対談
【メールマーケティングの秘訣】顧客の解像度を上げるeRFMとは?| Dotdigital Japan上崎氏 × 世界へボカン徳田
- 2023.06.01
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対談動画
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この記事では、メールマーケティングの秘訣についてご紹介します。
【Dotdigital Japan カントリーマネージャー 上崎理会子氏】
Shopifyが日本進出した際の立ち上げメンバーを経て、MAツールDotdigitalのカントリーマネージャーに就任。【世界へボカン株式会社 代表取締役 徳田 祐希】
日本の魅力を世界へ伝えるというミッションの元、13年以上にわたり、多国籍メンバーと共に越境EC、海外BtoBマーケティングに取り組む。
越境EC企業の年商を35億→500億、14.7倍の成長を導くなど数多くの実績を残す。
Shopifyマーケティングエキスパート。
上崎 理会子氏の自己紹介
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世界へボカン株式会社 徳田祐希(以下:徳田)
こんにちは、世界へボカンの徳田です!
本日はdotdigitalの上崎さんに、皆さんが知っているようで知らないメールマーケティングの秘訣についてお話を伺いたいと思います。
よろしくお願いいたします!簡単に自己紹介をお願いします。
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Dotdigital Japan カントリーマネージャー 上崎理会子氏(以下:上崎氏)
上崎と申します。
以前はShopifyにおりましたが、今はdotdigitalというMAツールを提供している会社にてカントリーマネージャーをさせていただいております。よろしくお願いします。
徳田さんのチャンネルには以前にも何度か出させていただきました。
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徳田
いつもありがとうございます。
dotdigitalさんではMAツールを提供されていらっしゃいますが、今日はメールマーケティングの秘訣について伺いたいと思います。どのような内容になるのでしょうか?
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上崎氏
今日は「皆様が知っているようで知らないこと」ということで、いろんな事業者様の事例やご利用方法についてお話させていただきます。
ここ数か月間、メルマガ配信の方法についてモニタリングしましたところ、日本では全顧客に対して一斉配信をしてしまう配信方法がやはり主流でした。この方法は勢いは大変素晴らしいのですが、実は配信のリスクがありますし、メルマガ解除が増えてしまうというリスクも伴っています。
そこで今日は、お客様が実店舗に行ったときの購買体験や店舗スタッフとのやりとりをどのようにMAに落とし込んでいくかというところに注力してお話させていただければと思っています。
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MA(マーケティングオートメーション)について
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徳田
上の図は、メールマーケティングをお客様のサイクルとして考え、リード獲得から離脱顧客のフォローまでのプロセスを表しているのでしょうか。
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上崎氏
おっしゃる通りです。
お客様はずっとVIPのお客様でいてくださるわけではなく、動きがあるので、このライフサイクルを円を描くように回っています。そのため、タイミングによっては、よく似たような内容のメールが送られてしまうこともあります。
実店舗に行くとスタッフさんと「ようこそいらっしゃいました」「お元気にされていましたか」といったやりとりが発生するものですが、久しぶりに店舗に行っていつもと違う担当者さんに接客されると、「ご無沙汰しております」ではなく「ようこそ」という対応になりますよね。こちらのMAのマップも、実店舗でのやりとりを落とし込むとこういう見え方になってくるのではないか、という形で作成しております。
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徳田
メールのアイコンがついている箇所が、お客様にメールを配信するタイミングということでしょうか?
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上崎氏
そうです。お客様とタッチポイントを持っていただけるタイミングになっております。
図の紺色の箇所は、ようこそ・かご落ち・ウィッシュリスト・在庫再入荷通知・お誕生日・購入後メールなど、日本の事業者様も多く設定されていらっしゃるキャンペーン内容かと思います。一方、グレーの箇所については、まだ設定されていらっしゃらないことが多い印象を受けております。
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徳田
これは知っているようで知らない部分ですね。
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上崎氏
そうかもしれませんね。紺色の箇所はもうすでにされているのでOK、星をつけているところは絶対にやっていただきたい、星がついていないグレー箇所はご検討いただければ、という内容になっております。
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徳田
なるほど。各ステップで、自分たちができていない部分に対してメールマーケティング対応をすると売上が上がる可能性がありますね。カゴ落ちはやっているけどカート落ちはやっていなかったり、クロスセル・アップセル、レビューの依頼のメールなど、優先順位が高いけれどやっていないものがあればやっておいた方が良いですよね。
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上崎氏
ABテスト等で検証していただいても良いのですが、お客様の反応を知るためにもやって損はないと思います。
先ほど実店舗の体験について説明させていただきましたが、徳田さんが実店舗で接客がとても良かったというご経験は直近でございましたか?
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徳田
最近よくコーヒー屋さんに行くのですが、「徳田さんはエチオピアが好きですよね」といった感じで、僕の好きなコーヒーの味を覚えてくれてる店員さんがいるんです。あるとき、エチオピアがなかったので、エチオピア以外であればこれもおすすめですよという感じで似たようなコーヒーをおすすめしてくれました。
また、帰るときに「いってらっしゃい」と言ってくださります。結構有名なコーヒー屋さんなのに常連感があって、とても嬉しかったです。
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上崎氏
ありがとうございます。素晴らしいお店ですね!
ご説明いただいた顧客体験をMAに置き換えますと、まずエチオピアのコーヒーをよく買っているというのを店舗スタッフさんがご存じというのは、徳田さんの購買データを完全に把握されているということなんですよね。
他にも、例えば「エチオピアのコーヒーお好きですよね、他にもこういう商品はいかがですか?」といったおすすめをされたことはありますか?
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徳田
ありました!エチオピアのコーヒーに合う商品をすすめられたり、あと、「チーズケーキとても人気ですよ」と言われて、買っちゃいました。
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上崎氏
買っちゃいますよね、コーヒーに合いますものね!
今のお話をMAに置き換えると、まず店舗のスタッフさんが徳田さんはエチオピアのコーヒーをよく購入されるという購買データを把握されていて、さらに、そのコーヒーに合うチーズケーキや類似商品のケニアのコーヒーをすすめてアップセル・クロスセルにつなげています。データに基づき、徳田さんのためにパーソナライズされたコンテンツを用意してくださったということになるんですよね。
なぜそれができたかというと、購買データだけではなく、店舗スタッフさんとの「こういうコーヒーありますか?」といったやりとりから、エンゲージメントデータを理解されていたんです。やりとりがエンゲージメントになるんですよね。MAで置き換えると、商品ページをどれくらい閲覧したか、メールを開封したか、リンクをクリックしたか、といったところがエンゲージメントデータとなってきます。
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RFM(Recency、Frequency、Monetary)データについて
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上崎氏
どれくらい購入されているかという購買データは、MA用語でいうとRFM(Recency:直近で、Frequency:どれくらい頻繁に、Monetary:いくら使ったか)という用語になります。店舗のスタッフさんはエンゲージメントとRFMデータを掛け合わせ、徳田さんというプロフィールを完全に理解されていたというわけです。だから、徳田さんが好きそうなケニアのコーヒーやチーズケーキをクロスセル・アップセルすることができたということになります。
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徳田
確かに、お昼食べた後に眠くなってしまうからコーヒーを買ってるんですよ。購買データに加え、何時に買いにきているか、どういうふうに使っているか、あと「どの辺りにに住んでるんですか?」と聞かれたことがあります。そこから、「おやつにチーズケーキでもいかがですか?」という感じでクロスセルされていましたが、嫌な感じはしませんでした。クロスセルというといかにもマーケティングという感じがしますが、チーズケーキおすすめしてくれてうれしいな、ぐらいな感覚でしたね。
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上崎氏
店舗のスタッフさんにおすすめされても嫌な気持ちにならなず、むしろ自分のことをよく知ってもらっている、ありがたいなと思うのは、やはり店舗のスタッフさんが徳田さんという人を理解していて、徳田さんに合ったコンテンツを提供したというのが大きかったと思うんですよね。
ちなみに、徳田さんの嫌いなものってなんですか?
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徳田
コーヒーでも味が全然違うものを提案されてしまうと、ちょっと嫌かなと思いますね。
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上崎氏
そうですよね。このようなとき、「これだけ頻繁に来てるのに自分のことをあまり理解されてないのかな、大事にされてないのかな、じゃあ他のところ行ってみようかな」となってしまうのは、おそらく人間の心理なんですよね。
MAもまったく同じです。お客様のeRFMのエンゲージメントと購買データはトラッキングすることができます。それをもとに、お客様に合ったコンテンツをお客様がメールを開封する時間に送って差し上げることで、「自分のことをよく理解してくれている、大事に思ってくれてる」と感じていただくことができます。その心理が働くか働かないかで、ロイヤルカスタマーになるかならないかが大きく左右されるんですね。
ロイヤルカスタマーになっていただくと、それだけ購入してくださいますし、エンゲージメントも取ってくださります。買いたい・サイトに戻りたいと思わせるようなコンテンツをお客様に合った配信時間で送らないと、メルマガ解除につながるなど、お客様が離脱したり休眠顧客になってしまう原因になるんですよね。
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徳田
なるほど。僕らはメルマガの配信のサポート・支援・コンサルティングを行っていますが、そもそも、RFMデータを取得し、顧客を細分化してメールを配信するということをやってるお客さんはほとんどいないんですよ。さらにERFやエンゲージメントデータまで取得したり、見込み客も含めたデータを取得してセグメント分けるとなると、とても大変ですよね?
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上崎氏
通常だととても大変です。
dotdigitalの強みは、eRFMデータをそっくりそのままご用意していることです。
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dotdigitalのご紹介
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上崎氏
さらに、eRFMデータを基としたお客様のセグメントをご用意しております。
例えば、エンゲージメントは高いけれどもあんまり購入していないお客様、たくさん買ってくれてるけれどもあんまりエンゲージを取ってくれていないお客様、また、これから買うのではないかという高いポテンシャルを持っていらっしゃるお客様といったセグメントです。
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上崎氏
通常、そこまで計算するのは非常に大変なんですけれども、そのeRFM、弊社ではオポチュニティのデータ(機会のデータ)と呼んでいますが、そのデータをベースとしてMAを回していただくと、コンバージョンが自然と上がっていくようになっております。
1年前に利用開始したお客様も非常に伸びております。月額ベースで言うと2、3倍の金額を弊社にお支払いになってるお客様がほとんどなんです。月額が上がるということは、アクティブのお客様が増えているという証拠になるんです。
MAを回すにあたり、コンバージョンや売上がどれくらいあるのかをしっかり追っていくべきではありますが、ROIを測るのは非常に大変な作業です。しかし弊社を使っていただくと、アカウントマネージャーがそのあたりの数字をしっかり洗い出し、レポーティングのサポートまでさせていただきます。
eRFMデータのセグメントをもとにして、実店舗でのやりとりをMAに落とし込み、そのサイクルを回していただきます。費用対効果を見ていく中で「このキャンペーンをもっと強化していきましょう」「このキャンペーンはABテストしてみましょう」といったご提案もさせていただきながら、企業様と伴走しております。
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徳田
とても良いですね!
例えば、よく買ってくれてるけどエンゲージメントが低いとか、エンゲージメントが高いけどまだ買ってくれてない人っていますよね。御社では、それぞれのセグメントごとにメール配信やコンテンツのノウハウがあるんですね。
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上崎氏
あります。
また、MAはマーケティングオートメーション、つまり自動化なので、例えばエンゲージメントが高いけれどもあんまり購入してくださっていない方に特化したシナリオ設定をすることによって、そのお客様に対する対策としてのメールを自動的に配信することができるんです。お客様に合ったコンテンツがお客様が開封される時間に自動で配信されるので、手放し状態でコンバージョンが上がっていきます。コンバージョンが上がるということは、売上につながる上にロイヤルカスタマーが増えていくので、良いことづくしです。
dotdigitalを使うにしろ使わないにしろ、MAをやっていただかない手はないかなと思っております。
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徳田
なるほど。
まずメルマガについては、MAを顧客のライフサイクルに沿って回す中で、図の紺色の箇所はメール配信を設定しているもののグレーのところはやっていない方が多いので、特に星がついている箇所はやった方が良い、というお話でした。
また、みんな知っているようで知らないeRFMデータというものがあり、このデータをもとにセグメントを作って勝ちパターンを見つけ、かつ自動化することによって売上がどんどん上がっていく、ということでした。これはつまり、広告を配信して集客していれば、バックグラウンドで顧客のエンゲージメントデータや購買データを分析し、クロスセルやアップセルをするような仕組みになっていく、ということですね。
すごいですね!dotditigtalさんに相談したら、今の自社の状態からどのようにやっていけば良いのかアドバイスをいただけるのでしょうか。
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上崎氏
それを導入前にある程度洗い出し、導入時にはもう滑り出して配信できるような形になるようにしていきます。
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徳田
配信リストがある程度たくさんある方にお勧めなのでしょうか?
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上崎氏
そうですね。基本的には5000件以上ぐらいの方にご利用いただくとよろしいかなと思っております。ある程度顧客リストがないと、MAを回しても費用対効果の検証が難しくなってしまうんです。目安としては5000件とさせていただいております。
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徳田
なるほど。わかりました。
本日は貴重なお話いただきありがとうございました!
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上崎氏
ありがとうございました!
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