対談
Interview
この記事では、10倍はかどるSEOの進め方についてご紹介します。
【ナイル株式会社 マーケター 青木創平氏】
技術的SEOの造詣が特に深く、複雑なSEO案件や100ページを超えるSEOガイドの執筆経験もある。
2021年SEO研究所立ち上げSEOを追求している。
【世界へボカン株式会社 代表取締役 徳田 祐希】
日本の魅力を世界へ伝えるというミッションの元、13年以上にわたり、多国籍メンバーと共に越境EC、海外BtoBマーケティングに取り組む。
越境EC企業の年商を35億→500億、14.7倍の成長を導くなど数多くの実績を残す。
Shopifyマーケティングエキスパート。
世界へボカン株式会社 徳田祐希(以下:徳田)
こんにちは、世界へボカンの徳田です。
本日はナイルさんとの初コラボということで、「10倍はかどるSEOの進め方」についてお話を伺いたいと思います。よろしくお願いいたします!
まずは簡単に自己紹介をお願いします!
ナイル株式会社 マーケター 青木創平氏(以下:青木氏)
ナイル株式会社でマーケターをやっております、青木創平と申します。
ご縁がありまして「10倍はかどるSEO」という本を出版させていただきました。今回のコラボではこの本の裏側や、一番伝えたいところなどをお話できればと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
徳田
早速お話を伺えればなと思いますが、こちらは、以前、土居健太郎さんが書かれた「10年つかえるSEOの基本」の姉妹本なんですね。結構分厚いんですね、これ。
青木氏
そうなんです。勢い余って書きすぎてしまったんですよね。
最初はむしろ内容が少ないのではないかと思っていたのですが、気づいたらあれよあれよと。本で厚さを比べても1.5倍ぐらいありました。内容は豊富なのではないかと思っています。
徳田
今回は、SEOのテクニック的な話というよりは、どうやって社内の方の理解を得るか・クライアントの理解を得るかという点も含めた進め方についてのお話かと思うのですが、具体的にどんな内容か伺えますでしょうか?
青木氏
世の中のSEOの本は、どうやって順位を上げるか、検索エンジンがどのような仕組みになっているか、といったテクニカルな内容が多いです。
ですが、実際にやってみると、SEOってすごく泥臭いんですよ。
徳田
泥臭いですね(笑)
青木氏
予算の交渉から、順位が上がるまでの期間どうやってSEOを継続するかといった話や、SEOは効果があるのか・他のマーケティング施策のほうが良いのではないかという疑問などに対して、一つ一つ対応しなくてはなりません。SEOの施策には正解がありませんから、仮説検証して、うまくいったらこれで良しとして、うまくいかなかったら次はこれをやろう、といったことをずっとやっていきます。
かなり泥臭く長丁場になりますから、それをどのように考えてやっていくと良いかを解説したのがこちらの本なんです。SEOは重要な部分であるにも関わらず、僕が見た限りではこういった本ってなかったんですよ。だから今回執筆したというのが背景にあります。
徳田
では、具体的な中身について伺えますでしょうか?
青木氏
一番最初に、SEO担当者にとって一番大事なことというテーマでお話できればと思います。
早速ですが、徳田さん、一つ質問をしてもよろしいでしょうか?
徳田
良いですよ!
青木氏
これは本の中でも書いている内容です。
「クレジットカード」という検索キーワードで1位をとりたいのですが、最近は2ページ目に停滞してしまっています。これはよくあることかと思います。自社のコンテンツは、クレジットカードという言葉の意味を解説したものです。しかし上位ページを見てみると、クレジットカード会社のページや、カードの比較コンテンツが表示されています。このサイトが2ページ目で停滞してしまっているのはなぜでしょう?
こちら、どのように思われますか?
徳田
これは「とは」記事になるので、そもそも、「とは」記事でよく2ページ目まで行ったなと思うのですが、まず、比較コンテンツが不足してることと、DRやPRといったドメインのパワーも含めてどれだけ差があるのかが気になります。
あとは、E-E-A-Tについてです。誰が書いているのか、ちゃんと書かれているのか、といった権威性について気になります。
青木氏
ここまで仮説が立てばかなり良いと思います。ポイントは仮説を立てることです。
「なぜうちのサイトが1ページ目に上がらないのだろう、1位にならないのだろう」という問いに答えはないんですよ。まず仮説を立てていくことが重要です。仮説を立てて現状とのギャップを見出して、そこを埋めていきます。それによって、ユーザーにより良いコンテンツを提供してくことが、SEOでは重要になってきます。
現状に対する仮説を立てられるかが、SEO担当者にとって非常に重要です。
徳田
確かに、社長から「なんでうちのは1位じゃないんだ」って絶対聞かれますもんね。
青木氏
社長だけじゃなくていろんな人から聞かれるんです、課長も聞いてきます。いろんな人が聞いてくるのですが、答えは本当にないので……答えがない中でアクションをしなくてはなりません。
仮説がないと、後から「なぜこの施策を打ったのか」という説明ができませんし、自分たちにとっても、なんとなくで施策をやってしまうと効果検証ができません。ですので、仮説を立て続けることが、SEO担当者には重要だということをご理解いただけたらと思っています。
徳田
なるほど。
こういった感じで「何が大事なのか」をどんどん教えていただけるんですね。
青木氏
そうですね。今日は本の話を限りなくお伝えできればなと思います。
徳田
本を読まなくて良くなっちゃうじゃないですか!
青木氏
いやいやいや!厚みがあるので!(笑)
今回は特に重要な部分だけ抜粋してお伝えできればと思っています。
では次に、SEOに取り組む前に理解していただきたい点についてです。まだSEOに取り組んだことがない方、これからSEOに取り組むという方が多いのではないかと思いますので、ぜひ参考にしてみてください。
SEOでは予算がないのに成果を求められることが非常によくあります。
徳田
あるあるですね。
青木氏
めちゃくちゃあるあるですね。予算が数万円なのに「この期間で1位にしてください」と言われてしまうのは結構ある話なんですね。
そもそも、SEOがすべてのマーケティングにおいて最強かというと、そうでもありません。本当にSEOが必要なのかどうかというところからご理解いただければと思います。
青木氏
具体的な観点はこのとおりです。
・SEOの強みが発揮されるケース
まず1つ目が、自社の製品・サービスを探している人がいるというケースです。
当然これは、知られていなければ探している人もいませんよね。そこをまずは押さえていただきたいです。新規の、たとえば立ち上げて2日目のようなサービスは知らない人の方が多いですから、そうなるとなかなかSEOが有効に働きません。
もう1つが、自社の製品やサービスによって解決できるような悩みを検索しているユーザーがいる、解決策を探している人がいるというケースです。この場合はSEOがかなり効いてきます。
たとえば、我々が提供しているようなSEOコンサルティングですと、「集客 足りない」、「コンバージョンを増やしたい」といった検索をしている人たちがいれば、SEOという候補が上がっていなくても、SEOが有効であることに気づいてもらえるかもしれません。
青木氏
サービス名や具体的な施策が思いついていなくても、その前段階の悩みを抱えている人がいれば、SEOが有効に働いてきます。
一方で、この段階でSEOが有効にならないケースもあります。そこを判断していただければと思います。
徳田
SEOが使えない案件もあるんですね。
青木氏
ありますね。弊社もいろいろお話を伺った結果、SEOじゃなくてここからが良いんじゃないですか?といったご提案は普通にしていますね。
また、SEOは体力を使う部分なので、人員が1人しかいないような場合はSEOをやろうとはなかなか提案できないですよね。
青木氏
・目的を明確にする
SEOを始める前に目的を明確化していただきたいと思っています。
SEOに取り組む目的として、売上を上げたい、コンバージョンを増やしたいといったことがあると思いますが、SEOをやることで最初に増えるのは検索結果からの集客です。その集客をした上で、そこからさらにユーザーにアクションを取ってもらい、コンバージョンしていくという流れになります。
ですので、ここをしっかりと分解して、最終的な売上やコンバージョンにつなげていかないと、急に飛躍してしまうんです。
青木氏
検索結果からの集客をちゃんと出した上で、そこからコンバージョンに至るまでにどういった改善が必要なのか、ということを洗い出していただければと思います。
そういった洗い出しをしながら、今回のSEOのプロジェクトではどういった部分を増やすか、どういった部分をKPIに置くか、などを考えていただけると、かなりわかりやすく目標設定ができるのではないでしょうか。
徳田
僕らが越境ECをやっていく中で、売上はアクセスと成約率と客単価によって構成されているという話をするのですが、アクセスだけが上がっても成約率と客単価が低かったら売上が立ちません。たぶんそれに近い感じですね。
青木氏
そうですね。
SEOをやっていてよく出てくる悩みとして、集客はなんとか増えてきたもののコンバージョンが増えていない、というものがあります。これはやはり最初の目標設定やコンバージョンの掛け算への意識が低いことによるものです。ぜひ最初に、集客の次は何を増やしていきたいのかを明確にしていただくと、プロジェクト全体としての成功が見えてくるのではないかと思います。
青木氏
・目的を達成するための他施策はないか
とてもSEOの本を出した人間とは思えませんが、SEOは本当に大変ですので、それ以外で目標達成できる施策はないのか、ぜひ確認していただきたいです。
先ほど話しましたが、コンバージョンを増やしたいのであれば広告でも良いわけですよね。リスティング広告であれば出稿して翌日に出たりとスピード感もありますし、テキストだけでも十分出せたりするところもあったりします。施策のスピード感や目的などを照らし合わせて、今はSEOじゃなくても良いかな、となったのであれば、別の施策をやっていくのも一つの手だと思います。
今回増やしていきたいところは別の施策でもできないか、別の施策と同時に並行でできないか、ということはぜひ考えていただきたいです。
徳田
PPCでターゲットキーワードで出してみて、WEBサイトのパフォーマンスや、流入を取った後のユーザーの回遊状況を見て、サイト改善をしていくことである程度コンバージョンするのであれば、そのキーワードでSEOをやってみても良いのではないかとご提案しているのですが、そんなイメージでしょうか?
青木氏
そうですね。
一番最初にリスティングをしっかりやって集客し、ちゃんとコンバージョンが取れるページになっているのかを確認したり、リスティング広告で出稿したキーワードでSEO対策するべきなのかを考えても問題ないと思います。
この本を出して改めて思ったのですが、SEOは大変です。そこをしっかりと準備する前段階としても、他に良い施策がないか確認していただけると良いのではないでしょうか。
青木氏
そのあたりを整理していただいたら、次は期待感の調整です。
集客を増やすことを目的としたSEOをやるにあたって、上層部の人たちは売上が上がることを期待してしまい、認識にギャップが生じることがあります。最初に、SEOに取り組むことによって何が増えるのかという期待感についてすり合わせをしておくと良いのではないかと思います。
徳田
確かに。
順位が大きく上がって、アクセスが大きく増えても、上司やクライアントがその倍の成果を期待しているのであれば、「全然できてない」と言われてしまいます。
さきほど青木さんがおっしゃった目標の設計を誤ってしまうと、頑張りが認められないといいますか、不幸な結果になってしまうことがありますよね。
青木氏
ありますね。
本にも載せましたが、私がコンサルをやっていた時、セッション数が増えたのでプロジェクト全体は成功だと思っていたのに、実は今回はセッション数ではなくコンバージョンが増えるのを期待していたと、後から言われたことがありました。
こういったギャップが起きることもありますので、何を増やしたいのかという期待感の調整をやっていただくと良いと思います。
徳田
成功の定義を明らかにするということですね。
青木氏
そうですね。
いきなりコンバージョンが増えるわけではないので、最初の段階ではセッション数を増やすことを意識したりとか、そういった調整も必要ですし、タイミングも重要です。最終的な目標と使い分けて取り組めると良いのではないでしょうか。
徳田
ナイルさんに相談すると、たとえばインハウスの担当者であれば、上長にこういうふうにお伝えした方がちゃんと理解いただけますよ、予算も確保してもらえますよ、といったところもアドバイスしてくださるんですか?
青木氏
もちろんです!
徳田
めっちゃ良い会社じゃないですか……!
青木氏
我々としても担当者様がつらい状況になってしまうのは避けたいと思っています。こういうふうにご説明いただきたいな、みたいなところもそうですし、上司の方に今どのようなことをやってるのかという話をお伝えしたりしています。そこがあってのSEOかなというのはすごく思いますね。
徳田
なるほど。
SEOのテクニカルな部分だけではなく、こういった話題もすごく重要なのに、言及した本が今までなかったというのは不思議ですね。
青木氏
個人でSEOをやられている方と組織としてSEOをやられている方に二極化されていて、今までは個人でやられている方向けの本が多かったのではないでしょうか。そのあたりの違いなのではないかというのは思いますね。
青木氏
予算の求め方についても解説いたします。
マーケターの方だとやっている方も多いかと思いますが、限界利益みたいなところは、やはり出しておくと良いと思っています。簡単に言うと、マーケティング費用をどれぐらい使えるのか、どれぐらいまで行ってしまうと赤字になってしまうのか、という点です。このあたりはSEOにおいてもしっかりと出しておくといいです。
たとえば、1位にできた、集客が増えた、でもそれに対して〇千万使ってる、となると、おそらくだいたいの会社は赤字になってしまいます。SEOにどれぐらい投資できるのかという上限値を決める意味でも、ぜひ出していただきたい部分です。
徳田
確かに、30万円だとか50万円だとか、値段が一人歩きして高いとか安いとかという話になってしまうと、よくわからなくなってしまいますよね。
どれくらい利益が確保できるのかによって予算を確保すべきかどうかが変わってきますし、そこが計算できている会社さんは予算を投下してしています。投下しなかったら差をつけられてしまうわけですよね。「やらない」という選択肢によって機会損失してしまう可能性があります。
そういった限界利益の計算ってとても大事ですね。
青木氏
大事ですね。
逆に、限られた予算しか確保していなかったというお客様が「実はもう少し出せた」、「もう少し投資するべきだった」とおっしゃることもあると思います。
このあたりは、マーケターの皆さんは一度やっておくと、これぐらいまでいけそうという具体的なイメージが湧いてくるので、後々のことを考えてもやっておくことをおすすめします。
青木氏
あとは、SEOをやっていく中でとにかく出てくるのが「これをやるとどれぐらい順位が上がるの?」、「どれぐらいお金が必要なの?」という話です。
徳田さんもご経験があると思うのですが、タイトルタグの調整などで「それいくらかかるの?いくら増えるの?」という説明をするのはとても大変ですよね?
徳田
難しいですね……
青木氏
先ほど仮説検証の話でもあった通り、SEOでこれやれば上がるというものって最近ないですよね。それに対して毎回「いくらなの?いくら上がるの?」という話をし続けると、まあ施策が進まないんですよね。
ですので、私のおすすめは、SEOという取り組み全体に対してどれぐらいの予算を投下して、どれぐらいの結果が出てくるかと、シンプルに考えることのできる裁量を持てると良いのではないかと思っています。
そうしないと本当にスピードが下がってしまうんですね。こういう事で困っている方はインハウスでSEOをやられている方が多いのではないかと思いますが、これを毎回社内で説明して、場合によっては稟議を出して、ということになると、1つの施策が進むのに1か月以上かかるというケースもよくあると思います。
これだとやはりスピード感が下がってしまうので、SEOという取り組みに対してどれぐらいの予算がかかって、そしてどれぐらいの効果が出るのか、これぐらいシンプルで考えられると良いのではないでしょうか。
徳田
実はこのお話で1つの記事にまとめようと思ってたのですが、共感がすごすぎて長くなってしまい……
2本目でまた続きの部分、お話を伺っても良いですか?
青木氏
そうですね!(笑)
私も話したい話のまた一部しかできていないので、このあと続きでもう少し解説していきたいと思います。
徳田
それでは一旦ここまでです。本日は貴重なお話いただきありがとうございました!
青木氏
ありがとうございました!
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