対談
Interview
この記事では、メールマーケティングの教科書についてご紹介します。
【株式会社WACUL執行役員CMO 安藤健作】
メールマーケティングのプロとして情報を発信。
様々な人の相棒として、ビジネスを加速させていく。
現在、新しい書籍の販売を控えている。
【世界へボカン株式会社 代表取締役 徳田 祐希】
日本の魅力を世界へ伝えるというミッションの元、
17年にわたり、多国籍メンバーと共に越境EC、海外BtoBマーケティングに取り組む。
越境EC企業の年商を35億→500億、約29倍の成長を導くなど数多くの実績を残す。
Shopifyマーケティングエキスパート。
世界へボカン株式会社 徳田祐希(以下:徳田)
こんにちは、世界へボカンの徳田です!
本日はWACULの安藤さんに、メールマーケティングの教科書についてお話を伺いたいと思います。
よろしくお願いいたします!
株式会社WACUL 執行役員CMO 安藤健作氏(以下:安藤氏)
よろしくお願いします!
株式会社WACULで、執行役員CMOを務めております安藤と申します。本日はよろしくお願いいたします。
CMOという立場なんですけども、その傍らメールマーケティングのエバンジェリストとして活動をしていまして。
先月メールマーケティングの教科書という書籍を翔泳社さんから出していただきました。
こちらは今全国の書店さんや電子書籍等でご購入いただけますのでよろしければご検討いただければ幸いです!
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「メールマーケティングの教科書」(2024年7月22日発売)
【amazonリンク】 https://amzn.asia/d/8Fj64U6
安藤健作氏(株式会社WACUL 執行役員CMO)の書籍をご紹介!
徳田
初っ端から宣伝入ってきたのですが(笑)、メルマガの神様の安藤さんにメルマガのコツですね!
BtoBとBtoC編についてお話を伺いたいなと思うんですけど、メールマーケティングを取り組む際にどんなことから考えていく必要があるんですか?
安藤氏
ありがとうございます。
早速なんですけどもお話させていただければと思います。
まずそもそもBtoBのメルマガの場合なんですけども「目標設定から始めましょうね」というお話を必ずさせていただくんですね。
結構私コンサルティングの現場に入るんですけども、入って「メルマガはなんのために配信しているんですか?」と聞くと「1件でも多く資料請求とかお問い合せを増やすためです」みたいに言われるんですが。
1件でも多くってすごく曖昧で、1件増やせば良いのか100件増やせば良いのかでやることって結構変わってくるんですよね。
そもそもメールマーケティングって、成果って予測できるんです。
その公式というのがありまして、(読み上げると)配信リストからそもそも配信に失敗する数を引くと、これは配信成功数と呼ばれるものなんですけども、それにメルマガのクリック率を掛けて、ランディングページでのコンバージョンレートを掛ける。それで配信頻度を掛けると……月あたりの成果というのが予測できる状況になるんですよね!
下段の方では自社の数値として改定手数を入れさせていただいていますが、仮に4000のリストがあってそのうち200は送信失敗すると。
メルマガの平均的なクリック率が0.8%で、ランディングページの平均的なコンバージョンレートが10%で週1回配信する。
となるとこの1回の配信で得られる成果というのは3コンバージョンだというのがわかるんですよね?
仮に自社の中でそこの目標で、月20ぐらい欲しいよねと仮に設定していたら、20コンバージョンから3コンバージョン×4で、8コンバージョン不足しているということが目に見えているわけなんですよ。
なので結構このあたりの目標設定が曖昧であったりとか、成果を予測しきれていなくて何をして良いかわからないみたいなことが起こりがちなんですよね。
徳田
そもそもリスト数が足りないとか、クリック率が低いだったりとか、そこから目標に対してどういう部分が足りていないかというのが見えてくるんですね。
安藤氏
そうです。
目標値と結果のギャップというのをいかに埋めていくかが大事なんですけども。
そこを考えるためにもちゃんとこういうのを目標を立てようねというお話ですね。
目標を立てるにあたって、たぶんいろんな会社さんが開封率とクリック率は見ていると思うんですけども。
実は見なきゃいけない数値って他にもあって、これは以前もボカンさんのYouTubeチャンネルに出していただいたときに説明しているんですけども。
この指標5つはちゃんと見てほしいというお話なんですよね。
安藤氏
1つ目が不達率。
Bounce rateと呼ばれるものなんですけども、配信リストの中にどれぐらいエラーが含まれているかという数です。
一般的な基準としては5%未満であることというのがあります。
安藤氏
次が開封率 これはOpen rateですね。
これは多くの企業さんが持っていると思うんですけども、これは配信成功数ですね。
さっき言った配信リストからエラーアドレスを除いた数です。
これが分母になって分子が開封数。
基準としては15%以上と書いていますけども、BtoBだとだいたい15%ぐらい。
BtoCだと10%ぐらいがクリアしておくべき数値という形になってきます。
安藤氏
その次がクリック率。
これはCTRなんですけども、これが分母は配信成功数の分子がクリック数ですね。
これも1%以上という基準値があります!
安藤氏
その次が結構見ていない方が多いんです。
反応率 CTORと呼ばれるものなんですけども、クリック率と似ているんです。
さっきのクリック率が分母が配信成功数だったのに対して、こちらのCTORは分母が開封数になってきます。
分子がクリック数ですね。
つまりメールを開封した人のうち、どれぐらいがコンテンツ内のURLをクリックしたかというもので、メールを開いた人がどれぐらい反応しているのかというのを見る指標なんですね。
なんで反応率を取らなきゃいけないかというと、開封率とクリック率だけを見ていると結構な方がクリック数を増やすためには開封数を増やせば良いと思いがちなんですよ。
メールの件名とかに大げさなタイトルをつけて開封させてみたけども実際はクリック数は増えないんですよね。
中身がちょっと違うわけなので、となってくると実は反応率が悪いよねという本当は結果になって見直すべきなんですけども。
これを取っていないと、なんでだろうという形で変な方向に改善が進んじゃうんですよね。
安藤氏
最後の5つ目が購読解除率で、Unsubscribe rateと呼ばれるものなんですけども。
これは配信成功したうちのどれぐらいの人が購読解除をしたかという割合で、これは一般的には0.25%未満に抑えておこうと。
もしこれを超えてしまうという話であれば、読者が期待しているコンテンツと配信しているコンテンツの間にズレがあるという形になります。
徳田
なるほど。
それぞれのポイントでどういうところに改善の余地があるかというのが見えてくるということですね。
重要なのはそれぞれの基準値を下回っているときに、どこに改善の余地があるかというところを見つけるという話で、開封率は高いけどそのあとのクリック率が低い場合は、何かしら大げさな表現でタイトルを作ってしまっていると。
期待させてしまっているだったり、あとはCTAが見づらいとかそのへんの改善点だったりするわけですね。
安藤氏
まさにそうですね。
この結果で一喜一憂する必要はなくて、たとえばなんですけども開封率が今回14%だったから急にミーティングを開いてどうしようとやる必要はなくて。
線形で見てほしいんですよね。
1か月のうちどんどん開封率が15%を超えなくなってきているなとか、最近クリック率が1%を超えることがなくなってくるなとなってきたらちょっと見直すという形で。
それは十分です。
徳田
なるほど。
毎週この指標をいただいてから、週次のミーティングでこの情報が共有されるようになりました うちで。
安藤氏
それぐらいのライトさでちょうど良くて、結構都度都度振り返りに時間をかけている会社さんがいらっしゃるんですけども。
開封とかクリックってある程度タイミング的な話もあるので、そういうこともあるよねぐらいではあるんですね。
毎回見直すとしたら不達率と購読解除率ぐらいかなとは思います。
徳田
BtoBのメールマーケティング。
どういうふうに運用していけば良いかみたいなところもお話いただいても良いですか?
安藤氏
メルマガってデマンドジェネレーションという考え方が、BtoBの中ではマーケティングの仕組みとして結構市民権を得ているかなと思うんですけども。
その中でのリードナーチャリング。
これがメルマガに期待されている役割なんて書いてあるんですけども。
ちょっとここは違うかなと思っています。
左側の誤った理解と書いていますけども、見込みのお客さんに対してメルマガを何度も配信して徐々にデマンドを高めていってアクションしてもらうみたいな。
これがリードナーチャリングのイメージだと思うんですが。
実際問題メルマガだけで、そんなにリードナーチャリングなんかできるわけないんですよね。
もしやるとしたらいろんなコンテンツ。それこそYouTubeもありますし、展示会とかいろんなチャネルがあると思うんですけども、そこらを複合的に考えてナーチャリングしていくというのは全然間違っていないと思うんですが、メルマガ単体でナーチャリングなんてできないんですよ。
そもそもメルマガの役割ってどちらかというと、キープインタッチで見込みのお客さんがニーズが発生するタイミングって何度もあるわけですよね。
そのときにきちんと自社を想起してもらう。
それがメルマガの役割なので、出し続けることが非常に重要になってくると思っています。
徳田
なるほど。
結構海外向けのBtoBマーケティング支援させていただく際に、左の図でイメージされている方が多くて。
ステップをどんどん踏んでいって、お客さんのナーチャリングしていってデマンドをジェネレーションしていくというところを考えているんですけど。
右の図のイメージが近くて、こっちではタイミングはコントロールできないからキープインタッチするというところが大事だというところは理解しました。
安藤氏
キープインタッチし続けるためにはやっぱりそれなりに配信しなきゃいけないわけなんですよね。
月1回の配信じゃキープインタッチしているかというとできていないわけで、そもそも開封率15%とか言っている世界で、じゃあ目についているのかという話もあると思うんですよね。
なのである程度頻度高くメールは配信しなきゃいけないとなります。
そもそもメールって2種類あって、マーケティングメールとセールスメールと呼ばれるものがあるんですよ。
メルマガの購読解除数が多いであるとか、あんまり読者の方が見てくれないという会社さんはだいたいこの右側のセールスメール。
いわゆる売り込み型のメールですよね。
こればかり配信しているんですよ。
実際問題は左側のマーケティングメールと呼ばれる情報提供型のコンテンツを配信する方が大事なんですよね。
安藤氏
これを配信し続けることで、たとえばボカンさんからはすごい有益な情報が毎回来るなと思ってもらうと。
越境ECを始めようとなったときにそれなり最初にボカンさんに相談してみようかとなるわけなんですよね。
それが常にたとえばボカンさんからうちは今初期費用無料をやっているんですよだけが来ていたとしたら、相談しようという気にはならないと思うんですよね。
このマーケティングメールを3回か4回出したらセールスメールを1回ぐらいの頻度で出してもらえると良いと思います。
徳田
なるほど。
これはうちの事例なんですけど、逆にうちはYouTubeの対談の内容をこんなふうにやりましたという話と、たぶん安藤さんのメルマガの内容って「海外ではこんなふうに使えますよ」みたいな話をしているんですけど。
どっちかというと腰の引けたマーケティングメールばかり送っていて、セールスメールを送れていない気がしました。
安藤氏
セールスメールを必ず送らなければいけないというわけではないんですけども、ある程度お客さんの後押しにはつながるものなので、月に1回でも2回でも出した方が良いというのはあると思います。
徳田
なるほど。
「このタイミングだったら初期費用無料ですよ」だったり「こういうサービスをリリースしましたよ」みたいなのがセールスメールに当たるということですかね。
こっちはやっていなかったかもしれないな……
ずっとこんな情報ありまっせみたいなずっと告白しないでデートしているみたいな感じ。
安藤氏
お客さんからしてみたら「ボカンさんが実は提供しているサービスっていくらなんだろう」とか「どういうことをやってくれるんだろう」という具体的な話も気になっているかもしれないので、たまには送ってみると良いと思います!
安藤氏
これから具体的な作り方の話に行きたいと思うんですけども、先ほど言ったようにマーケティングメールを頻度高く配信しろとなってくると作る手間というのが心配になってくると思うんですよね。
でもここって調査結果がありまして。そもそもメルマガってチラ見で成果が決まるんですよ。
これは私が前職のラクスルにいたときにプログラムを使って調べた結果なんですけども。
メルマガの購読時間 閲覧時間って、76%の人が7秒以下しか見ていないんですよね。
7秒しか見てないってどれぐらいの文字数なのかというと、右がWACULが実際に出すメルマガなんですけども。
どんなふうになっているかというと実は7秒以上のところに大事な情報が来ちゃっていたりするんですよね。
ほとんどの人がチラ見で成果が決まると考えてみると、やるべきことはファーストビュー、メルマガをスクロールしないでも見える位置に要件とCTAを置いちゃうことなんですよね。
文字数はほとんどいらないんです。
140文字ぐらいあれば十分なので、今はメルマガの件名、コンテンツを作るの時間がかかっているという方は思い切ってこのコンテンツを減らして、1メール1コンテンツという形にして配信してみると良いかもしれないです。
徳田
開封率クリック率に代わるKPIの用意が必要にというところがタイトルで、レポートを読むということはCTAになっているということですね。
ここをクリックしちゃったら、その先の重要なコンテンツに遷移してもらえるからメルマガの役割としては果たせていると、
このパターンが良いんですね!
安藤氏
そうです!
そんなに書く必要ないんですよ。
さっきのセールスメールというときは、こういう書き方ではなく、もうちょっとテキストで書けば良いんですけども。
大部分を占めるマーケティングメールは本当にこの程度で十分ですね。
徳田
メルマガに人格を持たせるみたいなところで、あとがきとか書いてもらっているんですよ 今。
そういうのもありっちゃありですけどメインはこういうやり方が良いということですね。
安藤氏
ありです。
人柄が出るメルマガを書くというのは全然ありなんですけども、結構大変だと思うんですよ。
それを作るので疲れちゃって、メルマガの配信頻度が落ちてしまうぐらいだったらいったん考えた方が良いかもしれないです。
安藤氏
コンテンツを作るときなんですけども、基本HTMLで作ってほしいんですよね。
よく言うんですけども、BtoBでテキストメールで送った方が良いんじゃないか、BtoCでもいわゆる高齢者が持っているフューチャーフォンとかでは表示ができないんじゃないかという話があるんですけども。
成果を出すというところにフォーカスしたら、これはHTML一択だと思うんですよ。
テキストメールって文字のフォントサイズもちっちゃいですし、行間も詰まっているので非常に読みづらいですね。
それを考えるとこれはHTMLで出すべきだという話になっていきます。
レイアウト自体も勝ちパターンがあって……
安藤氏
こんな感じで。
弊社が出すパターンもすべてこれなんですけども、ファーストビューにCTAが収まっていることが重要ですという話ですよね。
というのと件名も短く、コンテンツとちゃんと一致させようと「画像を使うんだったらすべてリンク先をちゃんと置いてね」というのとエクスキューズと書いたんですけども。
よく展示会とか名刺交換をした人にこのメルマガを送っていますみたいな案内があると思うんですけど。
あれを一番上に持ってきちゃうと、さっき言ったように読者がチラッと見るのはそこになっちゃうんですよ。
そういうのも下段に持っていこうという話と、最後は特定電子メール法の遵守。
表示義務はちゃんと守りましょうというお話が重要になってきます。
レイアウトはこれでほぼ塊で良くて、今すごく成果が出せていないなというところはこれをパクって良いので、ぜひこんな形で出していただければなと思います。
徳田
これを使えと。
この型を使えと(笑)
安藤氏
これで大丈夫です(笑)
徳田
言い切っちゃった(笑)
わかりました!
安藤氏
最後に1メール1コンテンツという話をさせていただきましたけども、今月1回とか月2回で配信頻度が低いお客さんってだいたいがコンテンツ1メールにいっぱい入れていると思うんですよね。
ただこれも調査結果はありまして、コンテンツのCTAって下に行けば行くほどクリック率が半減していくんですよ。
なのでそれを考えたら、コンテンツを1メール1コンテンツにする。
安藤氏
もしくはコンテンツの位置を入れ替えて配信する。
ローテーション配信ですね。
これをやることで配信頻度って増やすことができると思います。
なのでこれから出すのが大変だなというときは、こういうテクニックを入れていただけると良いかなと思いますね。
徳田
そもそも開封率15%とかっていう話があったと思うので、1000人いても15%だから150人しか見ない開封しないと。
850人は開封しないから、そんなにたくさん送っても申し訳ないんじゃないかだったりとか。
こんなレイアウトを変更しないとダメなんじゃないかみたいに思う必要はないということですね。
安藤氏
ないです!
もう1個気をつけてほしいのがこの150人って、毎回そのうちの何割かは入れ替わっているんですよ。
リストのうち150人しかアプローチしていないと考えるのではなくて、このタイミングでは150人しか開かなかった。
次のタイミングでは別の150人が開いていると考えると、メルマガに連続性を持たせるよりは頻度を高く配信する方が大事になってくるわけなんですよね。
徳田
なるほど!
メールマーケティングの教科書の中身、こんなに話しちゃって大丈夫なんですか?
安藤氏
一部しか話していないので全然大丈夫です。
もっとちゃんと書いてありますので、ぜひ書籍を読んでいただければと思います!
徳田
メールマーケティングの教科書、ぜひ見てみてください。
貴重なお話いただきありがとうございました!
安藤氏
ありがとうございました!
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