お客様成功事例
現代アートで、新しい市場を開拓する。TRiCERA様 Magento越境ECサイト支援事例
- 2019.07.26
- アート
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株式会社TRiCERA
https://www.tricera.net/業界 | アート |
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対応国・ エリア |
プロジェクトの概要
- 導入前の悩み
- 事業立ち上げ時に一緒に並走できる海外マーケティングの専門家を探していた
- ご提案の内容
- 戦略コンサル、海外SEO、海外SEM、海外アフィリエイト、英語コンテンツマーケティング
- 導入後の結果
- 戦略に基づいたマーケティング施策のおかげで、海外進出の道のりが明確になりました!
お客様の声
現代アートで、新しい市場を開拓する。TRiCERA様 Magento越境ECサイト支援事例
現代アートで国境を越えていく。「TRiCERA」プロジェクトの始まり
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世界へボカン
2018年の暮れに「創造力に国境なんてない」というビジョンを掲げ、日本、アジア、そして世界のアート業界を変えるエコシステムを創り出していくべく、現代アートの越境ECマーケットプレイス「TRiCERA」をリリースした株式会社TRiCERAの代表井口さんにインタビューさせて頂きました。
日本のアート業界に革命を起こしたい。熱い想いを秘めた井口社長に、現代アートのスタートアップを始めた理由とこれまで道のり、日本のアートのこれからを語って頂きます。
なぜ、現代アートなのか。
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世界へボカン株式会社 代表取締役 徳田祐希(以下徳田)
本日は、お時間頂きありがとうございます。
去年、2018年の末から始動したTRiCERAですが、そもそもなぜ「現代アート」にフォーカスした越境ECを立ち上げようと思ったのでしょうか? -
株式会社TRiCERA 代表取締役社長 井口泰(以下井口)
僕らが一番注力したいのは「現代アート」ではなく、国内で販売チャネルに困っている「日本のクリエイター、アーティスト」の方々。彼らをサポートしたい、という想いがプロジェクトの出発点になっています。現代に生きている作家さんに集中した結果、現代アートになった、という順番ですね。
以前、NIKEに在籍時、海外で日本のアートが全然進出できていない現実を知りました。日本製のテクノロジーや昔の浮世絵、漫画などの文化は海外にも広まっているのに、日本のアートは本当に一部のトッププレイヤーしか海外で存在感がない、という現実に違和感がありました。
TRiCERAプロジェクトのコアには「生きてる作家さんをサポートしたい、応援したい」という想いがあります。
端的な言い方をすると「どうやって彼らが(アートで)食べれるようにするか」が一番のポイントで、それを解決するためのチャレンジやクリアしなければいけないハードルを、TRiCERAのサービスで一気に解決したいと考えています。
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近そうで、遠い。「ビジネスとアート」の関係とは
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徳田
草間彌生など、世界的に成功し、作品に数億円の値段がつく日本人作家がいる一方、日本で一般的に芸術家、画家と言うと、生活が厳しいイメージもあります。実際どうなのでしょうか?
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井口
現在の日本のアート市場規模は2,000億円(2018年時点)程度で、1992年のバブル時(約2兆円)の約10分の1にまで減少しています。
また、世界と比較すると世界のアート市場のわずか3%ほどの規模しかありません。
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井口
また、世界有数の美術館への動員人数をほこり、世界でも稀に見るほど美術鑑賞が好きな日本人ですが、市場規模の小ささから考えても分かるように、アート作品を購入する文化が根付いていません。
現状、創作活動だけで生計を立てられるアーティストはほんの一握りです。
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徳田
確かに自宅にアートを持っている方は珍しいですね。ではそんな日本で、アーティストとして成功するにはどうすれば良いのでしょうか?
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井口
商業的成功と言う意味では、絵画だとサイズ30号、40号などの運びやすい物は売れやすいですね。
一方、展示する空間を含めた挑戦的なインスタレーション、自己表現を極めたアートは商業的成功に結び付きづらいです。もちろん、一部の例外はありますが、自己表現としての成功と商業的成功は結び付きづらいのが現実です。
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徳田
アーティストとして満足の行く自己表現を極めるのと、商業的に評価される作品を作る事は必ずしも同じでは無いですからね。
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井口
ええ。今、芸大を卒業したばかりの駆け出し作家で、日本のギャラリーに発掘され、生計を立てていけるのは、わずか3%です。
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井口
しかも実際に作品が売れても、国内の百貨店やギャラリーなどの中間業者を介さなければいけない為、手元に残るお金も3割程度になってしまいます。
この問題の一つの解として、作家さんの為に日本よりも大きい海外のアート・マーケットにチャレンジできる場を作り、アーティストとして成功を目指す作家さんにより大きい販売のチャンスを提供する、という事をTRiCERAで実現していければ、と考えています。
スタートアップとしてアートに挑戦する意味。
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徳田
厳しい日本のアート業界にチャレンジするTRiCERAですが、スタートアップとして挑戦する意味とは何でしょうか?
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井口
サラリーマンはだれでも「1→10」や「1→100」を経験できます。
近しいものに挑戦する機会はありますが、大企業ではスタートアップのようにだれもやった事がないもの、無から「1」を創り上げる「ゼロイチ」の機会は中々ありません。
現在、日本の作家さんが海外のコレクターに直接届けたくても、そういった仕組みが無かった為、言語・マーケティング・配送などの方法を自分で調べて実行する必要があります。
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井口
TRiCERAでは出品から配送まで、販売に必要な7つのステップの内6個をカバーし、売り手の作家さんは商品梱包と出荷の準備をすればよいだけ、というサービスを提供しています。
作家さんが、作品を作ること以外の作業にエネルギーを使わなくて良い、純粋な創作活動に専念することができるサービスを目指して0から構築してきました。
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徳田
0から作りあげていくのはスタートアップならではですね。ゼロイチで事業を創り上げていく中で、井口さんから見た、アートを販売していく難しさとはなんでしょうか。
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井口
洋服や家電などの「機能」という魅力がある商材と違い、アートはあくまで「感性」に訴えかける必要があります。この部分を伝えるのは本当に難しいと感じています。でも、だからこそ、ここでやり抜ければブルーオーシャンが待っています。
アメリカやイギリスでは代表的なオンラインのアート売買サービスはあるものの、アジア圏では未だ存在感のあるサービスはありません。
ここを狙っていき、3年後にはアジアのアーティストが世界へ挑戦する際の登竜門として、TRiCERAがある様な未来を考えています。
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井口
まだ誰もやったことがない。そこに我々が挑戦する意義があると思います。「あなたは、新しい世界を創った事がありますか?」という質問に「YES」と言えるチャンスがあるのは、人生の経験として本当に貴重だと思います。
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徳田
そういった経験できるチャンスはなかなか無いですよね。
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井口
TRiCERAは「このプロジェクトで世の中を変えられる」という体験ができる場所、今まさに、それに挑戦している場所です。
日本のアートを世界に届ける。海外WEBマーケティングのパートナーを探して
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井口
事業を始めるに当たって、僕自身NIKEなどの大企業の経験を振り返っても、自身が「マーケティング」に関してプロフェッショナルだったのか?と疑問に思う事があります。特にWEBマーケティングに関しては弱い部分があった。
なので、効果的にノウハウを分かっている会社さんと組まないと、越境ECにチャレンジしてもうまく成功できないな、と思っていました。
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徳田
WEBマーケティングの部分に一番課題を感じられてたんですね。
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井口
ええ。実際に、他の会社もいくつか検討していて、コンペのような形で提案を受けました。
各社独自のノウハウがあり、その中に絶対的な正解があるわけでないのは分かっていましたが、その中で、ボカンさんが提案してくれた手法が、アートに一番合うのでは?と思いました。
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徳田
弊社が得意とする、英語でのコンテンツ・マーケティングですね。
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井口
ええ。アートの価値である「感性」に訴えかけて魅力を伝えるには作家さんや作品のストーリーを確実に海外の買い手に届けないといけません。また、アートの価値を決める大きな要因の一つとして、アートの歴史的な文脈や、師事する作家さんも大事になってきます。
そういった、海外のお客さんにとって全く未知の日本の作家さんの魅力、ストーリーを伝える為に作家さんのプロフィールの執筆やインタビュー記事の英語コンテンツなどをお願いしています。
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徳田
「お客様にアートの価値を伝える為にはどういった情報が必要なのか?」という視点からの情報の整理に始まり、ネイティブメンバーによる、単語一つ一つの微妙なニュアンスや伝え方の雰囲気まで、コンテンツは厳しくクオリティのチェックをしています。
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井口
そうですね、単純な日本語文の翻訳ではなく、絵画を海外に販売していくにはどんな情報が必要なのか?というマーケティングの視点を踏まえた、内容の構成だったり、ネイティブの人に任せられる所は大きいな、と感じています。
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徳田
ありがとうございます。
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井口
もう一つ、僕らと「一緒に伴走してくれる存在」という基準でも探していました。提案を受けて話を進めている中で、ボカンさんならWEBマーケティングだけではなく、それ以外の部分でもコンサルティングをしてもらい、どういった打ち手があるのか、何ができるのかを一緒に考えてくれるな、と感じました。
「業者とクライアント」という関係性ではなく、「一つのチーム」として動いてくれそうな所、チームとしてスピードをもって、高速でPDCAを回していけるイメージができたので最終的に選ばさせて頂きました。
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徳田
一緒に大きくしていきましょう!
前例なんかない。最良の戦略を模索しながら、一緒に伴走できるチーム
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井口
僕が本当にボカンさんの強み、徳田さんの強みでもあるなと思う点があって。
大手を相手にすると変化のスピードが全然遅くて、年単位、半期単位のスピードでしか変化ができない。一方、スタートアップでは変化が日々起こります。もういつの間にかピボットしているし、「あれ?先週と話した事違う」がどんどん、どんどん起こっていく。
ボカンさんの「コンサルタント」という立場は、本来は僕らのような変化の激しい「ゼロイチ」のスタートアップと走るのはしんどいと思います。御社のクライアントさんでも、でゼロイチは珍しいですよね?
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徳田
確かに、小さくともある程度売り上げがある、事業の基盤がある会社さんからご相談頂くことが多いです。
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井口
「ゼロイチ」を一緒に話して、一緒に事業を創り上げていけるコンサルティング会社は全然無いので、そこは本当に、金額で換算できない価値を感じています。
今後スタートアップは日本で増えていくし、海外に挑戦するスタートアップもどんどん増えていく。ボカンならそんな会社でも一緒に伴走できる、いい壁打ち相手になれるんじゃないかと思います。
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徳田
壁打ちと言えば、最近相談の電話が少なくて寂しいです。
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井口
いや、さすがに毎晩夜遅く電話をかけるのもどうかな、と遠慮しちゃいまして(笑)
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徳田
でも、僕は全然気にしないので大丈夫ですよ。
日々変わり続けているので、逆に情報のアップデートがあったほうが嬉しいです。アイディアの壁打ちという形でお役に立てるのであれば、それはそれで全然ありがたいですし、お客さんの事をもっと知りたいと思ってます。
チームの一員なので、もっと電話して下さい(笑)
キーワードは「共感性」。想いを共にするチーム
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徳田
話は変わりますが、アート業界の方、作家さん、アートが好きで現状をどうにか出来ないか、と課題感を持つ方々が井口さんの想いに共感して集まる所をみて、凄いな、と思いました。
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井口
大事にしているコンセプトが「想い」なんです。経営面では「想い」が強すぎると失敗するのでバランス感覚が必要ですが、やっぱり「想い」がコアにないとスタートアップで事業を続けていくのは難しいなと。
正直、今はNIKEでマネージャーをやっていた時の1万倍しんどいです。各々の社員もめっちゃしんどいはず。その中で会社で挑戦している事業の「想い」に共感して、ついていく能力、そういったものがないと、続けていくのはなかなか難しい。
その「共感性」は社内、社外に関わらず、TRiCERAのチームを作っていく中で大事にしているポイントですね。どれだけTRiCERAの「想い」に共感して「一緒にチャレンジしよう」「新しいことを試してみたい」と思える人と働くか、ですね。
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日本からアジア、そして世界ヘ。アートのこれから。
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徳田
アートの流動性を上げる為の試みとして「TRiCERAミュージアム」という企画をされているそうですね。
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井口
ええ。主に3つの理由があります。
アートを気軽に売買できる場を作り、流動性を上げたい
ダイレクトなお客さんのフィードバックを得たい
オムニチャネルで、オンラインとオフラインのアート体験を感じてもらいたいという想いから、大きい倉庫に絵が大量に保存されていて、1時間5千円ぐらいでスペースを借りれて、絵の展示を見ながら商談もできる空間を構想しています。
実は、これはアートの本場、ニューヨークで確立されているビジネスモデルなんです。アメリカには、アートのギャラリー、キュレーター、ブローカーなど人たちが日本の100倍ぐらいいます。例えば日本全体でアートギャラリーは300程しか無いのに対して、ニューヨークだけでもアートギャラリーは1300あるんです。
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徳田
それだけ需要があるという事ですね。
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井口
ええ。日本にもそういった作家さんや、オーナーさんの為に、売買に保管、展示もできる場所があるといいよね、という想いが元となっています。
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徳田
具体的にはどういった利用イメージなのでしょうか?
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井口
作家さんが自分の作品をTRiCERAミュージアムに保管しておき、欲しい人がいたら「ではTRiCERAミュージアムで会いましょう」と言って気軽に商談できるようなイメージです。
後はブローカーさん、キュレーターさん所有の作品をミュージアムに保管しておき、自分のコレクションを見ながらコレクターさんと交渉できる。なんて使い方を想定しています。2019年の後半には実現したいです。
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徳田
オンライン、オフラインを掛け合わせたオムニチャネルのECはなかなか無いので、ワクワクしますね!
日本の現代アート業界を、根本から変えていく。
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井口
まずは日本の現代アート、クラフトの越境ECとして販売チャネルを広げていき、それから日本、アジア、そして世界のアート業界を変える様な新しいエコシステムを創り出していく、という所を一番ゴールとして考えています。
業界のステークホルダーに配慮しつつ、その人たちの役割を変える。破壊的イノベーションだけではなく新しい世界を作り、そこにステークホルダーに場所を用意して、僕らのサービスを活用してもらう。そういった流れを考えています。
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徳田
常に時代は変化しますものね。音楽業界でも数10年でレコードからCD、配信サービスと移り変わってますし。
TRiCERAプロジェクトを通じた、大きなゴールは何でしょうか。
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井口
アートの流動性をあげていきたいですね。
アートの資産の時価総額は2023年には世界で340兆円と言われています。でも流通するのはそのたった2%、約7兆円しか動いていないんです。美術館も含まれるので、そこは致し方ない部分もあるのですが、アートの流動性を高めよう、という動きはまだ生まれていない。
TRiCERAのプロジェクトで、その流動性を少しでも高めていきたい。例えば、流動性があと2%上がるだけで一気に14兆までマーケットは拡大します。
それを実現するCtoCのマーケットプレイスの構想も形になって来ています。
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徳田
一歩でも早く実現したいですね!本日はお時間頂きありがとうございました。
取材・編集・撮影:加納宏徳
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