対談
Interview
この記事では、地方の旅館やホテルの現状や、webマーケティングについてご紹介します。
【Hinotori代表 大﨑庸平】
海外インターンや外資コンサル等の経験を経て、熊野古道プロデュース活動での実績を残し独立。
地方を復活させるHinotoriになる為に活躍中。
【世界へボカン株式会社 代表取締役 徳田 祐希】
日本の魅力を世界へ伝えるというミッションの元、
17年にわたり、多国籍メンバーと共に越境EC、海外BtoBマーケティングに取り組む。
越境EC企業の年商を35億→500億、約29倍の成長を導くなど数多くの実績を残す。
Shopifyマーケティングエキスパート。
世界へボカン株式会社 徳田祐希(以下:徳田)
こんにちは、世界へボカンの徳田です!
本日はHinotoriの大﨑さんに、地方の旅館やホテルの現状、webマーケティングについてお話を伺いたいと思います。
簡単に自己紹介お願いします。
Hinotori 代表 大﨑庸平氏(以下:大﨑氏)
Hinotoriの大崎です。よろしくお願いします!
私は新卒でPwCという外資系のコンサルティングファームに行った後に、SMALL WORLDSという会社とアートアクアリウム美術館という、都市型の中規模のアミューズメントパーク、テーマパーク施設の立ち上げのマーケティングをやっておりました。
その後、熊野古道という和歌山の世界遺産に宿を建てることに参画しまして。
こちらでは、事業部長と広報室の室長として地方の宿の マーケティングや、オペレーションを行ってきました。
それで、2024年今年の3月にですね。
Hinotoriを創業しまして、地方の旅館向けや観光向けのスタートアップを立ち上げております。
大﨑氏
私たち、Hinotoriのミッションなんですけども、地域の「まごころ」が報われる世界を作るということで、日本のサービスの根源にある「まごころ」にもっと光が当たるような旅館であったりとか、観光施設向けのサービスを展開しております。
徳田
アミューズメント施設のウェブマーケティングの経験だったりとか、旅館での経験を経たノウハウを今日お話しいただけるということで、すごく楽しみにしてます!
徳田
旅館の魅力である「まごころ」があまり伝わってないなみたいなということがあるかなと思うんですけど。
旅館ってどんな現状なんでしょうか?
大﨑氏
旅館の現状を説明させていただきます。
まず旅館の稼働率なんですけども、基本的にビジネスホテルやシティホテルなどに比べると稼働率は半分ぐらいでして。
ホテル数およびホテルの客室数は、日本全体で上がっていっているのですが。
旅館数自体は下がり続けているというのが現在の日本の状況です。
大﨑氏
地方旅館がなぜ減少しているかなんですけども、やはり経営者さんの平均年齢の高さであったり、客室数に対する旅館の従業員の少なさがやはり起因しているなと考えております。
地域の小規模旅館ですと、まだOTA使用率は40%前後に留まっているということで、DXだったりWEBマーケティングがうまくいっていないことがあるのではないかなと考えています。
大﨑氏
その中でやはり現在徳田さんも含め私も含め、宿泊サイト「じゃらん」だったりとか「楽天」といわれるオンライントラベルエージェンシーOTAを使って、旅行に行ったことがあるんじゃないかなと思います。
皆さんOTAをよく使うので、ここを使えないと、かなり集客は難しいんじゃないかなと。
大﨑氏
実際、宿泊施設の選び方は、OTAの予約サイトで半数ぐらいの方が予約します。
あとは旅行会社、自社のホームページ、直接予約などで、こちらは電話だったり、DMをするという選び方が一般的かなと思っています。
大﨑氏
なので、旅館をコンサルする方はたくさんいるんですけども、かなりの確率でOTA中心のコンサルになってしまうのではないかなというのが今の現状ですね。
大﨑氏
こちらはOTA中心の予約を皆さんがするので、当たり前の状況かなとは思ってはいるものの、OTAって実は戦略だったり戦術の中でのこの緑色の一部に過ぎないということがあるのかなと思っていて。
ここ全体を網羅するようなマーケティングができたら、もっと集客ができるのではないかというのを考えています。
大﨑氏
その中でもやはりOTAって、メリット・デメリットがあまり知られていなくて。
メリットばかりが強調されているなと思っていて、もちろんメリットは認知度がアップしたり初期費用がかからなかったり。
多言語対応で販売チャネルの多様化ができたりとか、営業活動を減らすことはできるなと思っています。
一方でデメリットとして、キャンセルリスクが高かったり、送客手数料。
これは手数料がだいたい10%以上から25%ぐらいまであるので、年間数百万円から数千万。
OTA手数料がかかっているところも少なくないです。
あとは価格競争が生じるというところで、こちらは皆さんもやったことがあるかもしれないですけども。
地域名を入れたあとに、安い順に並び替えるみたいなことをやるんじゃないかなと思うんですけども、そういう選び方をする方も多いので。
大﨑氏
なるべく価格を安くするみたいな戦法が主流になってしまって、利益率が低くなってしまったり、あとはかなり管理が難しいというところで裏側の管理。
価格だったり在庫数だったりとかそのへんの難しさがあります。
徳田
なるほどなるほど。
まずそもそも地方の旅館はWEBを活用して集客できてないし、OTA自体も集客できてないとOTAを活用していたとしても、うまく活用できていなくて利益を減らしてしまったりしていて。
シュリンクしてしまっている感じなんですね。
大﨑氏
おっしゃる通りですね。
OTAをただ使えば良いというだけではなくて、うまく使わないと最初はOTAで集客がうまく行っても、その後シュリンクするという現状もかなり大きいなと思っています。
大﨑氏
たとえばOTAが使われるときを考えてみます。
もうすぐ夏休みでどこかに行きたいという人が「テレビで石垣島を見たんだよね」と「楽天トラベル」で石垣島を検索してみるかと考えて。
この最後の比較検討の部分で「写真・レビュー・安さ」を見てコスパで判断してOTAで選ぶことがあると思います。
大﨑氏
需要喚起だったり認知を取れないような地域は、OTAで選ばれないというところがまずあると思います。
石垣島とか京都とか大阪とかは、みんな地域名で選ぶのでOTAが使われると思うんですけども。
なかなか難しい地域もあるのかなということですね。
徳田
確かにマイナーなエリアもありますもんね。
大﨑氏
OTAなんですけども。
OTA依存。すべての予約をOTAで取るということに関してはかなり課題感が大きいなと思っています。
1つ目がOTAって今すぐ客とそのうち客という、2つのお客さんがいたときの今すぐ客しかほとんど取れないのが現状です。
これはその地域に行こうと決めた人が地域名を検索して調べたところに出てくるということがあるので、またそのうち今度いつか行きたいというところに対してOTAが効くかというと効かないというのがまず1つ目。
大﨑氏
2つ目は先ほどもお話している通り、地域名で選ぶことが大きいのでその地域が知られているかだったりとか、地域の検索ボリュームが大きいかに依存してしまうことがあると思います。
大﨑氏
次がOTAに上位掲載されるためのアルゴリズムです。
全部「楽天」だったり「じゃらん」だったり一般的なアルゴリズムはおしなべて並べているんですけども。
売上・口コミ・在庫提供数。
あとは広告の取り組みの量だったり、宿のクーポンをどうやって活用しているかみたいなことが一般的なアルゴリズムなので。
そもそも売上だったり在庫提供数で旅館がホテルに勝てるのかということはあるので、旅館がOTAを使い続けるメリットもそこまで大きくはないのかなと思っています。
徳田
確かに。
限られたパイだから、そもそも売上とか口コミとか在庫提供数で勝てないですよね。
大﨑氏
勝てないですね……
OTA側の気持ちになると、たくさん売ってくれてたくさん手数料をくれるところを優遇したいというのがあるので。
そうなった時は客室数が大きいホテルを優遇するというのは、当然の戦略だとは思うんですけども。
そういう意味でそもそもOTAって旅館とそんなに親和性が高いのかどうかは考えた方が良いなと思っています。
大﨑氏
OTAに深刻依存みたいなのをすると、いわゆる価格競争に巻き込まれて自社の販売価格を低価格にしなきゃいけなくなったり。
クーポンをひたすら発行して、そのクーポン分、「楽天ポイント」だったらポイント分を自社で持たなきゃいけないので、低収益になってしまったり。
あとは手数料の部分からも低収益になって、そうなったときの利益率が低いので。
投資にあんまり回せなくて没個性化していってしまう。
なので、またOTAに依存せざるを得ないというような負のスパイラルが生まれてしまうなと考えています。
徳田
僕はよく「楽天」とかで「ドーミーイン」の大阪を予約するんですけど、「ドーミーイン」に行くと自社のサイトで予約した人向けの特典をつけているんですよ。
そういうことですよね。
旅館とかホテルとかは自社のところから予約してほしいということですね。
大﨑氏
全ホテルの悩みで、うちにも一番来る悩みがホームページ比率。
ホームページからの予約比率を上げてほしいというところで、そこはまさに徳田さんが言った悩みを皆さん抱えてますね。
徳田
なるほどなるほど。
僕らも確かに海外向けにホテルのコンサルをしたときって、結果サードパーティで予約しちゃう。
OTAで予約しちゃうことが多いんですよ。
Agodaとかなのでここって結構最終的なコンバージョンはそこだけど、いろんなところのホテルの中の選択肢から選ばれることに対してのWEBマーケティングですよね……というふうに位置付けを認識していました。
国内のWEBマーケティングだとOTA依存からの脱却というのもあり得るということですね。
大﨑氏
あり得ます。
実際に僕が支援させていただいている旅館はOTAを使いながらも、自社ホームページ比率50%から80%をキープしている方が多いので。
今からそちらのノウハウも説明できればなと思っています。
大﨑氏
あとはOTA。
深刻化するとアルゴリズムハックをすると手数料を多く払うので。
利益率が下がるという先ほどの話があるので、OTAは深く依存するのではなくてうまく付き合うことが大事だなと思っています。
大﨑氏
地域名に依存せずに、宿に泊まるためにその地域に来てくれる。
ブランド力を持ちたい旅館やホテルを、我々は今ご支援させていただいていて。
ここがうまくいくと「指名買い」と言われるホテルの名前でここのホテルに行きたいという「星野リゾートに行きたい」みたいな形での顧客が増加します。
すると「適切な価格」で販売ができて、「高収益」になって「適切な投資」ができて、さらに価値文脈で新たな価値を作りながら他の地域や他の宿と差別化をしていけば正のスパイラルを生み出せると考えているので。
こちらを支援していきたいなと思っています。
徳田
なるほど。
OTAじゃなくて、旅館に直接予約してあげようってちょっと思いました。
大﨑氏
ぜひ皆さん悩んでいるので、自社ホームページからぜひ予約してあげてほしいなと思っています。
大﨑氏
理想の状態としては「リトリートって知ってる?」という「カテゴリー想起」があって「和歌山県の⚪︎⚪︎旅館ってリトリート系で有名だよね」という「認知」があって。
「SNSでこの間発見タブで出てきたんだけどリンクを辿ってホームページに行ったらすごいきれいだった」みたいな「興味・関心」があって。
「その宿に行くついでにこの地域の観光もしてみようよ」と「予約」が走って、その予約の中のひとつにOTAもあって。
ホームページもあって電話もあってDMもあって……みたいなものが理想の流れなのかなと思っています。
大﨑氏
僕たちはこの正のスパイラルを生み出すために、0番から9番でどんな宿を目指しますか?というところから環境分析をしたり資源分析をしたり競合分析をするという土台を作って、その中で顧客・商品・販売経路作り。
今すぐ客とそのうち客をどうやって呼び込むかというようなご支援をさせていただくというのが僕たちの日々の流れになっています。
徳田
なるほどね。
僕らが越境ECのお客さんを支援しているとき彼らはものづくりのプロだけどマーケはよくわからんという話だと思うので。
大崎さんでいうと旅館のおもてなしのプロの人たちだけど、WEBマーケとかそもそも商品開発とかはよくわからんと思っているから、彼らのそもそも環境分析から整理させていただいて。
どういうふうに売ってくかというところの戦略から考えてみると。
大﨑氏
徳田さん!まさにです。
徳田
確かに。
良い人だけどマーケはあんまりうまくなさそうだなという感じの人は多いですよね。旅館の人って。
大﨑氏
そうなんですよ。
すごい「まごころ」があってサービスがあるんですけども、WEBの使い方がわかんないとか「良いよ良いよこの価格で」とかになりがちなところもあるので。
そういうところをご支援していきたいなという思いで今やっていますね。
徳田
前半では旅館の現状と今のOTA依存というところの課題みたいなところを伺ったので、後半では具体的にどうやって旅館のWEBマーケティングを進めるかというところを戦略面から支援するということで、お話を伺いたいと思います。
貴重なお話いただきありがとうございました!
大﨑氏
ありがとうございました!
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