対談
Interview
この記事では、海外向けSEOの陥りがちな罠についてご紹介します。
【世界へボカン株式会社 SEOコンサルタント 駒村 侃直】
カナダのWebマーケティング会社で、SEO、コンテンツ制作の業務を担当。
日本の商品を海外に届けるため、複数のプロジェクトにて活躍中。
【世界へボカン株式会社 代表取締役 徳田 祐希】
日本の魅力を世界へ伝えるというミッションの元、13年以上にわたり、多国籍メンバーと共に越境EC、海外BtoBマーケティングに取り組む。
越境EC企業の年商を35億→500億、14.7倍の成長を導くなど数多くの実績を残す。
Shopifyマーケティングエキスパート。
世界へボカン株式会社 徳田祐希(以下:徳田)
こんにちは、世界へボカンの徳田です!
本日は海外向けSEOの陥りがちな罠というお題で弊社のSEOスペシャリストのKanchi君とお話をしていきたいと思います。よろしくお願いします!
まずは簡単に自己紹介をお願いします。
世界へボカン株式会社 SEOコンサルタント 駒村侃直(以下:Kanchi)
愛媛県出身のKanchiと申します。
カナダのWEBマーケティング会社でSEO担当としてソリューションを提供しておりました。日本の文化や商品の良さを海外に伝えたいという思いから、帰国後ボカンにジョインしました。
徳田
海外向けSEOをやってる方は少ないのですが、僕らの元にはSEOをやりたいというご相談が多く届いており、サーチコンソールを見せていただく機会が多々あります。いろいろと見てきた経験から、陥りがちな罠やポイントについてお話していければと思います。
どんな課題や罠があるのでしょうか?
Kanchi
今回は低品質コンテンツについてお話させていただきます。
徳田
そもそもSEOとは何で、低品質コンテンツとはどのようなものでしょうか?
Kanchi
SEOとは、
・検索ユーザーが求める有益なコンテンツを提供する
・検索エンジンがページ内容を正確に理解・評価するようWebページを最適化する
という施策です。
これとは反対に、ユーザーにとって有益ではなく検索エンジンに評価されない、SEOにおいてネガティブな影響を与えるものは低品質コンテンツとみなされます。
徳田
自分のサイトのコンテンツが低品質かどうかというのは、どうやって見分けていくのでしょうか?
Kanchi
見極めるポイントについて、今回は4つご案内いたします。
Kanchi
ユーザーが求めている情報がページ上に掲載されていないと、低品質コンテンツやエラーページとして評価されることがあります。
一例として、多言語アプリであるLangshopやLangifyが大量にページを生成しまうと、ドメイン単位でサイトの評価が下がる可能性があります。サイトをよく確認すると、左の図のように日本語サイトから英語・スペイン語・フランス語・中国語・ロシア語と、多くのページが生成されていることがあるんです。
徳田
LangifyやLangshopが悪いのではなく、LangifyやLangshopをコントロールできていないために複数の言語を大量に生成しているサイトが多く見受けられるということですね。
今、Googleは骨太のサイトを高く評価しており、ユーザーの意図に対してしっかりコンテンツを返しているサイトが求められています。似たようなページが大量にあると、検索エンジンから見たら「同じようなページが生成されている」と判断され、低品質コンテンツとしてみなされる可能性が高いということですね。
Kanchi
そうですね。キーワードやコンテンツを賄うために大量のページを生成してしまうことがよくありますが、実際には独自性や権威性を持ったページを持つWEBサイトが上位表示される傾向があります。
徳田
それでは、4つのポイントを具体的に教えてもらってもよろしいでしょうか?
Kanchi
ポイント1.クロール後コンテンツがインデックスされているかどうかの確認
クロールは検索エンジンによる認知、インデックスは登録という意味です。
サーチコンソール上で見ると、こういった形で表示されます。
Kanchi
こちらは拡大した図になります。上の緑色の部分が検索エンジンに登録されているページ、下のグレーの部分が登録されていないページです。登録されていないページは、Googleから低品質コンテンツと見なされています。こういったコンテンツはサイト全体の評価を下げる原因になるので、一刻も早く対処が必要になります。
徳田
Googleサーチコンソールという、検索エンジンがどういうふうにサイトを見ているかを確認するツールがあり、そこに入ってPagesという項目を見たところ、検索エンジンに認識されてるページが9000ページぐらいあるにもかかわらず、登録されているページは1500ページしかなかったわけですね。残りの7500ページは、認知はされているものの登録する必要がないと判断されている、つまり低品質コンテンツということです。
多言語ページなどを大量に生成するとそのようにみなされる可能性があるため、チェックが必要なんですね。
Kanchi
そうですね。コンテンツ自体は9000ほどあるけれど実際には中身がスカスカという状態です。
徳田
Shopifyのサイトでこのような状況になっていることは結構多いですよね。
これもShopifyが悪いのではなく、ちゃんとコントロールできていないことが問題です。たくさんのページを生成すれば複数の検索クエリ・キーワードでリードを獲得できるのではないかとチャレンジする方は多いかと思いますが、ちょっと注意が必要ですね。
2つ目はどのようなポイントでしょうか?
Kanchi
ポイント2.インデックスされているものの評価が低くなっていないかの確認
評価が低くなる原因は以下の通りです。
(1)検索クエリを拾っておらず、クリック数・プレッション数がほぼゼロに近いため
この場合はページの削除や新規コンテンツの作成がベストではないかと考えております。
(2)検索流入を獲得しているもののエンゲージメントが低いため
この場合はまだ改善の余地がありますので、検索意図に合わせたページの改善が必要になります。
徳田
(1)に関しては、そもそもSEOはアクセスを獲得するためにやるわけですが、ECサイトの場合、アクセスを獲得するだけでなく、購買や会員登録など何かしらゴールを達成しないと意味がありません。多言語のページをたくさん用意して検索エンジンにインデックスされてもクリックやインプレッションが全然ない状態では評価されないので意味がないですよね。
Kanchi
こういったコンテンツは消してしまう方が得策と言えますね。
徳田
(2)に関しては、検索意図に沿ったコンテンツはあるものの内容が十分ではないことが問題です。滞在時間が短かったり直帰してしまったりして、目的を達成できていません。検索意図をしっかり把握しながらページを改修する必要があります。
僕らは今、実際に、ページの改修やリライトのプロジェクトをやっていますが、コンテンツを付け足したり見やすくしたり、CTA(Call To Action、行動喚起)が不自然なところを改善するなどした結果、エンゲージメントが上がったり、サーチコンソールのデータが改善されたりしていますよね。
Kanchi
ちょっとした工夫で良くも悪くもかなり影響が出るので、そういった改善は一度試していただきたいです。
徳田
どう改善されたかも、また今度話ができると良いですね。
3つ目のポイントはどのようなものでしょうか。
Kanchi
ポイント3.サーチコンソール上でカノニカルタグの確認
サーチコンソールは上の画像のような形で見ることができます。
こちらは意図的にインデックスさせていないページですので、Googleが制御を正確に理解していることがわかります。よって、特に対応する必要はありません
徳田
カノニカルタグを使って重複URLを正規化する、つまり、検索エンジンに「このページはクロールしないで」「インデックスしないで」と指示しているのであれば、制御ができていることが確認できるので、これは問題ありませんね。
先ほどのPagesでサーチコンソールのデータを見て、Reasonという項目で原因を確認すると、内容によって対処が必要なのか否かを見極めることができますね。
Kanchi
そうですね。こちらの画面を見ていただくと、対処が必要かそうでないか見極めることができます。
徳田
なるほど。カノニカルのときは対処が必要ないことがわかりました。
4つ目はいかがでしょうか。
Kanchi
ポイント4.ソフト404エラーの確認
上の図の左側をご覧ください。サーチコンソール上ではこのように形で表示されます。
ソフト404とは、クローラーがサイトを回遊した後にコンテンツがないことを伝えるコードです。有益なコンテンツを含まないページであるために表示されているので、ページを削除するか、クロールが必要ないことを検索エンジンに伝えるために404コードを返すよう設定します。
徳田
もともと存在していたページが消えてしまったりするとソフト404が出てしまうため、空のページが存在してるのであれば404コードを返すようにしなくてはならないんですね。
このあたりはちゃんと確認しないとわかりませんし、話を聞いても「どうやってじゃあ404コードを返すんだろう」といった疑問も出てくると思うので、SEOのコンサルタントの方々や社内のエンジニアの方に確認していただくと良いのではないかと思います。
今回、見極めるポイントを4つ教えていただきましたが、例に挙げたような状態になっているサイトは多いですよね。
Kanchi
そうですね。クライアント様の事例でもこういったものをかなり見てきました。同じような状況のお客様がまだまだたくさんいらっしゃるのではないかと思います。
徳田
良かれと思って多言語ページをたくさん作って、SEOを伸ばしたいので見てくださいと相談をいただくことがありますが、確認すると、ブログコンテンツや商品詳細ページなどが中国語やスペイン語など多言語で大量に生成されていて、こういった状況になっていることがありますよね。
Kanchi
そうですね。ここからは、クライアント様の事例についてご紹介させていただきます。
これはShopifyサイトでよくあるケースになります。
こちらがShopifyの管理画面を再現したものです。左のページタブをクリックし、検索枠のところに、たとえばES(スペイン語)と打ち込むと、このようにスペイン語のページが表示されます。しかしこちらのクライアント様は多言語ページが生成されている状況を把握をできていませんでした。
徳田
意図的に生成しているのであれば良いのですが、LangshopやLangifyを使うときにうっかりいろんな言語にチェックを入れてしまったのか、意図せずにたくさんの言語でページが作られていたんですね。
本来評価させるべきページが評価されていなかったり、また、自動翻訳ができる対象はテキストだけなので、画像が多いサイトだとその他の部分が重複してしまい低品質とみなされることもあります。自分たちがどの言語のページを作っているのかをちゃんとアプリで確認することが大事です。基本的には日本語をベースに英語からスタートし、お客様の対応ができる言語に関しては徐々に生成していくと良いと思います。サーチコンソールのデータを確認しながら進めていけると良いですね。
Kanchi
そうですね、ここの部分は継続してチェックしていただきたいですね。
Kanchi
低品質コンテンツを増やさないためには、
1.ターゲットエリア言語を絞る
2.SEO担当者による継続的なチェック
3.ストック型コンテンツとフロー型コンテンツに分ける
という3つのポイントがございます。
3.についてはですが、ストック型というのはトレンドに左右されないもの、例えば健康維持の方法や専門用語の解説などであり、フロー型というのはトレンド重視のもの、例えばファッション関連や最新ツールの解説などです。フロー型コンテンツにはSNS、Instagram、Twitter、Facebookなどが適していると言えます。
徳田
1.は、そもそもLangifyとかLangshopとか多言語のアプリを使うときは言語を絞った方が良いということですね。
2.については、ECを運営されてる会社さんは少人数でやられているのでSEO担当者さんがいないかもしれませんが、先ほどのサーチコンソールなどをしっかりチェックして自分たちが生成した多言語のページがどのように認識されてるのかを確認しなくてはならないということですね。
3.ですが、ユーザーが継続的に何度も見て確認するようなストック型コンテンツではなく、トレンドの内容を扱うようなフロー型コンテンツであるなら、SNSで発信したほうが拡散性も高いし新しいし、記事をどんどん生成してもすぐに見られなくなってしまうこともあります。するとインデックスされているけれどクリックなし・インプレッションなしという状況になってしまうので、適宜確認しながら削除するかどうかを検討したほうが良いですね。
そして、見極めるためのポイント4つをしっかりチェックしていただき、自社のサイトを健康にしていってもらえたらと思います。僕らも今、大量に生成されたブログのサイトを改善させていただいており、ページ削除やコンテンツ改善などを通じて徐々にサイト全体の健康状態が良くなっているのが手に取るようにわかります。
たくさんのページやコンテンツがあるもののどこからコントロールしたら良いかわからなかったり、何をすれば良いかがわからなければ、ぜひ我々に相談いただければと思います。
今日の資料をホワイトペーパーとしてダウンロードできるように概要欄にリンク入れさせていただきましたので、見返したり資料として見たいという方はチェックしてもらえればと思います。
本日はありがとうございました!
Kanchi
ありがとうございました!
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