対談
Interview
この記事では、SNSマーケティング7つの鉄則についてご紹介します。
【GiftX,inc 代表取締役 いいたかゆうた氏】
「ひとの温かみを宿した進化を。」をテーマに、2023年にGiftXを共同創業し、新しい価値を提供。
選び直せるソーシャルギフトGIFTFULを運営。
【世界へボカン株式会社 代表取締役 徳田 祐希】
日本の魅力を世界へ伝えるというミッションの元、13年以上にわたり、多国籍メンバーと共に越境EC、海外BtoBマーケティングに取り組む。
越境EC企業の年商を35億→500億、14.7倍の成長を導くなど数多くの実績を残す。
Shopifyマーケティングエキスパート。
世界へボカン株式会社 徳田祐希(以下:徳田)
こんにちは、世界へボカンの徳田です!
本日もGiftXの飯高さんに、SNSマーケティング7つの鉄則の後半についてお話を伺いたいと思います。
前回、言及在庫メソッドについて、商品の特性などによってUGCが生まれやすい場合と生まれにくい場合があるという話をさせていただきました。書籍の中には他にも「インフルエンサーはフォロワー数で選ばない」などいろんな鉄則が挙げられているのですが、全部お話いただくわけにいかないので、ピックアップして解説いただければと思います。
早速ですが、鉄則5 インフルエンサーをフォロワー数で選ばないというのが非常に気になったのですが……これってどういうことなのでしょうか?
GiftX,inc 代表取締役 いいたかゆうた氏(以下:いいたか氏)
ありがとうございます。
インフルエンサーについてはいろんなところで語られていて、いろんな考え方があると思いますが、ホットリンクにいるときからずっと言っているのは、インフルエンサーというのは別に「フォロワー数が多い人」ではない、ということです。
日本ではやはり順番が丁寧に進みすぎているんですよ。新聞が生まれ、ラジオが生まれ、テレビが生まれて、といった流れや、ガラケーがあり、スマホが登場し、SNSが誕生して、という流れがあったり、交通機関でも切符からSuicaに変わったりと、デジタルに変わっていくものがたくさんありました。
これらを振り返ると、インフルエンサーの定義が「数」になってしまった理由がわかります。昔は新聞の一面広告が一番高かったですが、テレビが出てきたら一番視聴されている枠が一番高くなり、インターネットが登場したらYahoo!のブランドパネルが一番高くなりました。視聴数に基づいた値付けだったんです。
ですので、SNSが登場したときも、インフルエンサーというのは視聴される人数が多い人という概念になり、フォロワー数が基準になってしまいました。しかし、いち消費者として考えると、フォロワー数が多い方が、いつもは飲食の発信をしているのに急にキャンプの話を始めたりすると、「これってPRだよな」とわかってしまいます。「この人、別にキャンプに詳しくないよね」というのはユーザーにわかってしまうんです。
中国ですとKOLという文化があり、有名なインフルエンサーではなくても、たとえばコスメならコスメに対してすごく研究して発信している人から物が販売されるということが日常的に行われています。
いいたか氏
日本も遅かれ早かれそういう時代になると思います。
企業がインフルエンサーマーケティングをするときのキャスティングも、フォロワー数やエンゲージメント率が書いてあるリストがバッと出てきて、なんとなく良さそうな方に決まってしまうんですよね。しかし、その方の投稿を見て、たとえばヘアケア製品であれば、ヘアケアに関してどれだけ言及をしているのかを確認してからキャスティングすることがとても重要です。
書籍ではソーセージブランドのジョンソンビルさんを例に挙げています。
いいたか氏
キャンプに詳しいリロ氏というアカウントがあって、今でこそYoutubeも多くのユーザーがいるのですが、当時はまだフォロワー数が1万くらいだったかと思います。ですが、もともとジョンソンビルのことを言及しており、キャンプグッズについてたくさん説明しているし、料理もとても詳しいし……ということで、インフルエンサーといて活用していこうということになりました。
いいたか氏
リロ氏とコミュニケーションをとり、世界観を崩さないようなコンテンツを発信したところ、いろんなコラボ企画の中でも、ホットサンドメーカーとのコラボではUGCが大きく伸びて、商品が売り切れてしまう現象が起きました。
やはり、インフルエンサーとマッチした企画であるということは大前提なのだと思います。
いいたか氏
マーケティングは、自社が保有するオウンドメディア・広告の場所として使うペイドメディア・口コミなどPRの観点のアーンドメディアの3つに分解されると言われています。こうして分解したときに、どういった考え方ができるかというのもポイントかと思います。
オウンドメディアの場合、今はいろんな会社さんで社員アカウントが出てきています。
いいたか氏
社員アカウントというのは自社が保有する場所になるので、これは社員インフルエンサーと考え、オウンドメディアの役割を担います。公式アカウントも同様で、担当の方がSNS上にいることで、その会社を想起してもらうのが狙いです。
アーンドメディアですが、これはUGCをコントロールできません。口コミはお願いしてもなかなか書いてもらえないものですから、どのようにして口コミを発生されるのかがアーンドメディアの役割になります。
いいたか氏
これは自然発生することが理想で、読んだ方が「自分もこれやってみたい」と自分事にできることが重要です。また、すごく叩かれている商品を良いを思ってもなかなか言えないという心理が働くため、元々良い口コミが出ていないと書きづらく感じます。誰かからの推奨、たとえば髪型のことであれば美容師さんの言葉は絶大ですから、こういったものもブランドメディアとして重要になってきています。
ペイドメディアはまさに案件のようなもので、外部のインフルエンサーさんをどう活用するか、広告としてどのように施策を考えようか、といったところをミックスして考えます。
インフルエンサーひとつとっても、オウンド・アーンド・ペイドそれぞれで役割が発生するということを大前提として考えていただくと、より解像度を上げることができるのではないでしょうか。
徳田
なるほど!
ジョンソンビルさんの例からわかるように、インフルエンサーさんは数で選ぶのではなく、プロダクトや、彼らが抱えているフォロワーと自社の商品とのマッチ度を見ていかないといけないんですね。
そもそも、インフルエンサーさんの活用については、オウンド・アーンド・ペイドという視点から、どこでインフルエンサーさんにお願いするのか、社員のインフルエンサーさんに発信してもらうのか、ペイドで案件として発信していただくのか、考える必要があります。そして、UGCが生まれればインフルエンサーさんが勝手に口コミしてくれるということですね。
いいたか氏
そうですね。
徳田
そのあたりの使い分けができず、ただただ数やエンゲージメント率などの数字に騙されてしまっているケースが多いので、注意が必要なんですね。
いいたか氏
そうですね。
もちろん、インフルエンサーさんについて調べるのはとても労力がかかります。しかし、最近ではフォロワー数が2000ぐらいですと少なく感じますが、その程度のフォロワー数の方でも、よく調べてみるとある分野に非常に詳しい人であったり、将来的に伸びるであろう人に目星をつけることができますよね。その方にマッチした案件を一緒にやることによって、その方のフォロワー数も伸びていくんですよ。さきほどのリロ氏もそうですよね。
これは一番理想的な状態ですから、そういった方の発掘を考えても、今だけの数値にとらわれすぎると危険を犯してしまうというのはありますね。
徳田
確かに。
アメリカのインフルエンサーさんって、フォロワーが少ないのにすごく強気の価格設定をしてくるんですよ。何か深い意味があるのかな、と逆に考えてしまうんです。その場合、ただフォロワーが少ないだけの人であることもありますし、商品とのマッチ度が高く投稿したときのユーザーの反応が全然違うということもあります。
ただの強気な人であることと、お願いしてよかったなと思うことと、分かれることが多いです。このあたりを見極めるためには、投稿やコメントを見ないとダメだなと感じましたね。
いいたか氏
まさにおっしゃる通りだと思いますね!
徳田
最後に、鉄則7 組織のスキルアップがSNSマーケティングを成功させるについてですが、それはそうだよねという話ですね。
トリプルメディアを活用するにあたって、組織にそれがちゃんとわかっている人がいると、SNSのみならず全体のマーケがうまく回ります。しかし、インハウスの担当者さんでSNSのトリプルメディアをすべて理解して使いこなしているという人はいないんですよね。
いいたか氏
まあ、非常に難しいですよね。支援している側も、これだけプラットフォームが増えてきているので、全員ができているとは言えなくなってきましたね。
徳田
書籍の中で、トリプルメディア別の活用や、各メディアに対してどういったベーシックスキルが必要なのか・どういったコミュニケーションが必要なのかというスキルマップが入っていたかと思います。
SNSの運用やマーケティングという言葉が独り歩きして、何をしたら良いのかわからないとか、頑張っているのに結果が出ないと思っているような方々がいますが、この表を見ていただければ、自分がやろうとしているのはオウンドなのか、アーンドなのか、ペイドなのかと振り分けることができ、どこを強化すれば足りていない部分を補えるのかが見えるのではないかと思いました。
いいたか氏
まさにその通りだと思っています。
僕らもスキルマップみたいなものを、社内で作っていたんですよ。作っていく中で、「この要素ってこっちに含まれるよね」と移動したり、新たに加わったりして、今のこの形になりました。
今はリスキリングなど仕事に関係ある学びをやっていかないとダメだよねという風潮になってきていますが、これはSNSにおいても同じです。
できている人は、戦略をちゃんと実行でき、組織を作ることができています。短期的な目線になってしまうとフォロワー数などを見てしまいますが、そうではなく、中長期的に、口コミが発生することがなぜ売上に貢献するのかといったところが理解できています。あとは、マーケの中で、SNSの文脈でどのようにブレイクダウンして活用に落とし込むかというところになりますが、ここではいろんな変数が働きます。そこで、今回のスキルマップでは、トリプルメディア別に分けて考える方法をご紹介しています。
また、そもそも一番下のベーススキルの部分が非常に重要です。
いいたか氏
多くの会社は、何か実行するときに競合他社がどのように運用しているのかなどを急に調べ始めてしまいます。これは完全にユーザーを無視しているんですよね。
一番最初にやるべきなのは、消費者の理解や、自社の製品はどういったクラスターでどのような口コミが出るだろうかという分析です。ひとつの商品でも、自分が好きだから買っているという人もいれば、ネットの口コミを見て買って気に入ったという人もいますし、全然知らない人が使っているのを見て買ったという人もいますよね。
いいたか氏
これはクラスターが全部分かれているんですよ。このクラスター別の口コミの出方について、ユーザー目線から理解しなくてはなりません。ユーザーがどんな口コミをしているか、自社製品と相性の良いSNSはXなのか、インスタなのか、Tik Tokなのか、などを理解する必要があります。
まずは注力するSNSメディアを決め、メディアプランニングとしてどのようにやっていくと良いか、目標設定やKPIをどのように置くか、考えていきます。このあたりをまずベーススキルとして持ちます。
これが欠落すると、他社の物まねになってしまったり、「時代はYouTubeだ」などど言い出してしまうんです。徳田さんも長くYouTubeをやっていますが、それを何投稿かだけ見て「よし、うちの会社もYouTubeだ」と言い出す人がいても、おすすめできませんよね?
徳田
やめた方が良いですよって言います(笑)
いいたか氏
そうですよね。そういうのも含めてなんですよね。背景を知らずに他社の事例だけ見ても、意味がありません。
その上で、コミュニケーションのスキルについては、SNS以外でも使える場面がたくさんあります。コピーライティングや、コンテンツ制作における動画や編集のスキルは、SNSに限らずいろんなところで使えますし、コミュニティ管理やエンゲージメントといったリレーションシップに関するスキルについても同様です。
そして、SNSのトリプルメディア別活用については、オウンド・アーンド・ペイドの役割とそこに対してどのようなプランニングを落とせば良いかというスキルセットがあります。
いいたか氏
下から上に積み上げていく形で考えると、上の方になればなるほど「手法」なんですよね。どのような考え方と理論を持たないといけないのかというのが下に詰められています。ここは難しいと思うので実際に書籍の表を見ていただければ、それぞれに対して説明しています。
いいたか氏
このあたりを照らし合わせていただき、自分が今どのスキルを持っているか、〇×をつけていただくと面白いと思います。おそらく、広告なんかに関わっている方であれば、ペイドやオウンドにはわりと〇がつくと思うんですよね。でも、口コミの誘発なんかについては考えていないとなると、アーンドがスカスカになるのではないでしょうか。であれば、そこの情報を探すという学び方になります。
自分にとって良いような形で印をつけてしまうのも良いのではないかと、個人的には思っています。
徳田
もっと伸ばしたい、現状うまくいっていないという人にこの本を手に取っていただくと、どこが欠落しているか、そもそも商品の特性をわかっているかなど、いろんな気づきが得られるのではないでしょうか。
この動画と本を何度も読んでいただければと思います。僕も事前に書籍を読ませていただき、打ち合わせをし、今日お話をうかがう中で、理解が深まっていきました。スルメのように何度も何度も噛んでもらいたい書籍です!
本日は貴重なお話いただきありがとうございました!
いいたか氏
ありがとうございました!
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