対談
Interview
この記事では、海外展示会を成功させるオフライン施策の事例についてご紹介します。
【株式会社高速オフセット 西崎 光祐氏】
1994年株式会社高速オフセットに入社し、活躍後、
2021年にデジタル事業室が新設。室長に就任。
海外での展示会、プロモーションなど支援する。
【世界へボカン株式会社 代表取締役 徳田 祐希】
日本の魅力を世界へ伝えるというミッションの元、
13年以上にわたり、多国籍メンバーと共に越境EC、海外BtoBマーケティングに取り組む。
越境EC企業の年商を35億→500億、14.7倍の成長を導くなど数多くの実績を残す。
Shopifyマーケティングエキスパート。
世界へボカン株式会社 徳田祐希(以下:徳田)
こんにちは、世界へボカンの徳田です!
本日も高速オフセットの西崎さんに、越境ECを成功させるための海外展示会のオフライン施策についてお話を伺いたいと思います。
よろしくお願いいたします!
引き続き、海外展示会に参加されて「こんな施策をやったよ」といった具体的な事例のお話を伺えると聞いたのですが……
どんな内容をお話いただけるんでしょうか?
株式会社 高速オフセット 西崎光祐氏(以下:西崎氏)
よろしくお願いします!
弊社が対応させていただいた、シンガポールにおける「フードジャパン」という展示会がございます。
そちらに出展させていただいた中で、工夫したことを紹介させていただければなと思います。
徳田
飲食物を取り扱っていて、これから海外展示会に参加される方、越境ECで数値を伸ばしていきたい方はぜひ見ていただけたらと思います!
西崎氏
高速オフセットは、毎日新聞グループホールディングスに所属する印刷会社ですが、
新規事業として海外進出事業支援を行っております。
日本の地域産業が活性化していくためには、日本だけの需要に頼っていてはやはり心許ないということで、海外に販路を求めたいという経営者の方は多くなってるのではないかなと思います。
では、「どうやったら海外進出ができるのか?」
その第一歩を「どういうふうに進めていったら良いのか?」
というところですね。
西崎氏
自社の商品を認識してもらいたいとき、一番手っ取り早い方法というのが、現地の展示会に出展することだと思います。
高速オフセットは海外展示会出展に向けて、
「オフラインでもオンラインでも、両面からサポートできる」
ということで紹介させていただけたらと思います。
今回は、シンガポールで行われた「フードジャパン」という海外展示会に出展した実例を紹介していきます。
西崎氏
フードジャパンは、「日本の食品メーカーなどがシンガポールのカスタマーとつながること」を目的に開催されていて、2023年は日本から181社が出展して6,312人の来場者で賑いました。
当社は、奈良のお酒の奈良酒と高級缶詰のコラボレーションを、シンガポールにプロモーションしていくために、企画~ブースデザイン・当日のブースアテンドまで、お手伝いさせていただきました。
西崎氏
海外展示会においても、前回同様「顧客体験価値をどのように高めるか」というところが非常に重要なポイントになるんです。
やはり顧客に楽しんでもらうために、ただ単に商品を陳列するだけではなく、海外のユーザー様にブースを楽しんでもらうための「コンセプト設計」というのが必要になってくるのではないかと思います。
私たちは奈良酒と高級缶詰を体験してもらうために「CANpai Bites」というブース名で出展させていただきました。
西崎氏
こちらは缶詰めの「缶」と、乾杯の「乾」、可能性の「CAN」という言葉をかけてまして。
日本酒と缶詰のコラボレーションが、直感でわかるような名称にさせていただきました。
西崎氏
更にブース自体を、日本酒バーのように見立てて着席スタイルにすることによって、料理とお酒をじっくり楽しんでもらえるようなテイスティングセットというものを用意させていただきました。
西崎氏
テイスティングセットなんですけども、メニュー表にしてお客様が楽しんで選んでもらえるように工夫をしました。
また試食を待ってる間に商品案内を読んでもらえるよう、商品パンフレットというものを作成しまして。
奈良酒に関しては、奈良酒シートという飲み比べシートを用意させていただいて。
ちょっと高級感を出しながら、自分がどのお酒を今飲んでいるのかというのがわかるように演出をさせていただきました。
徳田
まずそもそも食べ物は、食べたりとか飲んだりしないとその商品の価値って全然伝わらないじゃないですか。
一番大事なのはどれだけブースに来た人に、その商品を試してもらう機会が作れるかという話だと思うんですよね。
それから逆算して、ブースというよりはバーみたいな表現にしたってことですよね。
西崎氏
そうですね!
一番特徴的だったのは着席スタイルにするというところです。
どこのブースさんを見られても、やっぱり着席スタイルではなくて。
立って接客をするみたいな形なんですけど、どうしてもお客さんがすぐにはけてしまうので、印象に残らせることができないんじゃないかなと思いまして……
着席スタイルで、じっくりとお話をしながら飲んでもらえるというような感じのスタイルにさせていただきました。
徳田
なるほど。
確かに他ってだいたい椅子がないから、滞在時間って1分とか2分とかじゃないですか。
でも缶詰を食べてお酒を飲み比べたら、10分とかいっちゃいそうですよね(笑)
西崎氏
そうですね。
10分以上はいっちゃいますね(笑)
徳田
あと飲み比べシートのような物も作って「これはこうなんだよ」というのがわかるようになってるんですね。
西崎氏
そうですね。
自分が飲んだお酒がどれかというところでわかるようにして、あとでアンケートに答えてもらうといったような施策です。
そういうときに使ってもらえる感じにしております。
徳田
では最初の目的である「試していただく機会を作る」だったり、滞在時間を長く持ってもらって、賑わってる感というのを出すだったりとか。
そういうのはとても上手くいったということですね!
西崎氏
そうですね。
やっぱりはけてしまうとお客様がいなくなるというブースもあるんですけれども、CANpai Bitesのブースはずっと誰かが座ってるというような状態で。
待ちがちょっとできるようなイメージで、じっくりお話もさせていただけるので。
逆にお客様が来たくなるような演出ができたのではないかと思います。
徳田
人が人を呼びますからね!
西崎氏
実際こちらが展示会の様子になるんですけども、弊社側の狙い通りですね。
やっぱりパンフレットを見ながら試飲を楽しむ人や、メニューの説明をじっくり聞く人など、さまざまな場所でコミュニケーションが発生しているような状況でした。
このようなバーカウンターのような着席スタイルにしたら、じっくり話ができる分、回転率という面では少々やっぱり悪くはなってしまうんですけども。
西崎氏
非常に確度の高いバイヤーとお話ができるというか、
「座ってまでは話を聞きたがらない人」は元々来ないといいますか、やはりじっくり聞きたい人だけが来るようなイメージでしたね。
非常に確度の高いバイヤーとお話ができましたし、バイヤーが何を求めているのかというのもその場で把握できるというような状況になりました。
徳田
実際に名刺とかアンケートとかって集まったんですか?
西崎氏
そうですね。
数はこういう着席スタイルで時間もかかるので、何百も取れるというわけではなかったんですけども。
わりと濃い可能性のあるようなバイヤーさんが60、70という感じでアンケートを集めることができました。
徳田
有効リードが日本酒だったり、缶詰が欲しいバイヤーさんのリードが70件集まったってことですよね!
とてもすごいことですよね……。
しかも試飲してもらったり、試食してもらってるから、その商品の価値自体わかってもらってますよね。
西崎氏
そうですね!
そこでわかったうえで商談が進むということで、単純なリードの獲得だけじゃなくて少し踏み入ったところのリードを獲得するというようなイメージで商談ができたのかなと思います。
じっくり商談ができる分、このQRコードからアンケートへの誘導がしやすいというところで、試食試飲が終わったあとにアンケートに答えてくれるバイヤーさんも非常に多かったですね。
徳田
なるほど。
そういった動線設計だったり、コンセプトがバッチリはまったってことですね。
西崎氏
実際にアンケートに答えてもらうことによって、当ブース独自の来場者特性というのが見ることができまして。
今回の当ブースでは、レストランオーナー、商社、ディストリビューターで約6割を占めているというところや、1回における調達予算が分かりました。
西崎氏
・1万ドル以上というのが50%を超えるということ
・「すでに和食や日本酒を提供したことがある」というレストランのオーナーさんが50%ほどいる
ことがわかりました。
こちらに関しては、自分たちが取りたいデータを取るということができますので、非常に有効な手段じゃないかなと思います。
西崎氏
今回は海外オフライン施策の一例として海外展示会の出展というものを挙げさせていただきました。
この中で顧客体験価値を上げるために必要なこととしまして、
・着席スタイルにすることによって顧客との接点時間を持ち、長くするということ
・メニューを選んでもらいながら、顧客に興味、商品に興味を持ってもらうというところ
・時間を作ることによって、パンフレットをじっくり見てもらうというところ
・アンケートを取って顧客の求めるものを正確に知るというところ
を挙げました。
西崎氏
せっかくの海外展示会出展ですから、このようなユーザーの顧客体験価値を深掘りし、高め、そのための創意工夫をするところがとても重要なのかなと思います。
徳田
そもそも飲食物の越境ECってとてもハードルが高くて、すでに海外で銘柄とか商品の名前が認知されてる場合じゃない限りは最初から売れないんですよね。
その対応策として、海外の展示会に出て実際に一部でエリアで流通させて、ユーザージェネレートコンテンツだったり口コミを生んだり流通させることによって、好きな人や認知してくれてる人というのを増やすということが大事だと思いますね。
そこから「個別に欲しい場合は越境ECで買ってね」という動線を引かないとなかなか広がらないんですよね。
西崎氏
そうですね。
やはり「まず認知をどうやってするの」というところがとても難しいので、こういう展示会の場を使って認知するということも大事ですし、
実際、現地でいろいろ活躍されてるようなディストリビューターさんや、結構シンガポールだと日本人の方でも、今回のような活動を「広めていく活動」というところをされてる方とかもいらっしゃいますので。
そういう方といろんな意見交換をしながら状況がわかるなど、海外展示会に出て初めて知ることは多いのかなと思います。
徳田
これから飲食物を取り扱っていて、もし「越境ECに挑戦しよう!」と思われている方は、是非高速オフセットさんと一緒に、
こういったブース作りや展示会展開というところもご検討いただけたらなと思います!
徳田
「結構展示会に行ってきました」といって、現地のおしゃれスポットとか、観光スポットで写真撮ってきて帰ってくる人って結構たくさんいるんですよ。
でも実際問題、しっかりリードを取ってビジネスにつげないと、もし補助金が出ていたりとか、ジェトロさんのサポートが入っていたりとかしていても、結局無駄足になってしまうんですよね。
しっかりとビジネスにつなげていくためには、どういったフックや工夫が必要かというところの参考になるんじゃないかなと思いました。
なにか気になることがあれば、高速オフセットさんにご連絡いただければと思います。
本日は貴重なお話いただき、ありがとうございました!
西崎氏
ありがとうございました!
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