対談
Interview
この記事では、海外クラウドファンディング、キックスターターを始める理由やコツについてご紹介します。
【Peak Japan 代表 中村岳人氏】
広告代理店入社後は様々なキャリアを得て、海外クラウドファンディング事業部を立ち上げ、事業譲渡を得て独立し活躍する。
【世界へボカン株式会社 代表取締役 徳田 祐希】
日本の魅力を世界へ伝えるというミッションの元、
17年にわたり、多国籍メンバーと共に越境EC、海外BtoBマーケティングに取り組む。
越境EC企業の年商を35億→500億、約29倍の成長を導くなど数多くの実績を残す。
Shopifyマーケティングエキスパート。
世界へボカン株式会社 徳田祐希(以下:徳田)
こんにちは、世界へボカンの徳田です!
本日はPeak Japanの中村さんに、海外クラウドファンディングキックスターターを始める理由であったり、コツについてお話を伺いたいと思います。
よろしくお願いいたします。
Peak Japan 代表 中村岳人氏(以下:中村氏)
はじめまして、株式会社Gakuの中村と申します!
当社は日本のものづくり産業のグローバル化に貢献するというミッションを掲げて、東京の品川で6人で活動をしている会社になっております。
中村氏
去年2023年は約1億8000万弱の金額をクラウドファンディングを活用して輸出をしてきておりまして。
去年だと86のプロジェクトを公開をしてきております。
だいたい毎月8から10本程度のクラウドファンディングのプロジェクトを毎月公開をしてきておりまして、今7月公開を準備をしている……そんなころでございます。
当社の事業領域はクラウドファンディングを使った輸出がメインとなっておりまして、クラウドファンディングが終わった展開としてShopifyを作りたい。
そういったときは世界へボカンさんと協業をしてクライアントさんをご紹介したり、そういったことを協議させてもらっております。
中村氏
それ以外のご要望をいただいたときは、それぞれのパートナーさんをご紹介するというようなそういうような形で連携をしているんですけれども。
当社の事業領域は完全にキックスターターを使ったクラウドファンディング。そこをメインにしている会社です。
徳田
もともとクラウドファンディング自体を、キックスターター自体を7年とかやられているメンバーが集まって創業された会社と伺っていて。
これまでクラウドファンディングを支援したことがある方だったりとか、キックスターターのアカウントを持っている方の約3万人ぐらいのリストを持っている……と聞いたんですけど。
そんな感じなんですか?
中村氏
そうです。
当社は前職、私たちメンバーは元某広告代理店で勤めていたんですけれども、そこでやっていたクラウドファンディング事業部を事業譲渡をしていただいてスピンアウトした形になりますので。
そこからの実績を数えると、約7年の活動になります。
前職のときに積み上げていた会員ですね。
クラウドファンディングで日本のものを買ってくれていた会員の方を今ずっと溜め続けて、そのまま事業譲渡という形で引き受けたのでリストはそのような形で今なっております。
徳田
海外クラウドファンディングがキックスターターが得意なPeak Japanさんだと思うんですけど。
このクラウドファンディングってそもそもどういったパターンがあったりするんですか?
中村氏
ありがとうございます。
クラウドファンディングは購入型クラウドファンディングというジャンルの中で、大きく2つのパターンが分かれております。
1つ目が共感型タイプで、もう1つが商品型タイプ。
このタイプの名前は僕が勝手に通称としてつけているんですけれども……
海外のクラウドファンディングは、完全にこの商品型タイプのクラウドファンディングを僕らは行っております。
徳田
「こういう商品を作ったら皆さん買ってくれますか?」というところに対して支援が入って、その支援が入った金額で作って販売するという流れを商品型というんですね。
これって具体的にどのように進めていくのですか?
中村氏
クラウドファンディングの流れ。従来はものづくりをされているメーカーさんは、商品をまず作って、その商品を販売をして受注を受けて、もし在庫が残ってしまう……という流れになってしまうというのが従来のものづくり。
製造業の方々の1つの流れだったと思うんですけれども。
具体的なクラウドファンディングの流れで商品型のクラウドファンディングのタイプですと、商品をまずクラウドファンディング。WEBサイトで販売を行って、その販売をした商品にまず受注がついて、買い手が全部整った状態で商品を作れば良いという流れになります。
なのでものづくりに従事されている方は、まず在庫リスクを取らなくて、完全に受注生産型で商品をクラウドファンディングを通じて販売することができる……というのがクラウドファンディングのこの流れを使ったすごく魅力的な流れだと思っております。
徳田
確かに。
結構越境ECをやりたいですというお客さん。
我々の方にもたくさん問い合わせをいただくんですけど、その商品が海外で売れるかどうかわからないとなったときに、僕らとしてはPeak Japanさんのクラウドファンディングを最初におすすめさせていただいて。
そもそも市場性があるのかだったり、商機があるのかみたいなところをテストマーケティングしたうえで、「Shopifyをやっていきましょう」みたいなところの二段構えでやらせていただいているので。
結構ここのリスクヘッジができるというところは、中小企業にとってめちゃめちゃ大きいですよね。
中村氏
すごく大きいですね。
やっぱり在庫リスクが出てしまうというのが、製造業の方って1つの悩みの種だったんですけど、基本的に商品が届くのが遅いという、そういうところは買い手がそこのところは背負ってくれておりますので。
ものづくりの人たちからすると、リスクがなくすごく理想的な仕組みなのかなと思っています。
徳田
具体的にどういったプロジェクトが進んでいるかだったり、海外におけるクラウドファンディングの位置付けだったり、規模感みたいなところを伺いたいんですけど。
そのあたりご説明いただけますでしょうか?
中村氏
まずこちらは今当社がリアルタイムで公開をしている。
クラウドファンディングのプロジェクトなんですけれども。
まずこちらのプロジェクトですと、今547万円の買い手が現時点でついていてだいたい300人ぐらいの購入者がついております。
こちらのプロジェクトは今週の金曜日に終わりますので、残り4日間で約45日間の公開を終わります。
こちらの商品が今何個か商品を出しているんですけれども、一番下の1万3000円の商品 ヨガマットですね。
ヨガマット1枚から3万1500円のフルセットの3枚セットまで幅広く出しているんですけれども、こういった商品が4日間で終わって売れた分の商品を具体的に作り、2025年の2月に商品を来年に外国人の方々にお届けをする……という流れで今進んでおります。
徳田
そういうスケジュール感なんですね。
中村氏
45日間公開をして商品にお金が溜まって、お金がこちらの畳用のヨガマットを作っている会社さんに振り込んでから商品を作れば良いので。
実際に商品を作って届くまでの時間のタイムラグというのは結構あります。
今は7月なので半年後ぐらいですよね?
そういうスケジュール感でできるので、在庫がなくできるというところが良いと思いますね。
徳田
アメリカでのクラウドファンディングの規模感なんですけど、どんなものなんですか?
中村氏
今こちらが映っているのがキックスターターのアメリカのクラウドファンディングの1つの市場の目安なんですけれども。
まずキックスターター。
僕らが提携しているクラウドファンディングのサイトは15個のカテゴリーが分かれていて、その中でデザインカテゴリーというのが僕らがよくエントリーしているカテゴリーになっています。
このデザインカテゴリーの最高額が32億円。
この時計が今トップの売上なんですけど、クラウドファンディングなんんですけれども。
日本のクラウドファンディングの商品型と言われているカテゴリーでの最高額は、僕が知る限り今は3億円の最高額のプロジェクトが日本で最高額だと思います。
そちらの3億円以上のプロジェクトがデザインカテゴリーだけでもキックスターターの中に60個以上今存在をしていて、さらにカテゴリーが15個ありますので。
そのぐらいの市場規模を考えると、日本とアメリカのクラウドファンディングの規模の違いというのがなんとなく予想ができるのかなというところですね。
徳田
なるほど。
クラウドファンディングでアーリーアダプターを集めて、自社ホームページで実際にフォローアップしていくだったり、またはクロスセルしていくみたいな流れがあるということですね。
中村氏
そうですね。
クラウドファンディングで完結するのではなくて、アメリカの人たちが使っている流れというのは、クラウドファンディングで集めた人たちを全部自社サイト、この場合でいうShopifyですとか自社サイトの方でクラウドファンディングで集まった人たちを全部そちらの方に流して。
そちらの方で高利益で売上を回していく……というような流れが通例となっていて。
こちらのクラウドファンディングの事例、右側の事例だと、11回2億円規模のクラウドファンディングを回していて。
11回で買ってくれた人たちを自社サイトの方で流して、そちらで他の商品も売っていくというような流れです。
そういった形でやっている企業さんは多いですね。
徳田
実際アメリカにおけるキックスターターって、どれぐらいのシェアなんですか?
中村氏
クラウドファンディングのシェアはこちらの図なんですけれども。
これはあくまでシミラーウェブという第三者ツールの計測なので、あくまで参考として見ていただければと思うんですけど。
アメリカで運営されているキックスターターというクラウドファンディングが、もう欧米でいうと圧倒的なシェアを取っておりまして。
アメリカで運営されている商品型のクラウドファンディングサイトとしては、このキックスターターとインディゴーゴーというクラウドファンディングが2つ大きいのがあるんですけれども。
結構その差が広がっていて、アメリカだとキックスターター、ヨーロッパでもキックスターターというクラウドファンディングがシェアを圧倒的に取っているというような業界図になっております。
徳田
マクアケとかキャンプファイヤーとかの3倍ぐらいのトラフィックを獲得してるんですよね。
中村氏
そうですね。
だいたい月間でユニーク数で2000万弱。
これはキックスターターの方から開示されている数字と比較してもだいたい相違ないんですけれども、だいたいこれぐらいのアクセスの差が出ていて、中国にもいくつかあるみたいなんですけどそこは情報があまりにも開示されていないので。
僕らはわからないんですけれども、欧米とかちょっと馴染みがあるアジアの使用か国をリストアップすると、世界的なクラウドファンディングサイトというのはだいたいこのぐらいに絞られてくるのかなと思っています。
徳田
アメリカでクラウドファンディングを始めるんだったら、キックスターター一択ということですね。
中村氏
そうですね。
圧倒的に優位というか、広いところに商品は提示できるので、もしやるのであればキックスターターが一番良いのかなというふうに思います。
徳田
具体的に公開の流れだったりとか、日本と海外のクラウドファンディングの違いみたいな。
もしかしたら国内でクラウドファンディングをやったことがある人も海外に挑戦してみようかな……と思われている方もいらっしゃると思うので。
そのあたり伺えますでしょうか?
中村氏
そこがすごく重要なポイントになっております。
よくぞ聞いてくれました!
ありがとうございます!
徳田
エンジンがかかってきた感じが(笑)
中村氏
まず流れなんですけれども、海外のクラウドファンディング準備期間が日本よりも長めに取らせてもらっております。
だいたいページ制作で2か月間と公開するまでの準備で3か月間の準備期間をいただいてから公開をさせてもらっています。
公開は45日間で、僕らがサポートするのは決めさせてもらっておりまして。
ここでまず第一に、日本のクラウドファンディングと海外のクラウドファンディングの大きな違いは商品をいつまでに届けなきゃいけないかという期限が決まっていないということですね。
日本のクラウドファンディングですと、クラウドファンディングが終わってから、だいたい半年後ぐらいに送ってくださいというのが1つ目安として言われているルールだと思うんですけれども。
キックスターターについてはそこの期限というのは一切設けていないので。
良い意味でも悪い意味でもある意味自己責任なんですけれども、いつまでに送らなきゃいけないというルールはないので、ページでだいたいこれぐらいになりますということを書いておけばそこは大丈夫です。
職人さんを相手にするプロジェクトが多いので、そこは結構長めに取っていることが多いんですけれども。
まずそこの期間の部分で、ものづくりの方からするといつまでにという納期がないというところが1つの大きなポイントかなと思います。
徳田
なるほど。
実際に依頼をしてからお客さんに商品を届けるまでが8か月とかかかるということなので、いつに商品が完成するとか、いつまでにクラウドファンディングを実践してプロジェクトを終えたいと逆算して、8か月ぐらい前からご相談させていただくと良い感じなんですね?
中村氏
そうですね。
今はちょうど7月なので、今僕らの方でご相談いただいている案件ですと、だいたい11月頃の公開がベースになっておりまして。
11月公開にしてから商品が届くのが来年の4月とか春先ぐらいになってきますので。
ただ外国人の方は、いつまでに届くみたいなところは結構気長に待ってくれているような方々が多いので、そこは本当に無理をしていつまで届くというと、発送が届く届かないとかっていういろんなロジのトラブルもまわりにあったりしますので。
そこは逆に余裕のあるスケジュールを書いていただいた方が良いのかなと思ってます。
徳田
わかりました。
日本のクラウドファンディングに挑戦してうまくいった方がキックスターターにも挑戦したいと思われる方もいらっしゃるかなと思うんですけど。
相違点だったりとか同じポイントはあったりするんですか?
中村氏
まず4つ大きなポイントがあります。
日本のクラウドファンディングとの違いですね。
まず1つ目なんですけれども送料ですね。
日本のクラウドファンディングですと、送料と商品価格をがっちゃんこされたリターンの価格設定というのが通例となっていると思うんですけれども。
海外のクラウドファンディングはそこが決済が別になっておりまして、たとえば商品が3万円で送料が5000円だとしたら、3万円+5000円で3万5000円がお金が決済されて振り込まれてくるというシステムにまずなっています。
なのでこの商品はアメリカに送りたいときは、アメリカは送料は5000円。
ヨーロッパだったら6000円。
アジアだったら安い1000円みたいな形で各国単位での送料の設定が全部可能になっていて。
それが送料と商品が別設定でがっちゃんこされて振り込まれてくるので、送料もユーザーが負担してくれるという部分が、これはすごくブランドさんにとっては魅力的というかありがたいところかなと思います。
中村氏
2つ目が発送先の情報ですね。
これは日本のクラウドファンディングですと、クラウドファンディングが終わったときに、CSVデータで住所、電話番号、郵便番号、発送に必要な個人情報が全部ダウンロードができるシステムになっていると思うんですけれども。
キックスターターはGDPRという個人情報の保護法がヨーロッパはすごく厳しいので、プラットフォームのキックスターターとしての立場でサーバーに個人情報を保有しないというようなスタンスを取っております。
ダウンロードできる情報が、メールアドレスとニックネームのみになっておりまして。
こちらはメールアドレス1件1件に対して個人情報を回収しに行くという作業を行わなきゃいけないんですけれども。
これが結構作業として大変でして……
中村氏
僕らが代行して行っているんですけれども、約1か月半時間をいただいております。
お金は決済されて、クラウドファンディング上でお金がもう振り込まれているのであとは送るだけなんですけれども。
ただクラウドファンディングで集まって作った商品を送るための個人情報がまだ手元にない状態なので。
送るために住所、電話番号、郵便番号、フルネームを教えて教えてという形で何回かリマインドするんですけれども。
なかなか100%回収できるということは滅多にないですね。
なので若干送れないという方々も出てくるんですけれども、そういった方々も出てきてしまうんですけれども。
1か月半という期日の中で何回かリマインドして、個人情報を教えてくれという作業を行わなきゃいけない。
これが2つ目の日本のクラウドファンディングとの違いになります。
徳田
この部分は御社にお願いしているメリットという感じですよね。
結構大変じゃないですか。
住所とか個人情報の回収という……
中村氏
そうですね。
結構知らないでトライされて、ちょっと痛い目に遭ったというふうな。
実体験というか経験談も伺っていまして。
実際に送りたいんだけど、なかなか回答してこないというような方々がいるので。
僕らも何回かリマインドをして、100%全部回収してクライアント様の方にエクセルデータでお渡しをするということをやっているんですけど。
やっぱり最低でも1か月半、1か月から1か月半の時間がかかってしまっているということが実態ですね。
中村氏
それに紐づくポイントの3つ目なんですけれども。
日本のクラウドファンディングだと、公開期間中はキャンセルが基本的に1回支援を振り込んだらできないというようなルールになっているので。
どんどん支援が積み上げ式になってくると思うんですけれども、キックスターターは個人情報を登録をしなくても良い決済システムになっていて。
すごくキャンセルが容易にできるようなシステムになっています。
なので公開期間中45日間というのは、出入りが基本的には自由なので、最初に買ってくれてた人たちが公開半ばになったらやっぱりやめたという形で、結構キャンセルをしてしまう方々というのは、基本として全然OKです。
そういうスタンスのクラウドファンディングサイトなので、出入りが自由で上がったり下がったり。
上がったり下がったりというところが動きとして日本のクラウドファンディングと違うところです。
中村氏
最後のポイントの4つ目なんですけど。
ここはすごく重要です。
これはキックスターターのルールなんですけれども、他のクラウドファンディングでやったプロジェクトは基本的にコピープロジェクトは絶対に受け付けないというルールをつけておりまして。
よくOKと聞いていたんですけど、違う情報が結構出回っているみたいなので、これは気をつけなきゃいけないんですけれども。
キックスターターは、日本のマクアケさんキャンプファイヤーさん、あとAmazon、楽天さん、ホームページとかも全部チェックされてきて。
まったく同じ商品をキックスターターで公開するということは原則として彼らは絶対に審査を通さないということをルール化しております。
これが稀に「これ同じじゃん」という事例があるんですけれども。
完全に審査漏れになっていて、公開期間中でそれがバレた瞬間にプロジェクトがBANされてしまうような事例がありますので。
そこは気をつけて、必ず新しい商品 新しいチャレンジじゃないとキックスターターはというところはありますので。
そこはすごく一番重要な最初の参入障壁になると思いますし、ポイントになってきます。
徳田
なるほど。
こういうキックスターター限定、または先行リターンの用意が必要というところだったり、オファーの設計とかっていうのをPeak Japanさんと一緒にやれるという形なんですね?
中村氏
そうですね。
最初の審査の段階からこういう商品だったら審査が通ると思います。
リターンはこういう価格帯でやると思いますといったところから間に入ってサポートをさせてもらっています。
徳田
単純にページを作るとか、オファーを作るというだけじゃなく、回収だったりとかそういうところも含めていろいろと支援をしてくれるということなので、もし海外向けにクラウドファンディングをやりたいなと思われた方はPeak Japanさんの中村さんにご連絡していただけたらなと思います。
貴重なお話いただきありがとうございました。
後半は、より細かなティップスというのを共有させていただいて、キックスターターをやるためにどういった秘訣を守ってやっていけば良いかというところをお話いただければなと思います。
ありがとうございました!
中村氏
よろしくお願いします。
ありがとうございました!
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