対談
Interview
この記事では、BtoB向けの広告運用についてご紹介します。
【アナグラム株式会社 広告事業部マネージャー 二平燎平氏】
数多くの広告運用を手がける敏腕マネージャー。
前職では「The Model」の全工程に従事。
売上を伸ばすためのコンサルに定評がある。
【世界へボカン株式会社 代表取締役 徳田 祐希】
日本の魅力を世界へ伝えるというミッションの元、
17年にわたり、多国籍メンバーと共に越境EC、海外BtoBマーケティングに取り組む。
越境EC企業の年商を35億→500億、約29倍の成長を導くなど数多くの実績を残す。
Shopifyマーケティングエキスパート。
世界へボカン株式会社 徳田祐希(以下:徳田)
こんにちは、世界へボカンの徳田です!
本日は『BtoBマーケティング“打ち手”大全』の著者の二平さんに、BtoB向けの広告運用についてお話を伺いたいと思います。
よろしくお願いいたします!
アナグラム株式会社 広告事業部マネージャー 二平燎平氏(以下:二平氏)
よろしくお願いします!
アナグラムの二平と申します。
今アナグラムという広告運用に強いマーケティング支援会社で、マネージャーを務めさせていただいております。
キャリアとしては1・2社目は事業会社側で、いわゆるBtoBのTHE MODEL(ザ・モデル)の全部の流れである、セールスからCSまで全部やったうえで広告運用が得意としてやっております。
BtoBの案件を中心にこういったイベントや、コンサルティングをやらせていただいております。
あと個人でもTwitter(現:X)で発信をしていまして、ちいかわが好きな広告会社として認識していただければなと思っています(笑)
よろしくお願いします。
二平氏
あと3月22日にこちらの書籍を発売させていただいておりまして、一応Amazonランキングを取ったりとかで、ぼちぼち読んでいただけている人が多くなっているのかな……という形でございます。
本日もこちらの内容をベースに、いろいろとお話ができればと思いますのでよろしくお願いします!
徳田
今回から、3本に分けてお話いただければと思うんですけど……
まず広告運用ですね!
BtoBの広告運用の基本について、お話を伺えますでしょうか?
二平氏
まず①顧客と自社の商材タイプを理解をするというところからが大切かなと思っていて。
WHO、WHAT、HOWみたいな、誰になにをどのようにというのをまず整理するというところが、スタート地点かなと思っています。
もうちょっと具体的にお話をすると、よくいろんな会社さんとかでも言われていると思うんですけども。
顧客解像度を高めるということが非常に重要かなと「お客さんのことをわかっていないと良いアイデアが出ない」という話ですね。
特にBtoBは業務プロセス・業務理解が非常に重要だなと思っています
二平氏
というのもこちらの図にもある通り、なにかしら業務を改善するようなSaaSだったりのツールがBtoBのシステムであることが多くて。
それを支援することが皆さん自社でもそうなんですけど多いと思うんです。
……となったとき、各業務の流れとか、どういう業務が発生してどういう課題があるのかを知っていないと、良い広告文だったり良いターゲッティングができないみたいなところで。
たとえばなんですけども、僕が前職でバックオフィスの会計や支払い管理のシステムみたいなものを売っていたときにあったもので。
皆さん消し込みという業務って知っていますかね?
二平氏
消し込みというのは、売上が立って入金を管理して入金されたよみたいな。管理するような業務なんですけども。
会計ソフトとか支払い管理のツールを売るとなったときに、消し込みという業務自体を知っていないと、そもそも検索語句でキーワードとしても狙えないし、どういう課題があるのかがわからないみたいなところなので。
業務の流れを知って、こういう業務があってこういう課題があるんだ〜みたいなところの解像度を高めないと、良い運用ができないので、非常に重要になってくるかと思います。
二平氏
そういう内容をどうやって知っていくのかってなると、やることは結構シンプルかなといったところで、弊社でもよくやるのがN1インタビューであったり。
あとは営業の同席だったり、営業の方にヒアリングするというのは結構おすすめでございまして。
なんでおすすめかというと……結構一石二鳥なんですよね!
二平氏
たくさん売れている営業の方って売り方も知ってるし、いろんな顧客と接点を持っているので、お客さんがどういうことに悩んでいてだったりとか。
どういう商材のポイントが響くのかみたいなのが分かります。
なので営業のたくさん売れているような方にヒアリングすると、一石二鳥で顧客ニーズもわかるし、セールストークもわかるところで、自社の強み……あるいは競合と違ってなにが強いのか弱いのかといったところがわかる形ではあるので。
結構営業同席とか営業の方に、ヒアリングするというのはおすすめではございますかね
徳田
なるほど。
実際に獲得したリードを渡すのはその先の営業に渡すわけですもんね。
同じ言葉を使っている方が親和性も高いし、受注にもつながりやすいみたいなイメージですね。
二平氏
そうですね!
ズレがなくなりますし、営業とコミュニケーションを取っているといろんな連携も良くなってくるかな……といったところはありますかね。
二平氏
なので「どういった部分が強みであるのか」は、いわゆるバリュープロポジションというか強みというか、他社が言えてなくて自社で言えて、顧客が求めているところをしっかりと固めて。
WHO、WHATを固めるみたいなイメージですよね。
そこからどうやって広告運用に落とし込んでいくのか、施策に落とし込んでいくのかみたいなところでいくと、カテゴリーのキーワードの検索数とターゲット数というフレームワークで僕は考えていまして。
二平氏
ちょっとこれを簡単に説明しますと、縦軸がカテゴリーのキーワードの検索数で、会計ソフトとか組織コンサルティングみたいなジャンルを表すようなキーワードとなっていまして。
その検索数が多いのか少ないのかというところで判断します。
たとえば会計ソフトだと、月間で1~2万件ほど検索がされるので、BtoBの中だと結構検索数が多いジャンルになるかなと思います。
一方で組織コンサルティングみたいなワードは、月間400ぐらいでしょうか。
キーワードプランナーとかで見ると、ほぼ検索されないというジャンルになりますね。
そんな形で検索数が多いのか少ないのかみたいなというところと、右、横軸がターゲットの数みたいなところ。
ここはシンプルでそもそもターゲットとなる人が多いのか少ないのかみたいなところで、会計ソフトは大小いろんな規模はあるかもしれないですけども、どの会社も必要なツールになるのでターゲット数が多いですよねみたいなイメージ。
一方で左下の船舶管理だったりとかERPみたいな大企業向けのツールとかだと、ターゲットが限られてくるのであんまりいないよねみたいなという形で。
縦軸と横軸になるんですけども。
二平氏
その軸をまた掛け合わせて考えると、右上の会計ソフトは検索が多くてターゲット数も多いというジャンルになるんですね。
なのである程度検索もされて検索数が多いということは、顕在化されている市場ではあるので。
検索面の強化としてSEO対策とか、コンテンツマーケティングを頑張ったりとか、あとは検索連動型広告を頑張って配信してコンバージョンを狙っていくとか。
あるいは検索から流入してきた人たちのコンバージョンレートを上げるために、どういった施策ができるのかなみたいな優先度が高くなります。
二平氏
一方で右下の組織コンサルティングみたいなものだと検索がされないんですが、ただ対象となる人達は多いイメージです。
組織コンサルティングというのは、なにかしら組織に課題を抱えてるとなると、だいたい組織となっている10名以上の企業であればどこでも潜在ニーズとしてはあるかなと思うんですよね。
ただ組織コンサルティングを入れて解決しようってそこまで顕在化していない形なので「ターゲットは広いけど検索はされない」となった場合、コンバージョンポイントのハードルを下げて、ホワイトペーパーとかセミナーみたいな。
コンバージョンポイントを準備してメタ広告だったりとか、商材によってXがハマったりだったりとか、リードを取ってセミナーに誘致したりとか。
インサイドセールスで商談を生んだりとかの施策の優先度が上がってきます。
あとは結構新興なサービスだったりとかするので、広報とかSNSの運用というか発信を頑張っていくみたいなのが優先度が上がってくるところもあります。
二平氏
一方で左上のERPみたいなところだと、検索は多いんですけど大企業でターゲットが少ないみたいなところも。
コンバージョンポイントのハードルを下げて、検索面とかコンテンツマーケティングを強化して、まずリードを取って足が長い商材が多いのでコミュニケーションを取っていくみたいな形になるかなと。
二平氏
左下の船舶管理とかは本当にターゲットが少ないので、WEBをそんなに使わなくて基本的にはオフラインのDMだったりとか、展示会だったりとかっていうのがメインになっています。
検索などは本当にピンポイントで軽くやるみたいな形でございますかね。
ちょっと長くなっちゃったんですけど、そんな形で優先順位を決めて、実際にアクションしていくみたいなといったところではございますかね。
徳田
カテゴリーキーワードの検索数とターゲット数で判断したときに、左下の部分はオンラインマーケティングじゃないよねって補助的に使いたいよねという判断ですね
二平氏
本当に展示会とかがたぶんERPとかもそうだと思うんですが、結構大企業向けでターゲットが絞ってるとか業界が決まっていて絞られているとかは、展示会とかそれこそCXOレターみたいなところの優先順位が結構上がってくるかなというところですかね。
徳田
このあとお話いただく部分もあるかなと思うんですが、コンバージョンポイント、マイクロコンバージョンのポイントをハードルを低くしてリードを取るなどをしていってそこからインサイドセールスを獲得していくみたいなところで。
セールスとのコンビネーションだったり、WEBサイトの改善というところも広告の成果を最大化するうえでは重要だということは理解しました。
二平氏
非常に重要になりますね。
コンバージョンポイントが結構まだ問い合わせとか、ハードルの高いものだけしか準備していない会社さんとかも結構意外にいらっしゃったりするので。
BtoBってどうしても足が長くなるので、事前にとりあえず資料を請求してみたいとか、商談をするというよりもちょっと手前にコンバージョンポイントを置いてあげて。
二平氏
まずリードを取るというか、あるいは資料を取ってもらうみたいなところが結構重要になってくるかなというところですかね。
時間も結構かかってしまうといったところでもありますし。
二平氏
よくあるこの図でいくと、たぶん皆さんも結構感覚としてあると思うんですけども、やっぱり程度当たりをつけて問い合わせをしてくるというか、たぶん徳田さんも結構発信をたくさんされているので。
海外マーケティングだったら徳田さんのところだよねみたいな。
ある程度当たりをつけて来てくれるかなと思うので、そうするためには事前に情報発信をしたりとか、資料をたくさん取ってもらったりとかが結構重要になってくるかなというのはありますかね。
徳田
本当にそうですよね。
広告だけでなくて事前の情報発信とかホワイトペーパーとか、手前で情報を提供しているかどうかで受注率が全然変わってくるじゃないですか。
海外をやるときもホワイトペーパーを用意しましょうであったり、現地の特殊な業界のメディアに露出しましょうであったり、そういうところが実は媒体単位では赤だけど全体では黒みたいなところを得るのに必要だったりするので。
すごくイメージが湧きます。
二平氏
ありがとうございます。
あとはコンバージョンポイントごとに商談化のスピードも変わるということもあります。
ホワイトペーパーはさっきの一番下の部分になるので、まだよちよち段階じゃないですけど、本当に初期の段階なんです。
なのでどうしても商談から遠くはなってしまうんですが、その分ちょっとCPAが安いみたいなことがあります。
一方で右上の部分。
問い合わせとか一番商談に近いところはCPAは上がるんですが、そのあとの商談化率とかも上がってきます。
なので基本的には確度の高い問い合わせや資料請求からやっていって、もっとリードを増やしていくとなった場合はホワイトペーパーを取り組んでいくみたいな方法。
あるいはさっきの図の中の右下では、ホワイトペーパーやセミナーからやっていくといった方法があるので、そこは商材のタイプに合わせていくというところですね。
あとは「今自社がどういうコンバージョンポイントを持っていて、足りない部分がどこで」みたいな考えや、リードの数を増やしたい状況でもホワイトペーパーやセミナーも必要ですし。
二平氏
ある程度質を担保した状態でリードを取るといった場合は、資料請求とか価格表ダウンロードとか無料トライアルとかちょっと商談に近いところのコンバージョンポイントの設計をどうやって作っていくのかみたいなところが、結構ポイントになってくるといったところですね。
徳田
コンバージョンの取れ方とか、その後の成約の割合とか営業のリソースとか、いろんなところで調整が必要なんだなということは感じますね。
二平氏
そうですね。
広告運用だけじゃないことが、非常にBtoBだと多いかなというところではありますかね。
あとは目安として結構ばらつきがあるんですが、このぐらいの数値感みたいなインプットをしておくと良いかなと思います。
二平氏
そこでいくと問い合わせとか見積もりって商談に近いところなので。
CPAは高くなるんですよね。
だいたい5~10万ぐらいとかで、だいたい収まるケースが多いです。
逆にそれ以上。
15万とか10何万とか行っちゃっていると、広告運用がおかしいとか、ランディングページがおかしいみたいな状況であることが多いかなといった数値感になりますね。
あと商談化率みたいなところです。
問い合わせとか見積りって確度高い状態なので、せめて50%前後ぐらいの商談化率は欲しいよねみたいなところ。
30%以下とかだとたぶんインサイドセールスがうまくワークしていないとか、すぐアプローチができてないよねといった形の数値感にはなってきます。
受注率もだいたい20~30ぐらいで、落ち着くことが多いかなといったところですかね。
資料請求もだいたい1~5万とかに収まることが多くて、それ以上とかだとなんかちょっと広告運用なのか何かがおかしいみたいな。
商談化率もだいたいこれぐらいの数値感でみたいなところですかね。
ホワイトペーパーもだいたいCPAで行くと1万円前後とか、セミナーの方が参加のハードルが高いのでちょっと高くなりがちかなみたいなのはありますかね。
あとはセミナーとかホワイトペーパーからの商談化率だったり、結構インサイドセールスの兼ね合いも多かったりとかするので、結構変数があって変わったりとかはするんですが。
うまくいってる会社さんとかだと、ホワイトペーパーからでも10%ぐらい商談になっているケースとか僕は見たことがあったりはするので。
やり方次第かなみたいなところは正直あるなと思います。
商材にマッチするやり方とかがあるので……といった印象ではありますかね。
二平氏
あとは併せてのちほど媒体の優先順位みたいな話もあるんですが、ディスプレイとかSNS広告でリードを取っていくとなった場合、問い合わせとか資料請求は少しハードルが高くて難しいといった声があります。
なのでちょっとハードルを下げて、ホワイトペーパーとかセミナーでやった方が良いかなという形で、検索広告って検索をして情報収集をしている人たちなので、結構確度が高いというか能動的なユーザーが多いんですけども。
皆さんInstagramとかFacebookをなんとなく見られていると思います。
そんなに仕事の情報を積極的に集めようかというそんな状態じゃないので、なんとなく興味があるような情報、セミナーとかホワイトペーパーだったらコンバージョンしやすいよねみたいなところなので。
どういった媒体を攻めるかによってコンバージョンポイントの設計も変わってくるなといった形のところはありますかね。
徳田
確かに。
左の絵の子、テレビを見ながら携帯を見ながらご飯を食べてますよね。
めちゃめちゃフォームとかが長かったら絶対に入力してくれなさそうで(笑)
アナグラムさんって運用型広告といえばって、第一想起だと思うんですけど、BtoBもしっかりとやってるんですね。
二平氏
ありがとうございます!
そうですね。
結構私を中心に、もともと事業会社にいたノウハウを使いながら支援させていただいているという形ですね。
徳田
そんな感じで、今回はBtoBの広告運用の基本についてお伺いしました。
次からは検索とメタといった、媒体の優先順位とか選定方法みたいなところも含めたお話です。
本の内容をどんどんお伝えしちゃって良いんですか?という感じなんですが……
二平氏
そうですね。
本だと伝えきれない部分もありますし、本を見てパッとわかることもあると思うので。
またちょっと情報が違うかなと思うので。
徳田
本日は、貴重なお話をいただきありがとうございました!
次回もよろしくお願いします。
二平氏
ありがとうございました!
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