝えるために、複数のインフルエンサーさんでポートフォリオを組んだ方が良いですよ、と僕らはお伝えしていますよね。
ジャンルのマッチ度だけではなく、再生数や流入数を取らなければならなかったり、集客のためのインフルエンサーさんなのか、接客のためのインフルエンサーさんなのか、世界観を伝えるためのインフルエンサーさんなのか、僕らもしっかり使い分けています。
五十嵐
これは重要視しているポイントです。
徳田
このあたりのポートフォリオに関しては経験が必要ですね。あんまり想像できないかと思いますが、チャンネル登録数が少なかったり、再生が少ないからといってダメだと判断するのではなく……その人が商品の魅力をちゃんと伝えてくれているのであれば、そういう人を起用して商品詳細ページに置いても良いわけです。
五十嵐
3つ目のポイントは、インフルエンサーとコンタクトをとる中で、実際にどのような動画にしていくかを話し合う必要があります。
大まかに2つの依頼方法があります。エクスクルーシブな商品紹介動画とインクルーシブな商品紹介動画です。
徳田
独占と部分的という感じでしょうか?
五十嵐
そうですね。
エクスクルーシブな商品紹介は商品単体で、商品の紹介をメインに動画を1本撮ります。
インクルーシブな商品紹介は、通常の案件動画ではない旅行など何かに取り組む動画の中で、さらっと数分だけ使って商品を登場させる紹介のやり方になります。
費用をかけて商品の深い理解を促したいというときはエクスクルーシブで詳しい説明をし、初期費用をかけられないけど、テストとしてインフルエンサーマーケティングをやってみたいというときは、インクルーシブをやってみる、といった使い分け方ができます。
徳田
インフルエンサーさんにどのように依頼をするのか、工夫が必要なんですね。
五十嵐
4つ目はインフルエンサーとの交渉の仕方です。
海外のインフルエンサーから高い依頼料金を提示されることがよくあります。そういった方に対しても、淡々と交渉したり、それでも高すぎる場合はSNSやブログ、または成果報酬型のアフィリエイト施策を提案してなるべく費用を抑えるような、商品紹介の仕方ができないかを相談することが重要です。
徳田
最近は案件の相談がたくさんありますし、円安の影響でドルで払ったときに金額が高くなってしまうんですよね。そのため、彼らが持ってるメディアキットという「この動画を作るといくらかかるか」の定価がそもそも高いです。
また、インクルーシブ、エクスクルーシブの場合に、「価格を変えられるか」という話や、「価格を変えられないならSNSの投稿」などの交渉をする必要があります。
僕らはインフルエンサーさんに交渉するときに、「アフィリエイトも併用したらそのあとも継続的に御社に収益が出るのでは?」と提案してイニシャルのフィーを落としたりしています。逆に継続的に紹介してもらえるようなきっかけを作ったりしているんです。
このあたりの交渉すべきポイントが見えていないと、単純にディスカウントしてくれという話になってしまい、「そんなに安くやりたくないよ」ということで返信が来なくなってしまいます。交渉のテーブルに持ってくるために、いろいろな交渉のカードというのを知らなくてはなりません。
徳田
どういったスケジュールで進めるか、なかなかわかりませんよね。
五十嵐
そうですね。インフルエンサー施策で1本の動画を出すためにも、いろいろ詰めていく必要がありますので、最短でも2ヶ月ですね。しっかりコンセプトを練って取り組む場合は、4ヶ月、半年とかかる場合もあります。インフルエンサー施策をやる場合はできるだけ早く取り組みを始めるべきだと思います。
徳田
僕らの場合、調査戦略立案して、どのような顧客であるのかが見えてきて、この方たちが主張しているインフルエンサーさんやYouTuberさんがどんな人かを紐づけて、そのあとサイト作ったりするしますよね。
2ヶ月、3ヶ月かけてサイトを作っている間にもうインフルエンサー施策は進めてしまい、サイトのローンチのタイミングで、インフルエンサーさんに商品を紹介してもらえるように事前に手を打っていくようにしています。
サイトをローンチしてからインフルエンサー施策をやると、そのあとの3ヶ月後か半年後にようやく紹介してくれるような状態になってしまいます。すると、ローンチのタイミングで全然流入がきませんよね。
そのあたりはスケジュールを組んで調査から始めたときに、制作のローンチのタイミングと合わせて、インフルエンサーさんも公開させるようにするとうまくいきます。この逆算した取り組み方が重要かと思います。
五十嵐
5つ目は一番重要なポイントなのですが、インフルエンサー施策を最大限効果的にするために、受け皿となるページとの関連性を持たせることが重要です。
ある程度予算をかけるのであれば、やはりWEBサイトの最適化をしなくてはなりません。動画で紹介した商品の訴求文と、WEBサイト上で紹介する商品の訴求文がちゃんと合っているかが重要です。
買いたい気持ちをもってWEBサイトにたどり着いたのに、WEBサイトが良くなかったり、違うページに遷移してしまったりすると、離脱してしまいます。インフルエンサーが紹介している内容と、WEBサイトで紹介する内容を一致させる必要があります。
徳田
あとは、サイト内に動画を掲載するなど、接客にも使うような形もいいですね。
インフルエンサーさんが紹介している世界観とサイト上の世界観を連動させないと、ユーザーが来ても違和感があって離脱してしまうので……このあたりの配慮や、どのランディングページに遷移させるかを意識する必要がありますね。
五十嵐
そうですね。
徳田
インフルエンサー施策で押さえるべき5つのポイントを挙げていただきましたが、押さえるべきポイントというのはたくさんあります。「インフルエンサーさんにお願いすればうまくいく」というわけではなく、100万や200万とお金をかけても全然うまくいかないこともあるんです。このあたりをしっかり意識してやってもらえればと思いますし、もし自分たちでやってるけどうまくいかない場合、我々にお任せいただければなと思います。
本日はありがとうございました!
五十嵐
ありがとうございました!
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